雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

それでも星は流れる(オートガイド PHDガイディング編)

2013年01月30日 | それでも星は流れる
前回記事の  で
スマートガイダーでオートガイドに挑戦したものの、原因のわからないエラーが多発し何の成果も無かったと書きました。
それでもなんとか対策はないかと、ほかのユーザーのブログを検索したりしたのですが、
いろいろ設定を変えても星の流れを止められず、たまにうまくいっても、なぜうまくいったのかもわからない・・・・。
といったようなことが書かれていました。
もともとこのオートガイダーのコンセプトは、『パソコン要らずのおまかせガイダー』 といったもので、ユーザーが設定できる項目も少なく、小さなディスプレイ部に表示される提供データも限られています。
いじわるな言い方をすると 「初心者は難しいことをわからくてもいい。うまくいかなかったらもう一度はじめから。」
わたしは途中から 陽気なイタリア野郎のつくったお気楽ガイダー と呼ぶようになりました。
 
今ではスマートガイダーで発生したエラーの大半が、ガイド制御信号伝達経路(たぶん赤道儀のコネクタ部)のルーズが原因だったと考えています。(当初は、中古とは言え購入してまもない赤道儀に原因があるとは考えませんでした。)

たまたまルーズが発生しなかったのか、ガイドがうまく行った例もありました。
2010.11. 7
オリオン大星雲」(オリオン座) R200SS反射鏡筒 f=800mm 300sec×9枚 EM-200USD赤道儀 スマートガイダー  ガイドスコープ:D50mm f=700mm

このときは星がほとんど流れていません。

[1時間あたりの流れ] △Ra=-2.5 pixel/H ・・・△Dec=+12.3 pixel/H  (写野中心の赤緯 -5°)
・・・・・・*△Ra、△Decは便宜的に△Y、△X座標としていますので、傾き分の誤差を含みます。
この夜はめずらしくエラーの発生も無くスマートガイダーが有効に機能したものと思われます。
(ただし、赤道(Dec=0°)付近の撮影はノータッチガイドでもなぜか流れずに撮れるという経験を持っています。)

しかしその後の2010.11.27には、再び動作が不安定となり、
2010.12.10には、ガイドカメラを認識できない不具合が発生し、購入元に送付しました。
不具合状況および修理依頼 (クリックで拡大)

年が明けた1月8日には販売元より代わりの新品が送られてきましたが、既に雪国越後は冬の最中で検証の機会は3月までありませんでした。
3月5日の検証ではエラーは発生しませんでしたが雲で中断となり、結局スマートガイダーの提供してくれるデータからは、赤道儀本体のルーズを疑うことはありませんでした。

そして 2011年 3月11日 東日本大震災 発生 新潟市の勤務先でした。
原発事故もあり、とても天体写真どころでありませんでした。

少し気持ちが落ち着いてきた5月21日に、米オライオン社のSSAG(スターシュートオートガイダー)を購入しました。
このようにもし赤道儀側のルーズが無ければ、スマートガイダーの評価や付き合い方は変わっていたかも知れません。
しかし今では、無駄な回り道をせず、はじめからパソコンを使ったオートガイドにしておけば良かったと考えています。
SSAG+PHD ガイディング導入後にはじめて、オートガイドがいかにシビアなものかわかりました。(現在も完璧なガイドとは言えませんが・・)
これはあくまで個人的意見ですが、天体写真を趣味とする人は 何万円も使って
よくわからないけど、今回はうまくガイドできてる。ラッキー! では満足できないのでは?

                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

お待たせ致しました。今回の記事タイトル PHDガイディング の話に入ります。
(わたしのブログを何度も訪問していただいている方は長い記事に慣れておられると思いますが、目が疲れたら一息ついてからこの先をお読みください。)
米オライオン社 SSAG(スターシュートオートガイダー)(クリックで拡大)
価格はスマートガイダーの約半額ですが、他にパソコンが必要になります。(わたしは単身赴任先にあったノートパソコンを使いました。)
日本語の丁寧な説明書のほかにPHDガイディングのインストール用CD-ROM、USBコード、赤道儀への接続コードが添付されてきます。(EM-200赤道儀の場合さらにコネクタ変換コードが必要です。)
ガイド星を捉えるセンサーのサイズは6.66mm×5.32mmと大きい上に、感度も高く、ノートパソコンのモニタに星が表示された時は感激でした。
*PHDガイディングの使用方法については、いろいろ書かれていますので省略します。
・・・・・たとえばこちら⇒  

