政府は1月28日、昨年6月に成立した「食料供給困難事態対策法」の具体的な運用を定めた基本方針案をまとめた。
コメや乳製品、肉類など対象12品目の国内供給量が2割以上減少し、価格高騰が発生した場合などを「食料供給困難事態」と規定。
必要に応じ、政府が農家へ増産計画を提出するよう指示する。
4月1日の新法施行に合わせて、基本方針を閣議決定する予農林水産省が1月28日の自民党部会で示した。
異常気象やウクライナ危機などで世界的に食料生産が不安定化する中で、危機を回避する狙いがある。
一方、同法では計画作成や届け出の指示に従わければ罰則対象となる。
実効性を確保するには、具体的な運用への農家の理解が欠かせない。
12品目は「特定食料」として政令で定める。
コメや肉類(牛肉・豚肉・鶏肉)のほか、大豆、小麦、砂糖、鶏卵、液卵・粉卵、植物油脂、菜種・パーム、テンサイ、サトウキビ、生乳、牛乳・乳製品が対象に含まれる。
生産に用いる肥料や農薬などは「特定資材」に位置付け、同様に必要分を確保する。
農水省は国内生産量が落ち込んでも、輸入で供給量が賄える場合には該当しないと説明している。
また、昨夏の品薄から価格が高止まりしているコメの現状については、生産量が増えており、供給困難事態には当たらないとの見解だ。
方針案によると、食料供給が困難な兆候があれば、首相を本部長とする政府対策本部を設置。
消費者の買い占めを防ぐための情報提供のほか、農家や輸入業者に供給確保の要請を行う。
その後、供給困難事態になれば、生産計画の指示など踏込んだ措置に切り替える。
それでも必要最低限のカロリーが確保できない場合は農家に生産転換を指示する。
2割を超える供給量減少で念頭に置くのが、1993年の「平成の米騒動」だ。
政府関係者は取材に「農家や事業者はできる範囲の計画を提出すればいい」とした上で、増産を強制することはないと述べた。
政府は平時の対策として、農業生産基盤の強化や適切な備蓄を並行して進める方針だ。
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