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雲の上には宇宙(そら)
雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!
C11鏡筒の”結露”、月明りの中で対策検証(その2)
2024年10月29日
|
機材
前回記事
に続いて、10月20日夜に実施している
C11鏡筒
の
結露対策
の検証結果の報告です。
この夜の検証に選んだ2つ目の撮影対象は、10月9日に鏡筒フードの効果の検証時にも撮影している
月明りの
小アレイ星雲
(ペルセウス座)
撮影DATA : 2024/10/20 23:55’~24:30’
Celestron
C11+Red(F6.3)(合成fl=1,764㎜)
露出30秒 × 64枚 (総露光32分)
Gain
400
Offset 8 フィルターなし
ASI533MC Pro
(冷却-10℃)
タカハシ EM-200 Temma2M(ノータッチガイド)
ステラショット3
(導入・撮影)
ステライメージ9
(画像変換・トーンカーブ)
*左端に写っているぼんやりした明るいシミは、近傍の6等星によるハレーション
10月9日に撮った画像はこちら ↓
総露光時間は前回は倍の枚数(128枚)だったが、写りは今回の方が良い
前回はフードを付けただけでは結露を防げなかったが、
今回は更に
➀ 鏡筒にヒーターバンド巻きつけ
➁ フードにアルミホイル貼り付け
の結露防止の対策により、
月明かりがあっても前回以上の画像になったものと思われます。
小アレイ星雲
撮影時の機材の様子です。↓
すでにこの時点(0時18分)での明るい月の高度は
61°
続いて3つ目に選んだ撮影対象は おなじみのさんかく座の銀河。
M33銀河 中心部
(さんかく座)
撮影DATA : 2024/10/21 00:36’~01:14’
Celestron
C11+Red(F6.3)(合成fl=1,764㎜)
露出30秒 × 64枚 (総露光32分)
Gain
400
他の撮影DATAは上と同じ
明らかにボテボテの撮影画像に、「ついに結露が?」の不安にかられました。
(ピント位置については追加購入したバーティノフマスクで事前チェックしています)
上の
M33
撮影終了時には明るい月が高度72°まで上っていました。
撮影終了が近づいたころに撮った「只今撮影中」ショットです。↓
( 鏡筒の向いた方角に見える小さな
□
が今回の撮影範囲です )
2024年 10月21日 00時58分~ Tamron Zoom(fl17mm F2.8)20秒×7枚 ISO1600
ソフトフィルター使用
kiss DX(SEO-SP2)
三脚固定撮影
*左上が明るいのは、まもなく自宅屋根から顔を出そうとしている月によるものです
このような月明かりの中で星雲や銀河を撮影することはあまり無かったので、
M33の撮影画像がボテボテなのが月明かりによるものとの確信が持てず、
おそるおそるフードの中を覗いてみたところ・・・
フードの内側は少し湿っていたものの、一番肝心な補正板の結露は無し。
本来なら最も気温が低下する朝方まで検証したかったのですが、
月がまもなく南中するのでここでやめました。
とりあえず、結露防止の効果は検証できたのでほっとしました。
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もう新月期なのでC11鏡筒の本番撮影を行いたいのですが、
ずうっと雲の多い天気が続いています。
今のところ C11鏡筒の大きくて重くて扱いにくいデメリットのみが目立って、
いまだ大口径28㎝の能力が確認できる画像が撮れていません。
我が家の「かたてま野菜」で最後の収穫となるサトイモです
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C11鏡筒のラスボスは”結露”、月明りの中で対策検証(その1)
2024年10月25日
|
機材
紫金山・アトラス彗星が西の空に見えるようになってから、連日のように「彗星祭り」に参加していました。
それでも未だものにならない
C11鏡筒
をあきらめたわけではなく、
これまでの検証で、どうやらこの鏡筒を使いこなす上で残された最大の敵(ラスボス)は
鏡筒前面の補正板への”
結露
”であることが見えてきました。
特にこれから新潟は多湿の季節を迎え、夜間の気温低下で
鏡筒フードだけでは結露が防げない事が先日の検証でわかりました。
そこで新たに2つの結露対策を行いました。
対策.1
ヒーターバンドの購入・取り付け
持っていたヨンニッパレンズ結露防止用のヒータバンドでは短かったため、新たに購入(また出費が・・)
( * 鏡筒前部の段差を利用して、ダブテールの下に巻いています )
対策.2
フードへのアルミホイル貼り付け
前回の検証では純正のフードの内側がびっしょり濡れていたので、フードの放射冷却防止で貼り付けました
( * 薄いアルミホイルだけではすぐ破れるので、アルミテープで補強しています )
フードを鏡筒に取り付けるとこうなります。 ↓
セレストロン製のフードは鏡筒と同じくらいの長さがあります
この対策が功を奏するのか?
