雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

『オフセット』に ケリを付ける。(ひとまずまとめ)

2024年01月28日 | 画像処理のはなし
オフセットに関するこの連載記事も4回目になりました。

前回までは、オフセットとはなにか を踏まえて
室内にて取得した極めて低い輝度の画像のヒストグラムを比較することで検証してきました。
今回はいよいよ実際に天体を撮影した画像を使っての検証を行うのですが、
その前に
前回記事 の最初に掲載したオフセット”のヒストグラムで、
Gainが高くなると逆にピークレベルが下がって”0”になるという不可解な現象について
以下、私なりに説明してみたいと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヒストグラムではなく、輝度レベルの最小値・最大値で別のグラフを作成してみました。
Gainを上げると輝度レベルの幅も広がるのですが、最小値の方は元々”0”レベル付近の画像ですので
最大値との差が広がると、レベル値が”-”の領域に入ってしまう事により
”1”未満切り捨てで、レベル”0”のピクセル数が大半をしめて、
ヒストグラムでもピークが”0”になるのだと思います。

さらに、このグラフから次の事が言えると思います。
Gainでカメラの感度が変わるわけではないと良くいわれますが、
そのソフト的(?)な処理は”オフセットの後に行われている”という事。
順番が逆ならば
このカメラのデフォルト値であるオフセット値”でも レベル最小値”0”はありえない。
オフセット”0”レベルとなる基準電圧を変えている というのは、わたしの推測ですが・・・)

ちなみに、オフセット値30”の検証データで同じグラフを作成してみると。
オフセット値30”によるレベルの大幅な底上げ(下駄をはかせる)により、
Gainが上がっても輝度レベルの最低値が”0”以上になりました。

他のオフセット値のグラフも作成しているのですが 、
今回は各オフセット値Gain毎のレベルの最小値・最大値の数値だけを。 ⇒ こちら

以上で納得してもらえるでしょうか?
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納得してもらえないとしても、このシリーズは今回でひと区切りにしたいので
話を戻します。

できる事なら あたらしく購入したステラショットオフセット値を設定して撮った画像を
使いたいのですが、日本海側では星が見えない季節のため いまだ”初撮り”ができません。
そこで昨年ステラショット2で撮った撮影画像を使う事にしました。
ステラショット2オフセット設定ができないのですが、
これまでの検証の結果、カメラのデフォルト値ASI533MCの場合 デフォルトのオフセット値=””)
で撮影されている事がわかりました。
関連記事は ⇒ こちら

まずは昨年撮った撮影画像の中で、検証に使えそうな画像を探した結果、
昨年9月に検証のためGainを変えて撮ったペリカン星雲の画像を見つけました。

露光時間は変えずに、Gainだけを変えて撮ったRAW(モノクロ・ベイヤー配列)画像です。↓
Gainは102・204・300の3段階、いずれも露光時間は180秒、ステラショット2での撮影のためオフセットは””としています
右側のヒストグラムの『最小値』というのは、「自動レベル調整」ボタンで表示された撮影画像内の最小輝度レベルです

上の画像のヒストグラムを検証する際に留意すべきは、
室内で取得した画像とは異なり、輝度レベルの『最小値』につながる右側にあるピーク(山)は
撮影したペリカン星雲の画像の背景となる空の明るさだということです。
ただしその輝度レベルについては、オフセット”で底上げした分も含まれている事に注意。
これまでの検証結果では、Gain100なら、輝度レベルは最小値303の内70くらい底上げされていそうです。


今後 星の見える夜があったら、ステラショットでオフセット””と””で撮って比較すれば
オフセットにより各Gainでどれだけのレベルが底上げされるか明らかにできます。
わたしの予想では
オフセット”なら、画像の背景(空の明るさ)レベルに比較して底上げされるレベルはかなり小さいと思います。


もう一つ、撮影画像によるオフセットの検証を行っています。
こちらは昨年12月にステラショット2で撮ったオリオン大星雲(北部)です。

モザイク撮影の多段階露光用に撮ったもので、Gainは150のままで 露光時間だけを変えています。
こちらもヒストグラムの表示レンジ( △ ~ ▲ )はそろえています

Gainに比べれば単純で、露光時間を増やすと背景レベルも上がっていきます。
ここで注目したいのは、露光時間の短い30秒のヒストグラムでは背景レベルのすそ野が
『最小値』の"0"付近まで伸びている事。
ということは、
もっと短い露光時間や、低いGain設定では 空の背景レベルのピークがより””に近づき
裾野の一部が”0”以下で切り捨てられる事もありそうです。

