雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

かに星雲リベンジ撮影と11年間の膨張

2024年02月28日 | 天体写真(星雲・星団)
今年に入ってようやく初撮りができたのは2月12日夜だったのですが、
なんと翌13日の夜も夜半前までは雲が無いという予報。
13日夜は 細い三日月とは言え 月が沈むのが21時過ぎなのでせいぜい1タイトル撮るのが精いっぱい
と考えて選んだのが、
前日VC200LのレデユーサーとR200SSのコレクターを取り違えた騒動で
撮り逃がした かに星雲 をリベンジ撮影することにしました。

結局6分露光で25枚撮影中ガイド不良の6枚を除いて処理した画像です。

 M1 かに星雲 NGC 1952 (おうし座) 
( 元画像の 50%に縮小 ほぼノートリミング )
(  上 が 北 になっています )
撮影DATA : 2024/ 2/13 20:59’~ Vixen VC200L(レデユーサーHD) (合成fl=1386㎜)
露出 6分 × 19枚 (Gain150  Offset1) LPS-D1フィルター ASI533MC Pro(冷却-10℃)
 タカハシ EM-200 Temma2M  ステラショット3(導入・撮影・オートガイド) ステライメージ9(画像処理)
ダーク・フラット処理はまじめに行っています

思いのほかガイドグラフが小刻みに揺れたため、星像が肥大化してしまいました。

以前撮ったかに星雲の画像と比較してみようとして探してみたところ、
2021年11月末に撮った画像と、2013年 1月末に撮った画像とを
GIFアニメ化して約9年間の星雲の膨張が見れるか挑戦 というものを見つけました。
そのときのブログ記事は ⇒ こちら
鏡筒とレデューサーは前回と同一ですが、前回カメラはAPS-Cサイズのデジ一眼Coolrd60D
今回はよりピクセルサイズの小さいCMOSカメラで、
更に2年が経過して11年間の膨張が見れるということで再挑戦してみました。
完成したGIFアニメです。 ↓

かに星雲 11年間の膨張
右上の矢印の先にある恒星(約10等級)は目立って大きな固有運動を持っており、移動の理由はわかりませんがごく近くにある星と思われます

wikipedia によると、かに星雲誕生の原因である超新星爆発は今から970年前の西暦1054年。
爆発で膨張するガスは毎秒1100kmの速さとはいうものの、970年かかっても見かけはまだこんな。
たった11年間で膨張がわかるのがむしろ不思議に思えます。

11年前のかに星雲として使ったのは前回と同じ画像 ↓
残念ながら残っていたのはこのJPEG縮小画像のみ。
撮影画像DATAがあれば処理しなおして星雲の画調をそろえることができたのですが、今回はオートストレッチで色調のみ合わせて使いました。


撮影時の空の状態もわかる恒例の「只今撮影中ショット」になります。 ↓
( 鏡筒の向いた方角に見える小さなが今回の撮影範囲です )
2024年 2月13日 21時17分~ Tamron Zoom(fl17mm F2.8)30秒×6枚 ISO1600 
ソフトフィルター使用 kiss DX(SEO-SP2) 三脚固定撮影

夜半過ぎても雲はまだなかったのですが、良い空というわけでもなく 前夜の疲れもありかに星雲だけ撮って撤収しました。


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先日のブログ記事で、「ひとまずけりを付けた」はずのオフセット設定。
2月の月例会で勉強会の当番(?)が回ってきたので
ブログの記事を使ってそのあらましを話したところ、
オフセット設定値を決めるためのヒストグラムは
”対数スケール”で見ることが重要 とのアドバイスが。
”対数スケール”で見直してみたところヒストグラムが様変わり。
これで一念発起して、ダーク・フラット画像も作り直そうとした矢先に、
”ステラショット3のオフセット設定はバグがあるかも?”、との話に発展して・・
(機会があればブログで紹介しようかな?)
3月の新月期はどうしたらいいのでしょう?