検証したのは10月20日の夜。
夕方には2階の屋根で彗星撮影の準備をする一方で、
いつもの1階裏口付近の設置場所には
C11鏡筒
も設営準備。
彗星の撮影を終えて後片付け、遅い夕食を済ませてから
結露対策検証のための撮影を開始できたのは22時半過ぎでした。
最初に選んだ撮影対象はカシオペア座領域の
バブル(シャボン玉)星雲
でした。
月明りのバブル星雲
(カシオペア座)
撮影DATA : 2024/10/20 22:34’~23:43’
Celestron
C11+Red(F6.3)(合成fl=1,764㎜)
露出30秒 × 128枚 (総露光64分
Gain
400
Offset 8 フィルターなし
ASI533MC Pro
(冷却-10℃) タカハシ EM-200 Temma2M
ステラショット3
(導入・撮影)
ステライメージ9
(画像変換・トーンカーブ) *ダーク減算のみ実施
いきなり これまでと見違えた画像を見せられて、驚いた方もおられるかと思います。
撮影中はわずか30秒露光の暗い画像なので、
やはりこんなもんか
。と思っていたのですが、
それを128枚(32枚を4セット)もコンポジットしたらこんな画像になりました。
( おまけに 満月過ぎの明るい月が50°前後まで上っている中での撮影でした )
すくなくとも、このタイトル撮影中は結露による画像の劣化(にじみ)は見られませんでした。
ただしオートガイドなしで赤道儀駆動での撮影のため写野の移動は避けられず、
トリミングせざるを得ませんでした。
トリミング前の画像です
オートガイドを使わなくても、本来は
ステラショット
の
導入補正
機能を使えば
写野の移動は補正できるはずですが、
なぜか
C11鏡筒で撮った画像では
導入補正
がエラー終了
してしまいます。
*
バックフォーカスの位置で焦点距離が変わるとのことなので、
今回の撮影画像とステラナビの写野表示を比較したところ、f=1764mm付近で合っていました。
他に
ステラショット
の
導入補正
がうまく行かない原因として考えられるのは、
明るい星が目立って肥大化する鏡筒の特性から、星の同定がうまくできないのでは?
*
肥大化する原因はシュミ・カセは波長(色)毎にピント位置が違うという収差が残っており、
明るい星ほど可視波長以外(赤外域・紫外域)の影響が目立つためでは?
明るい星の肥大化を防ぐ対策としてはUV/IRカットフイルターの装着が有効と考えられるので、
現在取り寄せ注文中です。(更に出費が・・)
ちなみにこの検証画像の「只今撮影中」ショットも撮っていましたので ご覧ください。↓
2024年 10月20日 22時59分~ Tamron Zoom(fl17mm F2.8)20秒×4枚 ISO1600
ソフトフィルター使用
kiss DX(SEO-SP2)
三脚固定撮影
いつもは30秒露光で撮る「只今撮影中」ショットですが、月が高く上って空が明るく20秒露光が精一杯でした。
ところで
結露対策の効果はどうだった
? については
まだ画像処理が済んでいない残り2タイトルの報告と合わせて、次回の記事で。
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この検証を行った20日夕方にサンニッパで撮った彗星画像ですが、
山ほどの枚数撮ったのに
翌日 ヨンニッパで赤道儀で追尾撮影した画像の方が格段に良かったので
ボツになりました。
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去り行く紫金山・アトラス彗星(ラストショットはヨンニッパと赤道儀で)
2024年10月22日
|
天体写真(月・惑星・彗星)
20日の夜は満月過ぎの月はあるものの、晴れそうということで
C11
鏡筒の
結露対策
の検証のため赤道儀を設置。
その一方で、夕方には
紫金山・アトラス彗星
(
C/2023 A3
)を2階の屋根に三脚を立てて固定撮影。
彗星は
サンニッパ
でかなりの枚数撮ったのですが、
固定撮影のため彗星の移動が大きく画像処理がやっかい。
ブログ用の彗星画像作成に手間取っているうちに