2011. 6. 3  うす雲があったのですが、待ちきれずいきなり実使用してみる事にしました。
キャプチャーで星を表示し、キャリブレーションから自動ガイドへの移行まで10分くらい。
前のスマートガイダーの半分以下の時間でガイドスタートでき、リアルタイムでガイド星の位置や修正量が表示されます。

TST撮影を実施中、キャリブレーション時に赤経方向に移動してくれない現象が発生し、
調べたところ赤道儀のコネクタ部にルーズがありそうな事がわかりました。
なんと1回目にして、スマートガイダー使用時にエラーが多発した原因を捕まえることができたのです!
(このルーズ現象は今も時々発生し、その都度コードを差しなおしたりして対処しています。)
作品には至らなかったものの、PHDガイディングへの確かな手ごたえと、ルーズ箇所発見の大収穫となりました。

(ルーズがあると思われるコネクタと、コネクタ変換ケーブルを接続した状態)
 * このルーズの原因は1年後に判明しております。

2011.10. 1  週末にしか帰れない単身赴任の悲しさと、天候不順でその後4ヶ月も撮影の機会がなかった。
北アメリカ星雲&ペリカン星雲」(はくちょう座) CanonNFD300mm F4相当 300sec×18枚 KissDX(SEO-SP2) EM-200USD赤道儀 スマートガイダー  ガイドスコープ:D50mm f=700mm スーパーボールヘッド3

PHDガイディングのグラフは±1ピクセルの範囲に収まっていたが、実際はかなり流れている。(なぜか?)

[1時間あたりの流れ] △Ra=-41 pixel/H ・・・△Dec=+16 pixel/H  (写野中心の赤緯 +45°)
・・・・・・*△Ra、△Decは便宜的に△X、△Y座標としていますので、傾き分の誤差を含みます。
f=300mmとしては流れが大きすぎる。(またもRaは西から東へ流れている)

2011.10.29  平日は晴れが続いたが、帰省日には夜半を過ぎたら雲が切れてくれた。
プレアデス星団」(おうし座) CanonNFD300mm F4相当 300sec×16枚 KissDX(SEO-SP2) EM-200USD赤道儀 スマートガイダー  ガイドスコープ:D50mm f=700mm スーパーボールヘッド3

PHDガイディングのグラフをみたかぎりでは正常に制御が行われているが・・・結果はRaが依然として"進み"

[1時間あたりの流れ] △Ra=-32.3 pixel/H ・・・△Dec=-1.9 pixel/H  (写野中心の赤緯 +24°)
Raの流れは5分あたり約3pixel。
今後露光時間を10分に延長したり、メインのR200SS(f=800mm)の使用を考えると許容できる誤差ではない。

オートガイドは機能しているはずなのに、ノータッチガイドと同じくRaが西から東に流れるのはなぜ?
完全に行き詰ってしまったため、いろんな事を推測検討してみました。
     (物好きな方だけクリック拡大)

ついには、考えすぎてしまって『PHD Guiding』のアルゴリズムまで疑ってしまいました。
『ガイド星を検出枠から逃がさないために、検出枠もある条件でズラすようにできている。』のではないか?・・と。
シュミレーションまでやって、一時はほんとにそれがRaの流れる原因だと思った時期もありました。
11月19日には、検出枠からはみださないためもっと焦点距離の短い「GS-60ガイドスコープ(f=420mm)」(誠報社)を購入しています。(むろん、今ではそんなアルゴリズムではないと考えています。)

PHDガイディングがうまく導入できたのに、星の流れは依然として止まらない!
・・・・次回は 星の流れを止めるべく取った対策と、その結果について報告いたします。

  に続く================================================
故意に引き延ばしている訳ではありません。
これでもかなり、はしょっているのですが、
次回で終わりにしますのでお許しを。

雲上くもがみ

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