雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

後悔先に立たず。(VC200L主鏡洗浄)

2016年02月29日 | 機材
ガイドシステムをふたたび「親亀子亀」方式に変えた際に
VC200Lのミラーの汚れがひどい事に気が付きました。
これから春の銀河シーズンを迎えるにあたって、その主力となるべき鏡筒です。
要は鏡を洗えばいいだけなのですが、R200SSに比べて構造が複雑で
もし光軸が狂ったら私の手には負えません。
始めからメーカーに送って、中古購入の鏡筒を準新品にしてもらうのもアリですが
( メーカーのビクセンに問い合わせたところ、メンテナンス料金の目安は送料別で1万6千円とのこと。)
ブログ的に それでは面白くない

そこでVC200Lの主鏡洗浄に関してネット検索を行ったところ
分解や調整などせずに、そっと主鏡部を外して洗えば、光軸はまず狂わない
洗ったたあとに光軸調整をやってみたら、こじらせて結局メーカー送りした
というものが見つかりました。
つまり、主鏡を洗うだけなら光軸はまず狂わない
もし狂ったらその時点でメーカーに送ればいい。
という結論に至りました。

「やってみなけりゃ後悔もできない」 後悔先に立たず です。
えっ、そういう意味じゃないの?

まずは鏡筒の後部カバーを外してみようということで。
戻すときのために、位置マークを貼り付けてから外しました
R200SSの時はネジを外した後も、ドライバーでこじってやっと外れたのですが、
VC200Lはネジ(3本)を外しただけで、バカッと外れました。

外してみると余計汚れが目立ちます。
これは洗うしかない!
という事で、補正レンズ部分に水が入らないようバッフルの上から袋をかぶせました。
併せて反対側の接眼筒部もビニル袋で防水をおこないました。
( 後でわかるのですが、実は他にも防水の必要な個所がありました・・)

R200SSで経験済みなので主鏡を洗う手順はわかっているのですが、
R200SSの時は鏡だけを外してから洗っています。

最初に水道水を鏡面にかけて大きなほこりを落とします。
主鏡内部にもすき間からどんどん水が入って、ほんとに大丈夫か不安になりました。
当然裏側の主鏡セル部分も水浸しになっているのですが、
後で「天体望遠鏡ガイドブック」を見たら、主鏡はコルクを挟んで固定している事がわかりました。
コルクが水を含んで膨張するのではないか!
(主鏡の傾きが変わる? ⇒ 光軸が変わる?)

続いて、濡らしたティッシュに台所用洗剤を付けて鏡表面をなぜるように洗います。
(前回 R200SSのときはガーゼを使用しましたが今回は手抜き)
それを水道水で洗い流して
今度は洗剤をつけて指先でかるく表面をなぜて汚れ落とし。
この後また水で流すのですが、最初は注意深く行っていたものの段々適当になり・・
接眼体の空気抜き穴にも水がかかってしまいました。
接眼体の中には補正レンズの鏡胴があり、その鏡胴にも空気穴が
* 作業前にこの穴もセロテープなどでふさいでおくべきでした。

洗剤が内部に入ると厄介と考えて、ほどほどで水道水で洗い流しました。
このまま乾かすと水滴の跡が残ってしまうため、「精製水」を振りかけます。
「精製水」をかけたあとも水滴は残るのですが・・
乾くと水滴の跡は残りません。
( 今回は早く乾かした方がいいだろうという事で、ドライヤーの温風を吹き付けました )
かなりきれいになったのですが、良く見るとまだ汚れが残っています。
これは、前回(R200SS)は洗う工程を何度も繰り返し、水道水も思い切りかけ流したのですが、
今回の丸ごと洗いでは主鏡セルや補正レンズ内部に水が入るのが心配で、ほどほどにしたせいでしょう。

この後 内部の湿気が気になって、箱に入れて乾燥空気を一晩送り続けました。

翌日、他の部分もチェックしたところ、前面の副鏡はきれいだったのですが
バッフル内の補正レンズを覗いてみると目立つ汚れがありました。
この汚れは作業前にも見た覚えがありました。
幸運なことに3枚の補正レンズの一番内側の面だったので
割りばしにクリーニングペーパーを巻きつけて取り除くことができました。
心配した 補正レンズ内に水が溜まっているというような事はありませんでした。(良かった)

