中小企業の従業員や家族が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)は7月7日、2016年度決算見込みが4987億円の黒字になったと発表した。
前身の政府管掌健康保険の時代を含め、記録が残る1992年度以降で最高の黒字額。
景気回復による加入者増と賃金上昇で、保険料収入が増えたことが主な要因。
保険料などを積み立てた準備金の残高も2008年度の協会けんぽ発足以来、最高の1兆8086億円となる見通しだ。
2016年度の収入は、1兆1897億円の国庫補助を合わせて9兆6220億円。
加入者が2.3%増えたほか、賃金がアップしたため、給与から定率で支払われる保険料の収入が前年度に比べ3681億円(4.6%)増えた。
支出は9兆1233億円で、内訳は保険給付費が5兆5751億円、高齢者医療への拠出金などが3兆3678億円だった。
2016年度診療報酬のマイナス改定で、給付費の伸びが鈍化したことも収支改善に働いた。
ただ、1入当たりの医療費の伸びが賃金の上昇幅を上回っており、協会けんぽは「黒字は一時的な要因が重なっただけで、赤字構造は変わっていない」としている。
2017年3月末現在、加入者は3764万人。
2016年度の全国平均保険料率(労使折半)は10.0%だった。