雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

二度の減算で G・Bカブリを補正する(ステライメージ)

2018年08月26日 | 画像処理のはなし
満月期で撮影できませんので、今回は最近多用しているカブリ補正の方法について。

きっかけは3月に購入した光害カットフィルター LPS-D2 でした。
最近増加しているLED照明対策で購入したのですが、
反面 従来の蛍光灯や水銀灯の光害には甘くなっている事が判明。
( 関連記事 「まだ早すぎたのか?LPS-D2 フィルター(・・・)」 参照 )

6月から導入したフルサイズカメラで撮影した画像でも 緑・青カブリが目立ちます。
従来の処理が終わった画像(カブリ補正処理前) ↓
上の2枚はR200SS+コレクターPH(f=760mm)、下の2枚はVC200L+レデユーサーHD(f=1,386mm)
( * 掲載画像はカブリがわかりやすいよう、彩度・明るさ・コントラストを強調しています )

以前から画像の端に線状のカブリが出る事がありましたが、
より複雑な緑・青カブリが発生しています。
これまで線状のカブリは手持ちのペイントソフト(PaintShopPro)でごまかしていましたが、
もはや矩形範囲選択で明度を調整するだけでは解決不可能。
おまけにそのような職人技は再現ができないという問題があります。
再現不可能だと 複数のモザイク画像処理で不都合が生じやすくなります。

試行錯誤の結果 ステライメージを使った 緑・青カブリの補正方法を見つけました。
カブった画像をRGB3色に分解して処理をおこなうのですが、
以下の2ステップになります。
Step_1 G・B カブリ データの検出・・・
Step_2 G・B カブリ データによる減算

具体的な手順です
( 私が使用している ステライメージ 7 での手順になります )

Step_1 G・B カブリ データの検出・・・
1) .処理の終わった画像(G・Bカブリあり)を開きます
2) .「合成」メニュー から [RGB3色分解] を実施
RGB分解後の画像 ↓

3) .分解した G画像 から R画像 を減算する
G画像 を開き、「合成」メニュー から [コンポジット] を選択
[ウィンドウ]に R画像 を指定し、[合成方法]は ”減算” を選択
重要 ) オプションの ”0以下をきりすてる” にチエックを入れます
でないと、
もともと赤(R)が強い部分は減算結果がマイナスとなり、
Step_2の減算で緑(G)青(B)が逆に加算されてしまいます

4) .減算後の画像をコピーしたあと、減算前の画像に戻しておきます
● 減算後の画像を「範囲選択」 メニュー / ” すべて選択 ”
● 「編集」 メニュー / ” コピー ”
● 「編集」 メニュー / ” 新規貼り付け ” ( 新ファイル名を付けます 例 G-R )

● コピー元の減算後の画像を「範囲選択」 メニュー / ” 選択解除 ”
● 「編集」 メニュー / ” 元に戻す ”

5) .分解した B画像 から R画像 を減算する
G画像 のときと同様に行います
カブリ抽出画像(R画像減算後の画像) ↓


Step_2 G・B カブリ データによる減算
1) .元に戻した G画像 から G-R画像 を減算する
ただし、このまま減算すると 元々青い星の青味まで失われるため
星マスク を使用します。
わたしの場合、最終段の「マルチバンドシャープ」処理用に作成した 『星マスク』 を再利用しています
星マスク』の作成は4年ほど前からオリジナルな方法でおこなっています。
関連記事はこちら → 「SI7 効率的な「選択マスク」作成方法が、見つかりました 」

● 元に戻したG画像を開き、「範囲選択」 メニュー / ” 選択マスク設定 ”で
星マスク』画像を指定したのち、
「範囲選択」 メニュー / ” 選択マスクを反転 ”をクリック
(これで、明るい星や星雲 部分が減算されにくくなります )
以降は Step_1 と同様に G画像からG-R画像を減算します。

2) .元に戻した B画像 から B-R画像 を減算する
星マスク」も含め、G画像 のときと同様に行います
・・・・・・・・・・
最後に 減算処理の終わったG画像B画像と 手つかずのR画像
合成」メニュー から [RGB合成] を実施して完了です
カブリ処理後の画像については、いずれも記事掲載済ですので割愛します。

お気づきの方もおられると思いますが、
青や緑っぽいガス星雲などではこの処理方法は副作用が発生します。

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結果論ですが、光害対策としてはLPS-D1にしとけば良かった。
でも税込み2万オーバーとなると、今更追加購入するわけにも。
購入したLPS-D2も無駄になるし・・
今回の方法も含め、なんとかだましだまし使っていくしか。

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M17(オメガ星雲) と M9(オマケの球状星団)

