雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

純正コマコレクター3 と バーダーMPCC比較 (at R200SS)

2014年02月27日 | 機材
大きな成果が出た「新フラット処理」のきっかけは、
R200SSでの撮影画像の下端に出る”かげり”が、コマコレクターによりどうちがうのか、
フラット画像を撮って比較検証しようとした事からでした。
R200SS購入当初はビクセン純正のコマコレクター3を使っていたのですが、
昨年2月にバーダー社のMPCCMarkⅢに変更しました。
( 両コマコレクタについては を参照願います。)
MPCCMarkⅢの方がレンズ径が小さいので、コマコレクター3に戻すべきかの
検証だったのですが、いつのまにかフラット補正の探究記事になってしまいました。

おかげさまで、フラット補正の成果も出て一段落しましたので、
R200SSのユーザーにとっては関心のあるコマコレクターの特性について
得られたデータをできるだけ客観的に報告いたします。

■ 周辺減光特性 ■ (使用ソフトはステライメージ7
同じ夜に撮影したフラット画像を使用しています。
 構図 ( 鏡筒とカメラが平行 )
レベル値のグラフは垂直方向、強調表示なし
( 左が純正コマコレクタ3  右がバーダーMPCC
R200SSを購入してから一度も光軸調整をしていないため中心が右側にずれています。
下端のかげりも含め、思ったほどの差は無いような・・
 構図 ( 鏡筒とカメラが直角 )
レベル値のグラフは垂直方向、強調表示なし
( 左が純正コマコレクタ3  右がバーダーMPCC
フラットは撮影の構図に合わせて2種類用意してあるのですが、
カメラが90度回転した事により、光量の中心が下側に変わっています。

周辺減光の比較では、レンズ口径の小さいMPCCの分が悪いのですが、
差は少なく、けっこう健闘しているのでは・・

■ 星像による比較 ■ (使用ソフトはステライメージ7
比較に使用した元画像は以下のとおり。
ビクセン コマコレクタ 3
DATA2014/02/24 20:44~ 5分露光 ISO1600 Cooled60D(気温+0.7℃ 冷却オフ ) 透明度2.5(/5段階評価)

バーダープラネタリウム MPCC MarkⅢ
DATA2013/03/05 21:32~ 5分露光 ISO1600 Cooled60D(気温+3.0℃ 冷却オフ ) 透明度3(/5段階評価)
*撮影対象はいずれも「ばら星雲」で横構図だったのですが、
鏡筒に対するカメラの向きが180度ちがっていました。
以下の星像比較では光学系の向きが重要ですので、180度反転したまま比較を行っています。
以下 4隅と中央の等倍画像比較です。
( いずれも 左が純正コマコレクタ3  右がバーダーMPCC です。)
左 上

右 上

中 央

左 下

右 下

購入して未調整の鏡筒ですので4隅の星像で異なっています。
それもあってこの画像からは、なかなか優劣をつけがたいのですが、
これまでの経験から、コンポジットやスターシャープ処理を行えば、
どちらを使っても十分な星像が得られると判断できます。

結局 選ぶのはあなたです

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せっかく比較検証をおこないながら、優劣の判定ができないなんて
申し訳けありません。
ほんとのところ、わたし自身もどちらにしようか迷ってます。
結局は、せっかく買ったのだから・・とか、
コレクタのネジ締め付けがゆるいとか・・
締め付けネジがカメラと干渉するとか・・
で、決まっちゃうのかな?

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2月に撮れたのは、ばら(星雲) 一輪だけ?

2014年02月26日 | 天体写真(星雲・星団)
先月29日に撮影して、それ以降ずっと星を見ていませんでした。
代わりに新フラット画像と称して、ゆき雲を千枚以上も撮りました。
そんな24日夜、めずらしく夜半前は雲が無いという予報だったので、
昼間から設置場所の除雪をして夜を待ちました。
この夜は結局22時過ぎには撤収となったのですが、
ほぼ一ヶ月ぶりに撮影する事ができました。
GPV気象予報では今月はもう晴れそうにないので、たぶん2月はこのタイトルだけ。