以上の検証結果から、わたしの持論も少し変更が必要なようです。
たとえばこんな風に
天体撮影においては 光害や月明かりにより、
オフセットが必要となるケースは少ないが、
低いGainや短時間露光で撮影する場合は、
撮影画像(特に空の背景部分)の輝度レベルが
”を上回っているのか確認する必要がある

これで”ケリ”をつけていいんでしょうか?
ご意見・アドバイスを コメントまたはメッセージ(PC表示で右サイドバー)にてお待ちします


くどすぎたかも知れない検証の最後に、しつこく もう一言。
オフセットを意識し過ぎて、過大なオフセット値を設定してしまい、
高めのGain設定とあいまって、貴重な諧調(ダイナミックレンジ)
を損なわないようくれぐれも注意したいものです。

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初撮りできる機会が訪れたら、ステラショット3を使って
オフセットの検証用画像を撮る事を最優先にしたいと考えています。

「星のふるさと館」スタッフでもあるAKIYAMAさんから、1/24に館の点検に上がった際の写真をいただきました.。
心配していた能登地震の機器への被害はなかったそうで、
積雪は駐車場110㎝ 屋上88㎝と 例年に比べればずいぶん少な目だったようです.。

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ステラショット3で『オフセット』にけりを付けるぞ。(その3)

2024年01月25日 | 画像処理のはなし
(その3)と言いながら記事タイトルの字句が少し変わっていますが、前回記事 からの続きです。

今回のオフセットに関する検証の2つの目的のうち、
2つ目の設定が不可だったステラショット2でのオフセット値を推察する
については
前回の記事の検証で、オフセット設定値=””だったことが
”推察”ではなく確定”できました。
しかも これはステラショットでは、オフセット設定の[デフォルトに戻す]にて設定が可能です。

今回は 残されたもう一つの検証目的の
ステラショットASI533MCの適切なオフセット値を求める
について、前回記事に引き続き検証します。

前回のヒストグラムによる検証では、オフセット値533MCカメラのデフォルト値である””、
Gainはユニティーゲインである”100”で検証したのですが、
Gain を変えるとヒストグラムも変化します。
オフセットは””のままで、Gainだけを変えたヒストグラムです。↓
Gainは,上から ”” ”100” ”150” ”200” ”300
私が今回 参考にした記事 では、
Gainを上げることにより、ヒストグラムのピークの幅が広がり
その裾野が”0”にかかるなら、オフセットを更に大きくする必要がある
と記載されていたのですが、わたしの上の検証グラフを見ると
なぜか Gain150”くらいからピークが下がって”0”に近づいます。
なぜこうなるのかは、私にはわかりません。(わかる方がいたら教えて)
(1/26 13:40)
次回の記事作成のため、検証データを最小値・最大値で比較したところ
この原因がわかりました。詳細は 次回の記事 を参照願います。

ちょっと深入りし過ぎたか と思いつつ、「毒を食らわば、皿まで・・」の心境で
たとえば、オフセット値を””に上げたらどうなるか ↓
上から、Gain ”150” ”200” ”300
(1/26)  表示を最小値・レンジから、最小値・最大値に変更しました

ご覧の通り、オフセット値”に上げたら、Gain200まではこれでいけそうですが、
Gain300”になると微妙で、更にオフセットを大きくしたくなります。
ヒストグラムはもう見飽きたかと思いますのでお見せしませんが
オフセット10(Gain は300)ではピークのレベル値が約200の位置まで上昇しました。

533MCカメラをユニティーゲインの”100”でしか使わないのなら
オフセットはデフォルトの””だけでよいのですが、
わたしのように、露光時間短縮のためにGain150”、
更には長焦点のVC200L鏡筒で暗い系外銀河を撮るときはGain300”を使いたい
となると
オールマイティに見える高めのオフセット値の”20”に設定すべきなのでしょうか?