2018年08月22日 | 天体写真(星雲・星団)
4日に撮った画像がまだ残っていました。
この夜のメインは最接近から4日後の火星の撮影だったのですが
( その時撮った火星画像の記事は → こちら )
南中(23:18)まで時間があったため、M17 オメガ星雲 を撮影。

M17 オメガ星雲 ( いて座 )
( 画像クリックで元画像の25%表示 )
( 北 は 上方向 )
撮影DATA : 2018/ 8/ 4 21:27’~  Vixen VC200l+レデユーサーHD(合成f=1,3867mm))
露出 分 × 枚+分 ×  ISO 6400 LPS-D2 EOS 6D (HKIR改造)
タカハシ EM-200 Temma2M マイクロガイドスコープ 60 ToupCam ステラショット ステライメージ7
フルサイズカメラに替えてから オメガ星雲 を撮るのはこれで2度目。
前回は6月にヨンニッパレンズで撮っています

実はオメガ星雲の南中(21:17)前にも 時間つぶしで撮っていました。
M9 球状星団 ( へびつかい座 )
( 画像クリックで元画像の25%表示 )
( M9 の右側に星の無い空間がありますが、暗黒星雲のB64のようです 北 は 上方向 )
撮影DATA : 2018/ 8/ 4 20:56’~  Vixen VC200l+レデユーサーHD(合成f=1,3867mm))
露出 分 × 枚+分 ×  ISO 6400 LPS-D2 EOS 6D (HKIR改造)
タカハシ EM-200 Temma2M マイクロガイドスコープ 60 ToupCam ステラショット ステライメージ7
わずか20分の露光ですが、いつかメシエ一覧でもやるときに使おうと。
M9 の等倍トリミング画像です ↓

いて座 オメガ星雲 の撮影風景です。
右の枠はM 9 の写野


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孫たちは今週初めにみんな帰っていきました。
孫たちのいた約2週間は星が遠慮してくれていたので、
さあ、これから撮ろうと思ったら・・
もう満月期になっていました。
 
つぎにみんなそろうのはいつかな?

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こぎつね座 NGC6820星雲 (APS-C ・ フルサイズ撮り比べ)

2018年08月16日 | 天体写真(星雲・星団)
3日夜 M16 を撮り終えた後 すでに下弦前の月が上った中で撮ったのは
天頂付近にあったこぎつね座の淡い星雲。

南中から1時間ほど過ぎ 頭上の電線群をすでに通過していました
おりおんショット(撮影中の空)を撮るのは習慣になっているのですが、
その夜の空の状態を記録する意味もあります。
この夜はすでに上った月の明かりと薄雲ありで 悪条件だった事がわかります。

NGC 6820 星雲 (こぎつね座 )
( 画像クリックで元画像の25%表示 )
ひろがった赤い星雲がNGC 6820、中央の小さな星団はNGC 6823です  ( 北 は 上方向 )
撮影DATA : 2018/ 8/ 3 23:44’~  Vixen VC200l+レデユーサーHD(合成f=1,3867mm))
露出 分 × 枚+分 ×  ISO 6400 LPS-D2 EOS 6D (HKIR改造)
タカハシ EM-200 Temma2M マイクロガイドスコープ 60 ToupCam ステラショット ステライメージ7
画像クリックで拡大して見ると、星雲中心部にM16の『創造の柱』 を細くしたようなものが。
今回はフルサイズカメラでも小さくなり過ぎないように、やや長焦点(f=1,386mm)で撮影しました。

2年前には ほぼ同じエリアを単焦点で明るいR200SS(f= 760mm)と
APS-Cサイズカメラで撮っています。

両方の画像を同じ30%に縮小し、星雲の中心部を640×640ピクセルで切り出してみました。
フルサイズカメラ(EOS 6D)の方は冷却なしで、総露光時間も少なく
感度も8倍に上げているにもかかわらず画像の荒れは許容範囲。
長焦点で暗くなった分は高感度で補い、フルサイズの低ノイズ性能でカバー。

やはり「長焦点でフルサイズ」 も ”アリ” なのでは?