積雪はずいぶん減りましたが、空はまだすっきりしません。
じきに曇りそうな予報だったので、南中過ぎのばら星雲を狙いました。

ばら星雲 (いっかくじゅう座)  (ノートリミング画像)
撮影DATA: 2014/ 2/24 20:31’~ VixenR200SS(f=800mm F4) Vixenコマコレクター3
露出 5分×12枚 10分×3枚 コンポジット Cooled 60D (最低気温-1.5℃ 冷却オフ) ISO 1600 LPS-P2FIL
EM-200USD赤道儀 OrionSSAG ガイドスコープGS-60S PHD Guiding ステライメージ7 CanonDPP
ほぼ1年ぶりに純正のコマコレクターを使いました。
既にケラレによる問題は新フラット処理で解決できたのですが、
コマコレクター3用のフラット画像も撮影済みだったので、検証用に使ってみました。
後半10分露光に変更したのですが6枚の内3枚は薄雲でにじみ、
コンポジットには使えませんでした。

他にもう1枚、コンポジットから除外したものがあります。
5分露光2枚目の画像なのですが、光跡がきれいに東西方向に移動しています。
(写っていたのはこの1枚だけなので進行方向は不明)
光度が変わっている事から「イリジウム衛星」かと思ったのですが、
方向がちがいます。(イリジウム衛星なら南北方向に近いはず)
天の赤道付近なので静止衛星が良く写るのですが、
R200SSの画角(横1.6度)から計算すると5分で画面を横切る事はできないはず。
もっとも星の数ほど人工衛星はあり、球体でもない限りは変光しない方がめずらしいと考えれば
どうってことないさ” ですね。(カメラの時計では露光開始20時39分頃)

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2月がまだ終わったわけでもないのに、こんなタイトル。
でもきっと当たってます。(外れてもいいんですよ。)
この「ばら星雲」、いつもリアルな「ドクロ星雲」に見えて困ってます。
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モヤの晴れた網状星雲 西・東(新フラット再処理)

2014年02月25日 | 画像処理のはなし
前回の では、
下端のかげりまで消えてくれるという予想外の成果に驚きました。
かげりがなぜ消えたのか(又はなぜ消えなかったのか)、
その理由について一つの推測を持っています。
その推測によれば、昨年9月に撮った網状星雲でも大きな成果が出るはず。

網状星雲(西側) (はくちょう座)
撮影DATA を参照ねがいます。
以前の処理画像 (ノートリミング)
簡易フラット後も画面下端に暗いかげりと、かぶりのようなものも見えます。

新フラット処理による画像 (ノートリミング)
下端のかげりも、モヤのようなものもすっきり無くなっています。
星雲の下側(むかし爆発した星のあった側)はガスのせいか、若干明るい様です。

網状星雲(東側) (はくちょう座)
撮影DATA を参照ねがいます。
以前の処理画像 (ノートリミング)

新フラット処理による画像 (ノートリミング)
ちがいはあきらか、透明感まで感じられるようになりました。

記事の最初に書いた”推測”とは、カメラの向きの事です。
縦・横の構図に合わせてフラットは2種類用意してあるのですが、
カメラが180度回転していた場合は、減光特性も180度ずれてしまいます。
(わたしのR200SSは現在光量のピークが中心から少しずれています。)
今回の網状星雲は周辺減光特性を見たところ、向きは合っていました。

ただし、フラットファイルのちがいが原因かも知れないので、
前に室内から撮ったフラットでも別途検証してみます。

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去年撮ったものなのに、みちがえた姿で見ることができる。
こんなこともあろうかと思って、これまで撮った元画像は残してあります。
もっとも、フラットに関してはゴミなどその時々で変化するものもあります。
いつまでもフラットファイルが使える様、
カメラ内のゴミとりなどはしないようにしよう。

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ペリカンから北アメリカ(3枚モザイク)で見えた新フラットの威力

2014年02月24日 | 画像処理のはなし
今回も再処理画像なのですが、使ったフラット画像は昨夜新しく撮り直したものです。
これまでの2階室内からのフラット撮影では、
どうしても低空で地上光の影響を受けやすいため、
昨夜 雪の落ちてきそうな屋外で天頂付近に向けてフラット撮影をおこないました。
室内から撮ったものとの比較です。
*いずれもフラットマスクなしで、雪雲を撮影
20日夜 2階から撮影したフラット画像 15秒露光 ISO1600

