人類の活動によって地球環境が大きく変わる時代になっだとする「人新世」。
愛媛大などのグループは、1952年ごろに石油の燃焼や窒素肥料の生産などの地層に残された活動の痕跡が世界中で急増しており、入新世の始まりとして有力であるとする研究を米科学誌に発表した。
46億年の地球の歴史は主に生物の進化を基に、地質年代で区分される。
人間が地球環境を大きく変えた「人新世」の設定は、国際地質科学連合(IUGS)でいったん否決された。
ただ、グループの加三千宣愛媛大教授は作業部会が存続していることを踏まえ「人新世の重要な証拠となる可能性がある。 議論の見直しにつながるのでは」としている。
グループは、年単位で正確に地質記録をさかのばれる海洋堆積物や、氷柱「アイスコア」などを扱った論文を分析。
石炭や石油を高温で燃やしたときに出るすすや自然には存在しないポリ塩化ビフェニール(PCB)など人類の活動による物質について、世界137ヵ所で「初めて検出された年代」と「急変する年代」を調べた。
欧州、東アジアなど七つの地域に分けて年ごとに分析したところ、全ての地域で1952年に急増が始まり、その後58年にかけて痕跡が最も増加することがわかった。
同時に痕跡の増加が認められることから、この時期から地球全体に影響を及ぼし始めたといえるという。
IUGSでは、人類の活動による影響の程度や開始時期に関する見解が定まらず、否決された。
加教授は「1952年に人類活動が地球のシステムを圧倒し始めたということができる」とした。