この間までの春の陽気に誘われて芽を出した庭のフキノトウ、戻った寒さに震えあがっています。わたしも。


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二月のひまわり銀河M63

2024年02月25日 | 天体写真(系外銀河)
2月12日夜(正確には13日早朝)に撮った りょうけん座のM63 通称 ひまわり銀河です。

 M63 ひまわり銀河 NGC 5055 (りょうけん座) 
( 元画像の 50%に縮小 ほぼノートリミング )
(  上 が 北 になっています )
撮影DATA : 2024/ 2/13 03:44’~ Vixen VC200L(レデユーサーHD) (合成fl=1386㎜)
露出 6分 × 17枚 (Gain150  Offset1) LPS-D1フィルター ASI533MC Pro(冷却-10℃)
 タカハシ EM-200 Temma2M  ステラショット3(導入・撮影・オートガイド) ステライメージ9(画像処理)
ダーク・フラット処理はまじめに行っています

この夜はシンチレーション(大気の揺れ)が大きく 拡大撮影には向いてなかったのですが、
さらに早朝には靄(もや)も出てきたようで透明度も悪化。

もう少しキレの良い”ひまわり”画像がないか 過去に撮影したものを探してみました。
その結果2019年4月と2021年3月に撮影した画像が良さそうだったので、
保存してあった撮影画像データから画像処理をやり直してみたのが下の画像。↓

( 元画像の 35%に縮小 )
2019/4/12・2021/3/9 VC200L(fl 1800mm) 総露光時間294分 ISO6400 by EOS6D(HKIR改造)

長焦点のVC200L(レデユーサーなし)で撮っているのですが、フルサイズカメラでの撮影のため写野が広く
銀河が小さく写っています。
銀河部分を等倍(縮小なし)で切り出してみると ↓
ひまわり”に見えるかどうかは別にして、今回撮った画像より細部まで解像できているようです。


撮影時の空の状態もわかる恒例の「只今撮影中ショット」になります。 ↓
( 鏡筒の向いた方角に見える小さなが今回の撮影範囲です )
2024年 2月13日 04時41分~ Tamron Zoom(fl17mm F2.8)30秒×6枚 ISO1600 
ソフトフィルター使用 kiss DX(SEO-SP2) 三脚固定撮影

北斗七星はもっと明るく元気よくあってほしいものです。


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今回 保存してある過去の撮影DATAから処理をやりなおしてみました。
実はCMOSカメラASI533MCを使い始めてから、
私の定番画像処理ソフトステライメージ9(未だPix Insightではない)
の処理方法が変わってきています。
どちらかと言えばナチュラルな方向に。
過去の撮影画像はすべて保存してあるので、いつかはPix Insightを使って
第二の天体写真生活を楽しむ時が来るかも。

昨日は上越市の山間の地区で幻想的な「灯の回廊」が開催されました
じぃじ・ばぁばも誘われたのですがコタツでぬくぬくの方が・・


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ムーディーなボーデの銀河 M81

2024年02月22日 | 天体写真(系外銀河)
出足から躓(つまづ)いた12日夜に撮った3タイトル目のおおぐま座のM81になります。

 M81 NGC 3031 (おおぐま座) 
( 元画像の 50%に縮小 ほぼノートリミング )
(  上 が 北 になっています )
撮影DATA : 2024/ 2/13 00:56’~ Vixen VC200L(レデユーサーHD) (合成fl=1386㎜)
露出 6分 × 22枚 (Gain150  Offset1) LPS-D1フィルター ASI533MC Pro(冷却-10℃)
 タカハシ EM-200 Temma2M  ステラショット3(導入・撮影・オートガイド) ステライメージ9(画像処理)
ダーク・フラット処理はまじめに行っています

これまでこの銀河は北側にあるM82と一緒に撮るのが定番でしたが、
昨年から導入したCMOSカメラのASI533MCのセンサーサイズが小さいことから
長焦点のVC200L鏡筒だとレデューサーを付けても単独にしか写せません。

この前に撮ったきりん座のNGC2403の画像処理で、この夜のシィーングの悪さは
わかっていたので期待していなかったのですが、
2時間以上の総露光時間の割にはメリハリのない画像になってしまいました。

わたしがこのM81を撮る時のポイントは 銀河右下にある近接した2つの星のきれいな分離と、
銀河左側にある淡い伴銀河(?)が確認できるかなのですが・・
淡い伴銀河の方は上の画像では厳しいかも。
そこで画像を反転してコントラストを上げてみると ↓
なんとか写ってはいるようですが