次回は ステラショット2で これまでに撮影した天体画像を使って、
オフセット値Gainが変わるたびに変更しなければならないものなのか、
検証してみます。
あわせて 持論の『天体写真ではオフセットはあまり気にしなくてよい?
についても決着(ケリ)を付ける予定です。(たぶん)


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新年早々に大きな地震に見舞われたのですが、
雪の方はずっと少な目でした。
一昨日あたりからこの冬一番の寒波襲来で心配したのですが、
思ったほど積もらなくてホッとしています。
雪が積もる前に久しぶりにウォーキング、春日神社の石灯篭が地震で倒れたままでした

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ステラショット3で『オフセット』にけりを付ける?(その2)

2024年01月22日 | 画像処理のはなし
”初撮り”の作品も撮れないまま、月はすでに上弦を過ぎ満月期に。
ここはじっくり腰を据えてCMOSカメラオフセットについて検証してみたいと思います。

まずは オフセットとは なにか? から。

これまでの「上越天体写真友の会(J-APA)」の勉強会で得た知識から
CMOSカメラの撮影で各ピクセルでの作業手順を要約すると・・
露光開始でPD(フォトダイオード)が、受けた光子電荷に変換して蓄積を開始する
設定した露光時間に達したら、蓄積した電荷電圧値に変えて読み取る・・・・・
読み取った電圧値(アナログ値)は、ADU(アナログ・デジタル変換ユニット)により、・・・・・・
・・・・・・・・定められたビット数のグレースケール値(デジタル値)に変換される

もし 上の手順ので計測された電圧値(アナログ値)が、PDの感度のばらつきなどから
ADUにより、本来””以上のグレースケール値(デジタル値)を得るべきものが
”として切り捨てられる危険があります。
特に低輝度データが重要な意味を持つ分野では、これを防ぐための方策が必要となります。
その方策がオフセット(バイアスともいう)なのだと思います。
具体的にはで、グレースケール値(デジタル値)”0”に相当する基準電圧(アナログ値)を
変更する(わずか下げる)ことにより、グレースケール値を底上げ(下駄をはかせる)して、
”0”で切り捨てられる事を防いでいるのだと思います。

以上を踏まえて、検証した結果の報告です。

Ⅰ. ステラショット3ASI533MCの適切なオフセット値を求める

手順 1. 低輝度画像の取得
まずは、検証するCMOSカメラの輝度””付近の画像を取得します。
これは意外に簡単で、昼間の室内でも大丈夫です。

具体的には(以下、ステラショットの場合で説明)
検証したいオフセット値を設定(注1)・・・・・・・・・・・・・・・・・・
検証したいGainを設定(注2)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
明るい外光が入らない様、カメラにキャップをする(注3)
設定可能な最も短時間の露光時間を設定して露光(注4)・・

(注1)・・・・・ ステラショットではカメラ”接続”の横の”設定”ボタンで「冷却」設定と合わせて「オフセット」設定が可能・・・・・・・・・・・
*「冷却」についてはごく短時間露光のため、必要なし
(注2)・・・・・Gainを上げると輝度レベルの幅も広がるため、適切なオフセット値も変化します・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(注3)・・・・・カメラキャップをして良いなら、既存の”ダーク画像”でも良さそうですが、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こちらは実際の撮影に合わせた露光時間でダークノイズを取得するのが目的のため使えません
(注4)・・・・・わたしのカメラASI533MCでは32μSecが最低露光時間ですが、”露出[秒]”のスライドバーで設定できました

手順 2. ヒストグラムを使って低輝度画像を検証
ヒストグラムを見ることができるツールが必要ですが、わたしはステライメージ9を使いました。

それでは検証用に撮った画像のヒストグラムですが、まずはオフセット値が0の場合
Gainは推奨とされている(?) ユニティゲインの100です
ヒストグラムの輝度レベル表示幅(からの間)を50まで狭めて拡大しています
上のオフセット値”0”のヒストグラムからわかる事は、
輝度レベル”0”のピクセルが一番多くなっているものの、
その中にはPD(フォトダイオード)感度のばらつきから、本来”4以上”(注5)となるべきものが
含まれているかも知れないということ。
(注5)・・・・”1”ではなく”4”と書いたのは、ASI533MCADUは14ビットなのですが、
ZWOのカメラではそれを4倍して16ビットの輝度レベルにそろえて出力しています。
ヒストグラムの棒グラフの間隔が空いている(4レベルの間隔)のはそのせいです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (参考に) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回の検証では、オフセット値、Gain値をいろいろ替えて画像を何枚も撮っているのですが、
画像情報」の [ FITSヘッダ ]の 表示で 撮影画像のオフセット値Gain値を確認することができます
( 画像クリックで拡大表示できます ) *露光時間は小数点以下2ケタまでしか表示されないため、32μSecが 0.00となっています
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それでは、いよいよオフセットを設定すると、どうなるかですが ・・・
前回記事 で気になった、オフセット設定にあった 謎の[デフォルトに戻す]ボタン。
このボタンを押すと、わたしのASI533MCではオフセットに””が表示されたので、
まずはこのオフセット値で検証してみました。(Gain100は変わらず)
棒グラフが伸びきったため、右側に「ピークを表示」モードのグラフも追加
なんと、予想に反してオフセット値が0からになっただけで、ヒストグラムが大きく変化!
オフセット”0”ではピークは1未満だということしか言えなかったのですが、
オフセット”1”では右側のグラフから、輝度レベルのピークが20くらいになったことがわかります。