翌21日の夕方も運が良ければ彗星が撮れそうという事で
今度はいつもの裏口付近で
ヨンニッパ
で初めて赤道儀で撮影することに。
彗星の高度がずいぶん高くなっていたため、近所の屋根にかかる前にかなりの時間撮影できました。
ただ西側にある電線群が前半は写り込んだのですが、通過後に撮れた画像で処理した彗星画像です。
去り行く
紫金山・アトラス彗星 (C/2023 A3)
( 彗星核を基準にコンポジット )
撮影DATA
: 2024/10/21 18:42’~ canon
NFD 400㎜ F2.8
(手製絞りF4)
露出 15秒 ×48枚
ISO1600 LPS-D1フィルター
EOS 6D
(HKIR改造)
EM-200 Temma2M
ステラショット3
(撮影)
ステライメージ9
(画像処理)
ステラショットによる導入と EM-200赤道儀による日周運動の追尾は天国の環境です、それと大口径ヨンニッパレンズのパワーも。
(10.23追記)実は来月1日から
上越清里 星のふるさと館
で「
星の文化祭
」が開かれます。
今年は天候不順で出せるものが無くて困っていたのですが、
この彗星の画像を出そうかと、ダーク・フラットも急遽作成して再処理しました。
下の画像はその頭部を縮小なしで切り出したものです。↓
処理枚数も80枚に増やしましたが、透明度が悪く狙ったアンチテールはきれいに出ませんでした
雲はなかったのですが、今回も肉眼で彗星を確認することができませんでした。
それでもわずか20秒露光の「只今撮影中ショット」には写っていました。 ↓
2024年 10月21日 18時54分~ Tamron Zoom(fl17mm F2.8)20秒×5枚 ISO1600
ソフトフィルター使用
kiss DX(SEO-SP2)
三脚固定撮影
これでやっと私の彗星祭りを終えることができます。
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結局この彗星 四夜くらい撮影したのですが 肉眼で見れていないので、
わたしにとっては ”
大
彗星” の記憶としては残らないでしょう。
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C11重厚長大フードは期待外れ
2024年10月19日
|
機材
紫金山・アトラス彗星祭りに参加していたため、少し間が空きましたが
前々回の記事10月9日撮影の
C11鏡筒 実戦初ショットは低空の月"
の後に撮った
星雲・系外銀河の実戦撮影の報告になります。
前回記事の月の撮影を終えたのは18時26分、その後夕食を済ませてこの夜のメイン星雲・系外銀河の実戦撮影に入りました。
屋外での撮影は今回が初めてではないのですが、前回は鏡筒フードなしで補正板がむき出しで結露にやられたため、
今回は購入したレストロン純正フードを装着して初めての星雲・銀河の撮影になります。
購入したフードは、鏡筒と同じくらいの長さがあり 肉厚で重さも約1kg(正確には0.8kg)ある頼もしいやつ
ピント合わせを行ってからTST撮影した画像を見てうれしい驚きが。 ↓
C11鏡筒+F6.3レデユーサー(合成Fl=1,764㎜) 2024/10/ 9 20h04m 露光30秒 Gain500 ASI533MC Pro
以前の記事でVC200Lとの星像比較をやった時はC11+Redの星像は明らかに劣っていたのですが、
今思えば、補正板が結露している状態での比較だったのではと考えなおしました。
これに気をよくして、撮影したタイトルは以下の通り。
(いずれも元画像の50%縮小画像です)
M57リング星雲
(こと座)
撮影データ:2024/10/09 22h17m~ C11+F6.3レデユーサー(合成fl=1,764㎜)
露光 30秒×32枚 Gain300 Offset8 ASI533MC(ー5℃)
あれ、中心星が写っていないのは 南中から5時間も経って高度が低いからか?
M15球状星団
(ペガスス座)
撮影データ:2024/10/09 23h00m~ 露光 30秒×128枚 *他のデータは上と同じ
128枚も撮って、画像処理を終えても星の肥大が目立っているのはなぜ?
