金融庁の金融審議会の作業部会は5月23日、女性管理職の比率や男女間の賃金格差といった指標の情報公開を、約4千社の上場企業に義務付けると明記した報告書案を了承した。
投資家が企業価値を見極めやすくなるようにする狙い。
国に提出する決算書類「四半期報告書」を廃止し、証券取引所の規則に基づく「決算短信」に一本化することも盛り込んだ。
社貝の多様性を示す情報の開示は世界的な潮流で、英国やドイツが管理職の男女比率などの公表を企業に求めている。
金融庁は内閣府令の改正を経て、企業が年1回作成する有価証券報告書に記載しなければならない「従業員の状況」の項目に追加する形で、女性管理職の比率、男女間の賃金格差、男性の育児休暇取得率の公開を義務付ける。
できるだけ早期に本格適用することを目指す。
報告書案は、子会社を含む連結ベースでの情報開示を求めており、詳細は今後詰める。
ただ、世界中で事業展開する大企業は多くの子会社を抱えている。
情報の取りまとめは膨大な作業量となる可能性があり、企業の負担が増えそうだ。
四半期報告書の廃止は、内容が重複する書類を統一し、企業の負担を減らすのが狙い。
四半期報告書のうち第1四半期と第3四半期の分を廃止し、半年間の業績を示す「半期報告書」は残す。
来年の通常国会に金融商品取引法の改正案を提出することを検討する。
岸田政権は「新しい資本主義」実現に向けた具体策の一つとして、企業の情報開示制度を改革する。
財務や収益の情報だけでは分からない男女間格差などを公表させ、多様性を重視する世界中の投資家から国内に資金を呼び込みたい考えだ。
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