阪神大震災で被害が大きかった神戸市長田区の精神科「宮崎クリニック」の宮崎医師が、患者を対象としたアンケートを実施したところ、当時の被災者の約42%が「現在でも精神的に震災の影響を感じている」と回答したことが1月13日、分かった。
震災から30年たっても、つらい体験として一部の被災者の精神に影響を与え続けている現状が浮き彫りになった。
前田・神戸大名誉教授は、調査の規模などから統計的には全体の傾向であるとまでは言えないとした上で「30年後の報告は他になく貴重だといえる」とする。
アンケートは2024年8~9月に宮崎氏のクリニックを受診した人に実施。
288人が回答、被災者は237人だった。
震災の影響を感じたと答えた人は109人で、被災者に絞ると100人となり約42%に上った。
今も続く影響や症状について自由記述で「地震の映像を見られない、涙が出る、苦しくなる」などの回答があった。
震災発生20年が過ぎた2015年12月にも同様のアンケートを実施し、被災者の約34%が震災の影響を感じているとした。
宮崎氏はこれらの症状を「日常生活を妨げるには至らない軽度の心的外傷後ストレス障害(PTSD)」と分析。
現在も高止まりの傾向が続いているとした。
またアンケートとは別に、震災が影響しているとみられる精神障害を「震災関連」と分類。
カルテを基に1995~1097年に震災関連で受診した人の経過を調べたところ、10年以上通院したケースが14%と、長期化する事例が少なからずあることも分かった。
宮崎氏は、震災が個人に与える精神的な影響は一様ではないとした上で「生涯にわたって一つの苦しかった体験として心に残り続け、考えや行動に影響を与える」と説明。
長期化する患者には「本人が今直面している問題に対処していくこと」が大事だとし、「早期の支援が必要。 同じ支援でも遅れると効果は半減する」と訴えた。
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