M76 小アレイ星雲
(ペルセウス座)
撮影データ:2024/10/10 00h48m~ 露光 30秒×128枚 *他のデータは上と同じ
128枚撮っても星雲の淡い部分がほとんど写っていません
ここでおそるおそる踏み台の上からフード内を覗いてみたところ、
補正板の全面にびっしり結露が。フードの内側もびっしょり濡れていました。
一体、いつから? この夜の上越地方の予報を見ると
昼間は晴れて24℃くらいだったものの、夜間は放射冷却で11℃くらいまで低下していたようです。
まだ晴れてはいたので、とりあえずカメラレンズ用のシリコンクロスで露をふき取って撮影を再開。
系外銀河 NGC891
(アンドロメダ座)
撮影データ:2024/10/10 02h42m~ 露光 30秒×32枚 *他のデータは上と同じ
結露をふき取っただけで見違えた画像になりました。
実は32枚を3セット撮影したのですが、時間とともに再び結露による星の肥大が始まったため
最初のセットの32枚のみ使用して画像処理したものです。
結露を再び拭って最後に撮影したのは
M1 かに星雲
(おうし座)
撮影データ:2024/10/10 04h01m~ 露光 30秒×32枚 *他のデータは上と同じ
結露をぬぐった割には画像がすっきりしないのは、途中から雲が出てきたためです。
久々の当ブログ恒例の撮影時の空の状態がわかる「只今撮影中ショット」になります。 ↓
( 鏡筒の向いた方角に見える小さな
□
が今回の撮影範囲です )
2024年10月10日 03時01分~ Tamron Zoom(fl17mm F2.8)30秒×5枚 ISO1600
ソフトフィルター使用
kiss DX(SEO-SP2)
三脚固定撮影
これはアンドロメダ座NGC891撮影時のショットでした。
これで重厚長大な鏡筒フードも越後の多湿な空にはお手上げな事がわかりました。
現在すでに次の対策を講じたのですが、なんて手間のかかる鏡筒でしょうか。
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天候に恵まれずに紫金山・アトラス彗星をまだ双眼鏡でも見れていません。
15日の夜、自宅2階の屋根で撮った1分にも満たない雲の切れ間の画像です。↓
雲予報が合っていれば、明日の夕方にチャンスがありそうです。
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自宅で撮った紫金山・アトラス彗星(10月14日)
2024年10月15日
|
天体写真(月・惑星・彗星)
前回記事で報告した通り、14日以降は天候が思わしくないという理由で
撮影条件の厳しい13日に近くの金谷山まで撮影に出かけたのですが、
画像処理で彗星がかろうじて写っていた事がわかったという悲惨な結果で終わりました。
そんな昨日(14日)の夕方はやはり薄雲があったので、彗星のライブ中継を見ていたのですが、
あちこちで”見え始めた!”との声を聴いて、
ダメ元で2階の屋根にカメラくらいは設置しておくことにしました。
今回は窓からカメラ三脚を屋根に出して
サンニッパ
のライブビューをPC画面でで確認する作戦。
雲のせいか 星は金星くらいしか見えなかったのですが、なんとライブビューで彗星の姿を補足できました。
どうやら山際だけ雲が切れてきたようです。
そのあとは、彗星が山に隠れるまでひたすら撮り続けました。
撮影画像から作成したGIFアニメです。 ↓
彗星を捕獲してから、撮影開始まで時間が空いたのは構図決めに手間取ったため
2本の太い横線は電線群の一部で、事前の調査でも撮影の邪魔になることは覚悟していたのですが
まさか彗星がテレビの中継塔に神風特攻するとは予想していませんでした。
撮影した画像32枚を使って画像処理してみました。
自宅で撮った
紫金山・アトラス彗星 (C/2023 A3)
撮影DATA
: 2024/10/14 18:06’~ canon
NFD 300㎜ F2.8
露出 2秒 ×32枚
ISO3200 LPS-D1フィルター
EOS 6D
(HKIR改造)
三脚固定撮影
ステラショット3
(撮影)
ステライメージ9
(画像処理)
σ(シグマ)クリッピングでコンポジットすることで中継塔を消しています。(一部手補正も加えて)
サンニッパで彗星を補足できたのは幸運だったのですが、事前のTST撮影で屋根の設置場所からの方位も調べてありました。
10/11 23h15mのTST撮影でテレビ塔などの方位を調べる目的で撮影
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今回のリベンジ撮影は幸運でした。
それにしても連休と重なったこともあって、
この彗星祭りはますます盛大になっているようです。
考えてみたら、わたしはまだ肉眼では彗星を見れていません。
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「上越清里 星のふるさと館」
新潟県内最大の口径65cmの望遠鏡、プラネタリウム設置。
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