大英博物館で開催中の「Hadrian Empire and Confilict」という企画展を観て来た。先日、ユルスナールの「ハドリアヌス帝の回想」を読んだので、何かおもしろいものがあるかもしれないと思って出かけたのである。
ハドリアヌスは現在のスペインの出身で、生家はオリーブオイルの商売で財を成したのだそうだ。当時のオリーブオイルは、食用、燃料用、薬用など用途が広く、帝国内外で需要が強かったため、この生産や商売で巨万の富を築いた人も少なくなかったという。現代に当てはめれば、原油のようなものだろう。展示は、その出自、建築への関心、同性愛といったことに焦点が当てられていた。しかし、いかんせん英国はローマ帝国の時代には辺境の地である。ハドリアヌスが辺境を巡回し、周辺国との国境線の安定化に努めたことは周知のことだが、それにしてもハドリアヌス縁のものは多くはないだろう。イングランド北部に残るHadrian’s Wallという長城は有名だが、それくらいのものである。彼の治世が117-138年と今から1,800年以上も前のことでもあり、展示の品は自ずと限られる。そうした制約のなかで、何故、敢えて今、ハドリアヌスなのか、というところの説明が欲しい。展示を観る前に売店でカタログに目を通したので、ある程度は展示内容の予想はついたが、大英博物館らしくない中途半端な企画展との印象だった。
ハドリアヌスは現在のスペインの出身で、生家はオリーブオイルの商売で財を成したのだそうだ。当時のオリーブオイルは、食用、燃料用、薬用など用途が広く、帝国内外で需要が強かったため、この生産や商売で巨万の富を築いた人も少なくなかったという。現代に当てはめれば、原油のようなものだろう。展示は、その出自、建築への関心、同性愛といったことに焦点が当てられていた。しかし、いかんせん英国はローマ帝国の時代には辺境の地である。ハドリアヌスが辺境を巡回し、周辺国との国境線の安定化に努めたことは周知のことだが、それにしてもハドリアヌス縁のものは多くはないだろう。イングランド北部に残るHadrian’s Wallという長城は有名だが、それくらいのものである。彼の治世が117-138年と今から1,800年以上も前のことでもあり、展示の品は自ずと限られる。そうした制約のなかで、何故、敢えて今、ハドリアヌスなのか、というところの説明が欲しい。展示を観る前に売店でカタログに目を通したので、ある程度は展示内容の予想はついたが、大英博物館らしくない中途半端な企画展との印象だった。