この夜の透明度の悪さもわかる「只今撮影中ショット」になります。 ↓
( 鏡筒の向いた方角に見える小さなが今回の撮影範囲です )
2024年 2月13日 01時50分~ Tamron Zoom(fl17mm F2.8)30秒×6枚 ISO1600 
ソフトフィルター使用 kiss DX(SEO-SP2) 三脚固定撮影


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「上越天体写真友の会 (J-APA)」の月例会は毎月第3火曜日です。
今月の例会では今話題のSeestarの実物と動作検証を行いました。
他には話題の画像処理ソフトのPixInsightが円安で高すぎて買えないとか・・
勉強会のネタは尽きません。
先日まで春のような陽気だったのですが、また冬に戻ってしまいました (2月18日ベランダより)


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『初撮り』に 第三の敵シンチレーションが・・(きりん座NGC2403)

2024年02月18日 | 天体写真(系外銀河)
前回記事 に書いた通り 私のうっかりミスから、
待ちに待った『初撮り』の出だしからつまづいてしまい、
12日夜の2タイトル目に予定していたきりん座NGC2403
撮影開始が1時間以上も遅れ、6分露光で25枚撮るはずが半分も撮れませんでした。

総露光時間1時間余を処理した画像です。 ↓

 NGC2403 (きりん座) 
( 元画像の 60%に縮小 ほぼノートリミング )
(  上 が 北 になっています )
撮影DATA : 2024/ 2/12 23:32’~ Vixen VC200L(レデユーサーHD) (合成fl=1386㎜)
露出 5分 × 3枚 + 6分 × 9枚 (Gain150  Offset1) LPS-D1フィルター ASI533MC Pro(冷却-10℃)
 タカハシ EM-200 Temma2M  ステラショット3(導入・撮影・オートガイド) ステライメージ9(画像処理)
ダーク・フラット処理はまじめに行っています

見かけも大きく明るいのですが、意外にメリハリのない系外銀河で難物です。
今回も予想通りさえない姿となってしまいました。

この銀河は2015年以降これまでに10夜くらい撮っているのですが、その中で一番良く撮れた画像です。 ↓
( 元画像の 35%に縮小 ほぼノートリミング )
撮影DATA : 2018/ 3/10 Vixen VC200L(レデユーサーHD) (合成fl=1386㎜)
露出 20分 × 6枚 + 5分 × 3枚  ISO 3200  LPS-D2フィルター Cooled60D
 *その他は 省略

各画像の銀河中心部を75%縮小でトリミングして比較してみました。

撮影鏡筒は全く同じで、カメラはCMOSデジ一眼(APS-C)の違いはあるものの
ピクセルサイズも似通っています。(533MC 3.76μm 60D 4.3μm)
比べると今回撮った画像はピンボケではないか と疑いたくなりますが、
いつもピント確認のため事前に撮るバーティノフマスク画像は問題なし。

それなのに画像処理前の撮影画像(コンポジットまで済)で、すでにこの差。
( 各画像左上の円内は 撮影に先立ってピントを確認したバーティノフマスクの画像 )

レデューサーを付けても焦点距離1400mm近くになると、
シンチレーション(大気のゆらぎ)の影響は大きいという事ですね。

今回の「只今撮影中ショット」になります。 ↓
( 鏡筒の向いた方角に見える小さなが今回の撮影範囲です )
2024年 2月13日 0時03分~ Tamron Zoom(fl17mm F2.8)30秒×7枚 ISO1600 
ソフトフィルター使用 kiss DX(SEO-SP2) 三脚固定撮影


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今思えば、やけに星が瞬く夜でした。

あまり考えないで記事タイトルに「第三の敵」と書いてしまったのですが、
それじゃ”第一”・”第二”の敵はなに? と突っ込まれそうです。
そこで いま考えたのですが、
「第一の敵」は 薄雲・靄(もや)による透明度不良
「第二の敵」は 上弦から下弦までの月明かり・・・・
ということで。


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すったもんだで、ようやく『初撮り』

2024年02月15日 | 天体写真(系外銀河)
今年に入ってから、まだまともな撮影ができる空模様になっていませんでした。
それが先日12日になってようやく『初撮り』の機会が訪れました。
まともな撮影は昨年12月4日以来になります。

