環太平洋連携協定(TPP)を米国抜きで発効させようとする案が浮上している。
次期米大統領にTPP脱退を訴えたトランプ氏が決まり、このままでは発効が極めて困難になったためだ。
メキシコやペルーが意欲を見せる一方、日本は拒否する方針で実現は不透明だ。
「米国が承認しないと発効しない仕組みの変更を他の参加国と話し合う必要がある」。
メキシコのグアハルド経済相は11月10日、米国の承認がTPP発効の条件になっていることに疑問を示した。
ペルーのクチンスキ大統領も「TPPは米国の代わりに中国とロシアを加えた新協定に置き換えることができる」と語った。
参加12カ国は、11月19日からペルーの首都リマで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、TPP首脳会合を開く。
その席で、メキシコやペルーが「米国外し」の案を持ち出す可能性がある。
しかし実現のハードルは高い。
発効条件の修正は12力国による協定の再交渉が必要になるとみられるが、米ワシントンの通商関係者は「トランプ次期政権が米国外しの再交渉に応じる可
能性は低い」と指摘する。
開会中の臨時国会でTPP承認を目指す安倍政権が再交渉を拒否するのも明らかだ。
安倍首相は11月15日の参院TPP特別委員会で「TPPの目的や意義を世界に発信する。 保護主義の流れを変えていく」と訴えた。
マレーシアのナジブ首相も、共同通信の書面インタビューで「引き続き米国を含めた国々と経済貿易関係を強めるべく尽力する」と述べ、対米関係を重視するとした。
ニュージーランド議会は11月15日、TPP関連法案を可決し、議会手続きを終えた。
日本政府によると、議会手続きの完了はニュージーランドが初めてで、現行の協定に執着する姿勢を明確にした。
一方、フロマン米通商代表は11月14日の講演で、他の参加国がいつまでも米国のTPP承認を待っていることはないとの認識を表明。
「米国は幅広い地域をカバーする協定から取り残され、他の国に海外市場を奪われてしまう」と米国外しへの警戒感を隠さなかった。
米国外しも一案だが、中国とロシアを入れる案はいただけない。