国内で働く65歳以上の就業者が、2022年平均で912万人と2012年平均(596万人)の約1・5倍となったことが5月6日、総務省の労働力調査で分かった。
平均寿命とともに、介護なしで自立して生活できる「健康寿命」が延びたことが背景の一つ。
一方で年金だけでは生活が苦しく働かざるを得ない人もいる。
2020年に本格化した新型コロナウイルス感染拡大による雇用不安の中でも、高齢就業者は増えている。
厚生労働省によると、2010年と2019年の健康寿命を比べると、男性は70・42歳から72・68歳に、女性は73・62歳から75・38歳にいずれも延びた。
昔と比べて体力、身体能力が向上しているとする。
総務省の人口推計によると、65歳以上は2012年が3079万3千人で、2022年は3623万6千人と、伸びは約1・2倍。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が2020年に公表した調査では、就労している60~69歳に働く理由を複数回答で聞くと「経済上の理由」76・4%が最多。
2位の「いきがい、社会参加のため」33・4%、3位の「時間に余裕がある」22・6%を大きく上回った。
労働組合役員の一人は「夫婦の年金を合わせても生活が厳しい場合がある」と指摘。
別の労組幹部は「無理に働かなくとも暮らせる年金、社会保障が必要だ」とする。
近年、コロナ禍前まで右肩上がりだった就業者総数は、2020年は前年比40万人減の6710万人。
65歳以上に限ると、2019年890万人、2020年903万人、2021年909万人と増加が続いた。
厚労省によると、労災に伴って死亡したり、4日以上休業したりした人のうち60歳以上は、2021年は約3万9千人で、10年前の約1・6倍だ。
少子高齢化で社会保障や経済活動を支える現役世代が減少。
国は希望者が70歳まで働けるよう企業に努力義務を課した。
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