2月の撮影対象のリストはとうに作成済だったのですが、これだけ撮れないと
何を撮るか”より、今後に役立つ”どう撮るか”に重きを置くべきでではないか、
ということで
今回はASI533MCでの撮影を前提に 以下の方針で行くことに。

VC200L(fl1800mm)レデューサーHDを付けて撮影する。(合成fl=1386mm)
(理由)VC200Lではオートガイドの歩留まりが悪すぎる、R200SSでは系外銀河は拡大不足

② 系外銀河もASI533MCのGain150で撮影する。
(理由)昨年はGain300で撮影時間の短縮を図ったが、ダイナミックレンジの広い低Gainでの撮影を検証

他には、昨年12月に購入してほとんど使っていないステラショット3
慣れることも大事になります。


今年は異常な暖冬で設置場所に雪はなく、明るいうちに設置を完了。


設置が終わった後に、レデユーサーを付けて無かったことに気づき取り付け。(これがこのあと ”すったもんだ”の原因に・・)

空が暗くなったので、北極星を使って赤道儀の極軸設定を完了。
ステラショット3を立ち上げて、いつものように鏡筒を天頂に向けてポジション設定を完了。
次にステラショットで天頂近くの星を導入してTST撮影。
あれ、ノイズしか写っていない。
そうかレデューサーを付けたからピント位置が変わったもんね。
モニターを窓際に移動して、ライブビューを見ながら鏡筒接眼部のピントノブを動かせば・・・
あれ、目いっぱい動かしても星らしいものがまったく表示されない !?
こりゃカメラに問題発生か!!
カメラのコネクタの抜き差しや電源をいれなおしたり、思いつくことはやったのですが・・
ほとほと疲れ果てて
時間を見たら、この夜の1タイトル目のかに星雲の撮影予定時間はとうに過ぎ、
今夜はもうダメかとあきらめかけたのですが
たまたまノイズしか写っていない画像の表示レベルを変えたところ、かすかに星のピンボケ画像のようなものが・・

これ以上引っ張るのはやめて、原因の報告をします。
実はレデユーサーだと思って取り付けたのは、R200SS用のコレクターPHだったのです。
レデューサーを取りに趣味部屋に行ったとき、たまたまVC200L保管場所においてあったものを持ってきたという訳。
コレクターPHはVC200Lで直焦ワイドアダプターを使うためにR200SSから外すときに置いたもので、
レデユーサーHDは2年も前に使ったきりで、しまってありました

”すったもんだ” はこのあともオートガイドがストライキしたりでさんざん。

結局予定では19時半から22時の間に5分露光30枚撮る予定だったかに星雲
3枚しか撮れませんでした。
あくまで参考にということで。↓

 M1 かに星雲  (おうし座) 
( 元画像の 50%に縮小 ほぼノートリミング )
(  上 が 北 になっています )
撮影DATA : 2024/ 2/12 21:39’~ Vixen VC200L(レデユーサーHD) (合成fl=1386㎜)
露出 300秒 × 3枚 (Gain150  Offset1) LPS-D1フィルター ASI533MC Pro(冷却-10℃) タカハシ EM-200 Temma2M  
ステラショット3(導入・撮影・オートガイド) ステライメージ9(画像処理)
ダーク・フラット処理はまじめに行っています

実はVC200L+HDと533MCの組み合わせはこれが初めてで、フラット画像が未作成でした。
そこで昨夜 急遽フラットを作成しました。
従来と同じやり方なのですが、拡散用の障子紙が黄ばんできたのでホームセンターで買ってきました
こんなんでフラット画像が作れるの?とお思いでしょうが・・
巻きつけフードの継ぎ目までしっかり撮れています。
( とはいっても ほとんどフラットで、フラット処理はいらないくらいなんですけどね )

ほんとはこのあと 時間遅れで撮ったきりん座のNGC2403も掲載予定でしたが、
”すったもんだ” の記載が長すぎて次回とします。

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2か月以上も撮影できない中で天体写真ブログを書くというのは、
とってもしんどいということがわかりました。
その苦しみからしばらくは解放されそうです。


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