これでも十分オフセットの効果は得られたわけで、
オフセット設定時の[デフォルトに戻す]ボタンで設定されるオフセット値は、
額面通りカメラメーカーが設定したデフォルト値(プリセット値)なのかも。

ちなみに、他のカメラではこの[デフォルトに戻す]ボタンでどう設定されるのか?
私より早くステラショットを購入していた お仲間に調べてもらったところ、
同じメーカーのASI294MC Proでは””、ASI385MCでは””が設定されるそうです。
ということは、ますますカメラごとに定められたデフォルト値ではないのかとの思いから、
再び開発元のアストロアーツに問い合わせ中です。
(なんでデフォルト値を設定できるのかもふしぎだったので ・・)

アストロアーツからの回答はまだ届いていないのですが、気持ちが焦って
オフセット設定が不可のステラショット2で同様の短時間露光の画像を撮りなおして比較したところ・・・
(注)ステラショット2のゲイン設定スライダーでは100とならず102となります
ステラショットのオフセット値””のグラフと完全に一致しました。(画像コピーではありません)

つまり、オフセットの設定ができないステラショット2では
ステラショットのオフセット設定で[デフォルトに戻す]ボタンで表示されるオフセット値が適用されている事がわかりました。
つまり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これまでステラショット2で多くの時間を費やして作成してきた撮影画像はむろん、
貴重なダーク画像フラット画像ファイルはオフセット値で作成されており、
ステラショットオフセット設定を[デフォルト値]とすれば、
これからも「ダーク減算」「フラット処理」に使える。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ということです。

これで今回の検証の大きな目的の一つが判明しましたが、
書く方だけでなく、読むほうもお疲れかと思いますので、続きは次回に。

次回からは Gainを変えた場合でもオフセット値はデフォルトでよいか?
更に欲張って
持論の『天体写真ではオフセットはあまり気にしなくてよい?』についても検証できれば。


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これまでステラショット2で作成した大量のダーク・フラット画像が
今後も活用できそうなことがわかって、ホッとしています。
衝動買いに近いステラショット購入の意味があった、という事も含めて。

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ステラショット3で『オフセット』に けりを付ける(その1)

2024年01月20日 | 画像処理のはなし
前回に続き
衝動買いしたステラショット(アップグレード版)の検証になります。
今回は 衝動買いした最大の要因とも言える
「CMOSカメラのオフセット設定機能」についての検証になります。

わたしにとってステラショットは なくてはならない便利なツールですが、
昨今 天体写真の主流となったCMOSカメラに対応したのは、
これまで使ってきたステラショット”(2020.4)からです。
( そう言うわたしがCMOSカメラを導入したのは わずか9か月前です )
CMOSカメラにも対応できるようにはなっていたのですが、
Gain設定はできるものの、オフセット設定はできませんでした

昨年6月から発足した『上越天体写真友の会(J-APA)』の勉強会でも、
CMOSカメラのオフセットについては度々とりあげられたのですが、
オフセット設定のできないステラショットがメインのわたしは
イソップ童話の「酸っぱいブドウ」の 狐 のごとく、
輝度レベル”1”未満のデータを救済するためのオフセット(輝度レベルの底上げ)は、
それよりはるかに明るい光害や月明かりに埋もれて実質的に意味がないのでは?
との持論を主張しました。
しかし自分で検証しようにもオフセット設定ができないことには手も足も出ず。

オフセットの設定が可能”になったステラショットの発売予定が近づいた11月になって、
開発元に「これまでのオフセット設定なしの場合の設定値は?」との問い合わせを行いました。
問い合わせを行った理由は、
これまでステラショット2で多くの時間をかけて作成した「ダーク画像」「フラット画像」が
ステラショット3でも併用して活用できるのかという疑問からだったのですが、
開発元からは以下の回答が
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Ans(アストロアーツ)ステラショット2はZWOのカメラにPC直結で接続する際に、
カメラのデフォルト値をオフセット値としてセットしていますが、
ステラショット上でその値を確認することは残念ながらできない仕様になっております。』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

