厚生労働省は、働いて一定の収入がある高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金制度」を見直し、対象を縮小する方向で調整に入った。
働きながら年金を満額受け取れる高齢者が増える。
「働き損」を解消して就労を促し、人手不足の緩和につなげる。
現在は賃金と年金の合計が月50万円(基準額)を上回った分の半額を減らす仕組み。
この基準額を62万円や71万円に引き上げる案を軸とする。
与党との協議も経て年末までに決める。
関係者が11月18日、明らかにした。
支給額が膨らみ年金財政に影響するため、現役世代に当たる高所得の会社員らの保険料負担を増やす案も検討する。
減額を完全になくす案も協議するが、徴収する保険料を大幅に増やす必要がある。
保険料を折半する会社貝と企業の反発を考慮して見送る方向だ。来年の通常国会への関連法案提出を目指す。
2022年度末時点で、働きながら年金を受給する65歳以上は約308万人。
うち約50万人が当時の基準額(47万円)を超えていた。
減らした総額は年間4千億円以上だった。
就労意欲を阻害しているとの指摘があった。
2021年の改正高年齢煮雇用安定法施行で、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となっており、働く高齢者は今後も増加する見通しだ。
支給が増えて年金財政が悪化する分は、高所得の会社’貝が払う厚生年金保険料の上限を引き上げて賄う。
保険料の金額は、月給を32段階の幅で区分した「標準報酬月額」を基に算出する。
在職老齢年金制度の基準額を62万円や71万円へそれぞれ見直した場合、標準報酬月額の上限(現在は65万円)も75万円や79万円に引き上げる。
減額を完全になくす場合の上限は98万円にする必要がある。
納める保険料が増えれば、将来の年金額も増える見通し。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます