国立成育医療研究センターは12月13日、重い先天性の心臓の病気「重症大動脈弁狭窄症」と診断された赤ちゃんの手術を母親のおなかの中にいる妊娠25週で行い、成功させたと発表した。
この病気の胎内での手術は欧米では実績があったが、国内では初めて。
赤ちゃんは無事に生まれ、経過も良好という。
全身に血液を送り出すポンプに当たる「左心室」と大動脈を隔てる複数の弁の間隔が狭すぎて、血が流れにくくなる病気。
心不全になって死亡する恐れもあった。
同センターによると、生まれてから心臓の手術を行えるが、胎内にいたころから心臓に負担がかかっていた影響で、十分に回復しないことが多い。このため、生まれる前のできるだけ早い段階で治療する方法が検討されてきた。
手術は、新しい治療法の安全性を確認する臨床試験として今年7月に行った。
母親のおなかの上から超音波を当てて、内部を精密に確認しながら赤ちゃんの心臓にカテーテルを入れ、先端のバルーンを膨らませて弁の間隔を広げた。
この病気の患者は1万人当たり3~4人ほどとされる。
センターは手術件数を増やしていく方針で、左合治彦副院長は「早期の診断と適切な治療につなげていきたい」としている。