結局、ステラショットでのオフセット値は不明のままで、
衝動買いというより半ばやけくそでステラショットを購入したというわけです。

前置きが長くなりましたが
ステラショット3を購入したことで、やっとオフセットについての検証が可能になりました。
検証の目的は以下の2つ。
(1)ステラショットで適切なオフセット値を検証する・・・・・・・・・・・・
(2)設定が不可だったステラショットでのオフセット値を推察する

今回 合わせて購入した「公式ガイドブック」でオフセットに関する記述を探したのですが、
わたしが探した限りでは見つかりませんでした。
そんな訳でステラショット3オフセットをどこで設定するのかは検証作業でわかりました。
Gainとは別で、カメラ接続後の[設定]ボタンで「冷却」制御を含む設定パネルが表示されます )
オフセット値はスライドバーで設定するのですが、近くに[デフォルトに戻す]との謎のボタンが。
これが回答にあったカメラのデフォルト値をあらわしているのかどうか?
ちなみに私のASI533MCではこのボタンを押すと””になります。
ステラショットを購入済のメンバーにも問い合わせ中なので、
次回(その2)では報告できると思います。

ほかにも細かい改善はされているようで、ステラショットではGain100、200が
スライドバー設定では102、104になってしまいストレスがたまったのですが・・
スライドバーのスケールを細かくしたようで改善されていました

文字ばかり多いブログ記事となってお疲れかと思いますので、
オフセット検証結果については次回に回したいと思います。

最後に11日にライブスタックの検証を行った際の「只今撮影中ショット」を掲載します。
VC200L鏡筒が向いているのは、ライブスタックの検証用に選んだ おうし座のかに星雲
2024年 1月11日 23時34分~ Tamron Zoom(fl17mm F2.8)30秒×3枚 ISO1600 
ソフトフィルター使用 kiss DX(SEO-SP2) 三脚固定撮影
積雪もある中、”初撮り”ではなく検証用の撮影だったので、『防犯灯隠し箱』などの光害対策はしませんでした。

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前回記事のライブスタックの検証と違って、
オフセットの検証は昼間室内でも検証が可能です。
次回はその検証方法を含めて説明したいと思います。

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ステラショット3の新機能『ライブスタック』検証

2024年01月17日 | 画像処理のはなし
元旦から能登半島地震に見舞われた2024年ですが
天体写真の方は例年通り日本海側につき冬季休業状態となっています。
そんな中で新月の11日夜に少しの時間は雲が切れそうという事で 機材を設営してみました。
初ショットなどは望まずに、貴重な晴れ間を使って
気になっていた昨年末に購入していたステラショットの新機能の検証を行いました。

ステラショットについては、オートガイド機能が加わったステラショット1.5以降の付き合いで
今回のアップグレード版を含めて3回目の購入になります。
実はこれまでと違い、今回のステラショットの購入は迷いました。
それというのも 今回の””で追加された主な新機能が
私にとっては 2万5千円(アップグレード+公式ガイドブック)の価値があるのかどうか疑問だったから。

ステラショットの新機能 (アストロアーツHPより)
ライブスタック・・・電子観望が可能。天体写真の画質向上に貢献するのか?・・・・
フォーカス・・・電動フォカサーではないのでバーティノフマスクで十分・・・・・・
極軸補正・・・「庭撮り」で北極星が見えるので 複雑な操作は不要・・・・・・・・・
改良されたインターフェイス・・・使わない機能の項目が増えるだけでは?

結局気が付いたら注文していたわけですが、
その他の新機能 の中に「上越天体写真友の会(J-APA)」の勉強会でも話題となった
CMOSカメラのオフセット設定機能が追加された事
が衝動買いのトリガになったのかも知れません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回は11日夜に、公式ガイドブックを見ながら検証した
新機能 ライブスタック について報告します。

ステラショット3のライブスタックパネル
( 画像クリックで拡大表示できます )
撮影DATA:M1 かに星雲 VC200L(fl=1800mm) 露出 100秒 ×22枚スタック Gain 300 ASI533MC(冷却 -10℃)