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千葉の孫娘のあみちゃんのあと、東京のいっちー君が先発で来てくれてました。
いっちーくん、 あみちゃんの積み木パンチや、ままごとパンチにひたすら耐えております
更に今日からは妹のいとちゃんが一足遅れて合流。
どうなることやら。

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M16(わし星雲)の中の 『創造の柱』

2018年08月11日 | 天体写真(星雲・星団)
例年ですと梅雨が明けた後も7月・8月は雲が出やすく
「天体写真」 は 冬に次いで撮影機会が少ないわが越後ですが、
8月の新月期の前までは結構撮影することができました。
その代わりに地元上越地方のこの一か月の雨量は平年の3%しかなく、
農業被害が出始めています。

そんな今回は、今月3日夜 月が上ってくる前に撮ったM16 わし星雲です。

M16 わし星雲 (へび座 尾部
( 画像クリックで元画像の25%表示 )
( 北 は 上方向 になります )
撮影DATA : 2018/ 8/ 3 21:50’~  Vixen VC200l+レデユーサーHD(合成f=1,3867mm))
露出 分 × 枚+分 ×  ISO 6400 LPS-D2 EOS 6D (HKIR改造)
タカハシ EM-200 Temma2M マイクロガイドスコープ 60 ToupCam ステラショット ステライメージ7

今年はもう無理かと思っていたのですが、
下弦前の月(月齢21.9)が上ってくる前の早い時間から撮り始めました。
この星雲の中心部には1995年4月にハッブル宇宙望遠鏡の写真によって
有名になった『 創造の柱 』 があります。
上の画像の中心部をトリミングした画像です。 ↓
画像中央の濃いガスの柱の中には産声を上げたばかりの星が隠れています

カメラがフルサイズに変わったため VC200L レデユーサー無し(f=1,800mm)の
長焦点で拡大したいところですが、今回の画像でも東西方向に星が流れています。
感度をISO6400まで上げて 露光時間の短縮を行っているのですが、
レデユーサーなしだと露光時間が更に延び、ガイドも数段きびしくなります。
(それでも 挑戦してみたいです)

撮影中(22:05 頃)の風景です。
右側の脚立に取り付けたパネルで 道路沿いの防犯灯を防いでいます

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千葉から孫娘のあみちゃんが遊びに来ています。
昨日はこの春できた水族館「うみがたり」へ。
魚やペンギンは大丈夫だったのですが・・
イルカショーは なぜかこわがって逃げ出しました。

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カブリをねじ伏せ IC1396北部 (ケフェウス座)

2018年08月08日 | 天体写真(星雲・星団)
火星大接近や長岡大花火の記事で、まだ先月14日夜に撮った画像が残っていました。
薄明が始まるまで撮ったケフェウス座の IC1396、 この夜4タイトル目になります。

実は記事掲載が遅れたのは ほかにも理由が。
下の画像は一応処理の終わったものですが、ひどいことになっています。
右はカブリがわかりやすいよう誇張したものです

ここまでカブリが目立つのは、3月に購入した光害カットフィルター
LPS-D2 によるものも大きいのではないかと考えています。
LPS-D2 はLED照明光に対応した新フィルターですが、
反面 従来の蛍光灯などの灯火には弱くなっています。
当ブログの記事 「まだ早すぎたのか? LPS-D2フィルター ・・」 を参照願います
団地内の防犯灯はLED化されつつありますが、近隣家庭の照明はまだまだです。

ここまで複雑なカブリになると、手持ちのペイントソフトを使った
職人技が通用せず、
なんとかステライメージを使ったカブリの処理方法を試行錯誤しました。
その処理結果です。

IC 1396 北部 (ケフェウス座)
( 画像クリックで元画像の25%表示 )
( 北 は 上方向 になります )
撮影DATA : 2018/ 7/ 15am 02:10’~  Vixen R200SS+コレクターPH(合成f=760mm))
露出 分 × 枚+分 ×  ISO 3200 LPS-D2 EOS 6D (HKIR改造)
タカハシ EM-200 Temma2M マイクロガイドスコープ 60 ToupCam ステラショット ステライメージ7

この星雲の見どころ、通称「 象の鼻 」です。
見どころが下端ギリギリになった理由は・・・
今回使用した導入用Mapです。↓
2枚モザイク用の南側は別途撮影予定ですが、
自然につなげるためにも再現不可能な ”職人技 ”は不都合でした。

撮影を始めたころのおりおんショット(撮影時風景)です。
右側が明るいのは公園の防犯灯と直江津市街地の灯火

今回のステライメージを使ったカブリ補正は今後も使っていきますが、
その方法・手順については別途 画像ストックが無くなった頃に記事掲載しようかな。
今回はヒントだけ。
1) RGB3色分解
2) 青・緑カブリを抽出
3) G・B画像から抽出カブリを減算
4) RGB再合成

最初は 3) の減算 で青い星の青味まで失われたため、
マスク画像で背景の暗い部分だけを減算するようにしました。
それでもこの処理方法は青味がかった星雲には不向きです。

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今夜 千葉から孫の第一陣が遊びにくる予定。
車なので台風が心配です。

「かたてま野菜」キューリは終わりですが、ナスはますます盛ん

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