22日夜 屋外で撮影したフラット画像 20秒露光 ISO1600
Gを基準に見れば、屋外で撮影したフラットの方がBの分散が少ないと言えますが
大きな違いはありませんでした。(空の状態もちがってますし・・)

ところが、このフラット(32枚コンポジット・ダークも同様)を使って、
昨年9月に撮った北アメリカ星雲からペリカン星雲(3枚モザイク)
の再処理をおこなったところ、予想外の結果になりました。

以前の処理画像 (ノートリミング)
簡易フラット処理は行っているのですが、全ての画像に
ミラーボックスによると思われる下端のかげりが出ています。
また薄明終了後、早い時間に撮ったペリカン星雲ではゴミの影も目立ち、
完成画像では手補正で目立たないようにしてあります。
画像の撮影データは昨年10/1 を参照ねがいます。
簡易フラット・・・スーパーの買い物袋で作ったフラットマスクで昼間の空を撮影(フラットダークは無し)

それでは、撮りたてのフラットを使って処理した画像です。 (ノートリミング
下端のカゲリが消えている!!
思わず目を疑ってしまいました。
これだけ明るくしてもゴミだけでなく、カゲリも見えません。
ちょっと興奮気味で、冷静に分析できません。
3枚モザイクをつないだ画像です。(モザイク結合にはマイクロソフトのImageConpositeEditerを使用。)
かげりが無くなったのがうれしくて、調子にのって明るくしすぎたかも。
ちなみに以前の処理画像はこちら。
モザイク画像では重複部分をトリミングするため、下端のかげりの影響は少ないのですが、
1枚画像の場合はつらいものがあります。

なぜ、かげりまで無くなったのか現時点では推測すらできません。
たまたま今回の画像の特性が合っていただけなのか?

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今回まぐれだったのかどうかは、
別の画像で試してみるのが一番。
昨夜は縦位置・横位置に加えて、1.4Xのエクステンダーの
フラットも撮ったため、処理対象には困りません。

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新フラットでアンドロメダ大銀河 再処理

2014年02月23日 | 画像処理のはなし
新フラットで再処理」は最初からつまづいてしまったが、
これにこりずに今回は昨年9月に撮ったアンドロメダ大銀河の再処理を実施。
撮影データは を参照。

この画像を選んだ理由は「(たて)構図」で撮っている事。
下は縦位置用のフラット画像の周辺減光特性です。
前回のばら星雲は横位置用のフラットを使用したのですが、
今回のM31は縦構図で2枚モザイク用の画像です。
反射鏡筒に対してカメラが90度回転したため、中央やや下に光量のピークがありますが、
偏りが画角の短辺方向のため影響が少なくなっています。
縦構図では、左右の偏りは少ない事に注目
下は2枚モザイクの西側の画像のヒストグラムです。
使用したフラット画像よりRGBが揃っています。(フラット画像のヒストグラムは前回記事参照)
これは撮影時の空の透明度が良く、地上光の影響が少なかった為。

お待たせしました。新フラット処理後の画像です。
■ アンドロメダ大銀河(東側)
下は以前の処理画像です。
以前の画像は銀河の淡い部分と背景むらの境界があいまいになっています。

■ アンドロメダ大銀河(西側)
下は以前の処理画像です。

当然、2枚モザイク合成してみました。 ( 上が北になるよう画像回転 )
下は以前のモザイク画像

色合いなども異なりますので、中には「前回の方が好き」という人もおられるかも。
ただ、新しい方は周辺減光補正も省略して、画像処理はシンプルになっています。

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フラットパネルなしでフラット画像を取得するには、
夜、厚い雪雲におおわれた空を撮るのが便利なのですが、
これまでの室内からだと、低空で光害の影響を受けやすいため
屋外で天頂に向けて撮りなおす事にしました。
雪雲が厚く、雪が舞う心配の無い夜となるとこれがなかなかむずかしい。
春が近いので焦って今夜撮ったのですが、小雪が少し舞っていたかも。

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