ライブスタックを実行する手順のあらましは以下の通り
(1)上段の表示切替部の「ライブスタック」ボタンを押す → ライブスタックパネルが表示される・・・・・・・
(2)ライブスタックパネル右上部の「撮影設定」から露出時間・ゲイン(CMOS)を設定・・・・・・・・・・・・・・・・・
(3-1)下部の「撮影」(上図の赤枠)から[全フレーム保存]ボタンを押す(自分で画像処理する場合)
(3-2)同じく「撮影」から[スタック開始]ボタンを押す →[スタック中]に変わる・・・・・・・・・・・・・・・・・
(4)1枚目のスタックが終わると、「撮影」の[画像保存]ボタンがアクトになります・・・・・・・・・・・・・・・・
これ以降[画像保存]ボタンをクリックすると、その時点までのスタック画像が保存されます


実はライブスタックについてはこれまで体験したことも 知識もなく、
短時間の露光を繰り返し積算して保存できれば、
VC200Lの長焦点鏡筒の撮影でもガイドブレのない画像が得られるのかな?
という程度で、
画像のずれ分を検出・補正したピクセル単位で”積算”したRAWデータが出力されるとしたら、
と言う妄想も頭のどこかに・・・

実際には 短時間露光で繰り返し撮影しながら、リアルタイムで加算平均して
その処理画像をモニターに表示または画像保存できるというもの。
それでも”保存した画像はステライメージなどで画像処理ができる”との記載があったので
やってみました。
「全フレーム保存」の100秒×22枚(総露光時間2,200秒)をステライメージ9で処理 ↓
総露光時間 37分になるのですが、これまでのVC200Lの通常撮影に比べて
Gainは同じ300でも画質はかなり落ちる印象。(星像のガイド流れは少なくなりましたが)

やってみてわかったのですが ・・
そもそも「全フレーム保存」された画像はRAW画像ではなく、
すでにカラー化(ベイヤー・RGB変換)されたFITS画像のため、後でダーク・フラット処理は不可能です。
おまけに保存されたカラー画像ファイルは、ベイヤー配列のRAW画像(モノクロ)の約6倍も重い。

■「全フレーム保存」された画像のファイルサイズ・・・ 103M (FITS 実数32ビット 3プレーン)・・・
■従来の「通常撮影」された画像のファイルサイズ・・・ 17.3M (FITS 整数16ビット 1プレーン)
(*いずれも ASI533MC での比較)

「全フレーム保存」の画像を百枚保存すれば10.3GB、これを画像処理するのはかなり大変

実はステラショット3ライブスタック中でもダーク・フラット処理は可能となっています。
そのダーク・フラット処理済みのスタック(積算)画像だけを保存して、
ステライメージなどで処理したらどうなるか?
検証してみる価値はありそうですが、公式ガイドブックの記載内容を見てやめました。
[ 公式ガイドブック(P150)の記載] ↓
・・・ 電子観望のためにスタックした画像は、後で画像処理する事もできます。
さらに画質を重視する場合には、次に示す通常の撮影の方法で撮影することをお勧めします。

ライブスタック機能に対するわたしの勝手な妄想は見事に裏切られたのですが、
決して電子観望を否定している訳ではありません。
画質を追及する天体写真とは別の目的で最近は注目すべき機器も登場しています。
特に最近発売された7万円台の電子観望機器SeeStar s50が 話題となっています。
レンズの後継は わずか50mmなのですが・・

J-APA(上越天体写真友の会)会員の中にも購入された方がおられて、
SeeStar s50で撮影されたライブスタック画像を送っていただきました。
参考に「編集後記」の後にその画像を掲載しましたのでご覧ください。

次回はステラショット3で追加されたCMOSカメラのオフセット設定機能について検証予定です。

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以前「子供が望遠鏡を欲しがってるけど、なにがいい?」
という質問に困ったことがあります。
まともな機材は安くても数万円もする上に、覗いてがっかり。
結局、押入れにしまい込まれて終わり。というのが
ほとんどだったからなのですが・・・
最近スマホがあればライブ観望から撮影までこなす機器が登場しています。
7万円台ではありますが、コンパクトな本体とスマホだけで 導入から撮影まで。
これなら子供だけでなく、天体写真に興味のなかった大人もはまるかも。
来月の月例会ではSeeStar s50実物を見せてもらう予定です。
11日夜は放射冷却で検証した機材は撤収時には霜がビッシリ

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J-APA会員の井部さんがSeeStar s50(ZWO製)でライブスタック撮影された画像です。
( いずれも縮小なし画像で掲載しますので、画像クリックで拡大してご覧ください )
10秒×19枚スタック ↑
10秒×48枚スタック ↑
井部さんが購入した時は”即納”だったそうですが、今は人気で”入荷待ち”だそうです。
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