中国の楼財政相は3月22日、日本が歴代総裁を出しているアジア開発銀行(ADB)の運営が「官僚主義で煩雑で、最良とは言えない」と批判した。
北京で開かれた経済フォーラムでの発言で、ADBの中尾総裁も同席していた。
中国が主導して設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、ADBと競合するとの指摘もある。
参加をめぐり日本や欧米各国の対応が分かれる中、楼氏はあらためて設立の意義を強調し、既存の機関とは異なる運営方針を取る考えも示した。
AIIBの金臨時事務局長は、設立後の出資比率はアジア諸国が75%を占めると明らかにした。
中尾氏が、AIIBの投資対象のプロジェクトは環境保護への配慮などが必要だと指摘したところ、楼氏は「(欧米や日本が中心の国際機関の)既存の制度が全て良いとは思わない」と反論した。
その上で「(AIIBは)発展途上国が主導する機関であり、途上国の要求を考慮する必要がある」と説明。
具体的な運営方法には触れなかったが、融資判断や組織運営で独自の基準を採用するとみられる。
フォーラムは中国メディアがインターネット中継で伝えた。
新興国のインフラ建設に融資するAIIBは、中国が最大の出資国となる。
東南アジアなどの27力国が創設メンバーに決まっており、英国など欧州6力国も3月に入り参加を表明。
ADBや世界銀行で中国の発言権が限られていることも設立の動機とみられる。
中国の世界制覇の目標が見える。