せっかく危ない橋を渡ったんだから、他にやれることは・・
鏡抑えのゴムの出っ張りによる 光条の乱れを防ぐため、円形リングが付いているのですが
ゴムの一部がリングからはみ出しています。
そこでR200SSの時と同様に、リングを外してゴムをヤスリがけしてはみ出しが目立たないようにしました。
ゴム部分をヤスリがけして再び取り付けたもの。
( リング・ゴムを固定するネジは鏡を圧迫しないように、とてもゆるく締めてありました。)

他にやれそうな事も無いようなので、鏡筒に接続してみました。

やはり つないだ部分から光が漏れるので、再びアルミテープでふさぎました。

さて、今回の作業で光軸はどうなったのでしょう?
レーザーコリメーターではそのまま中心付近に戻ってきてくれているようです。
ただこれは、接眼部(補正レンズ含む)と副鏡の光軸だけであって、
主鏡が一切かかわっていないところがニュートン式のR200SSと違うところ。

主鏡に接するコルク部分まで水浸しにして、主鏡の傾きは変化しなかったのか?
審判は3月 新月期での「春の系外銀河」の撮影で。

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記事タイトルから、「これはでかいポカをして メーカー送り」 か?
と期待して見に来られた皆さんスミマセン。
ほんとのところは実際に撮影して見るまでわかりません。
ただやってみて、この方法はかなりのリスクを伴うことがわかりました。
皆さんは、ほんとの意味で
後悔先に立たず」 でお願いします。

雲上くもがみ
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満月期につき、動画モザイク

2016年02月27日 | 天体写真(月・惑星・彗星)
満月期につき新しく撮影した画像がありませんので、
今月18日に今年初めて撮った月の動画処理がやっと終わったのでお見せします。
今年初めての月(月齢8.9)(動画 モザイク撮影)
( 画像クリックで元画像の75%で拡大表示 )
( 上が北の方向 )
撮影DATA: 2016/ 2/18 Vixen VC200Lf=1,800mm F) 露出 1/80秒 EOS C.M.R x5クロップで 1分前後の動画記録
 ISO 800 Cooled 60D (冷却オフ)  タカハシ EM-200 Temma2M RegiStax6で動画コンポジット マイクロソフト I.C.E でモザイク結合 

今回動画撮影したエリアです。(右側は静止画撮影部分)
当初はもっと狭いエリアだけのつもりだったのですが、もう少しで全面モザイクできそう

モザイクの元となったEOS C.M.Rの動画一覧です。
これを RegiStax6 で処理したものを
まとめて マイクロソフト I.C.E にドラッグするだけでつないでくれました。
問題は動画処理時間で、全部で10時間くらいかかっています。

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VC200Lのミラーの汚れがひどいのを見かねて
どうしようか迷っていたのですが、
気が付いたらこんな事をしてました。
主鏡部丸洗い。いやな予感が・・(詳細は次号)

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そして、再び 「親亀子亀」。

2016年02月25日 | それでも星は流れる
満月期につき、心穏やかに春の系外銀河導入Mapの作成など行っております。
ですから、先日初収穫のふきのとう のてんぷらをいただいたばかりなのに、
今朝 起きたら・・
ふたたび雪国に戻っていても いいのですが、
これでは益々こたつから離れられない身体になってしまいます。

そこで3月の新月期を気持ち良く迎えるために、
こたつから出て 前から気になっていたグッドデザインとは程遠いガイドシステムの再検討を。
これで鏡筒をどの方向に向けてもフリーストップできるのですが・・
余りに武骨なシルエット。
そしてマルチプレートの嘆きが。(こんなん、わたしの仕事とちゃう!

そこで、NZガイドマウント(2015. 8 中古購入)を鏡筒バンド上部に変更。
なんで、NZガイドマウントを買った時にこうしなかったのか? と思ったのですが
鏡筒の向きによってバランスがくずれてうまくいきません。
やはり、試したけどダメだったんか・・ ( 当時の記憶が無い )
それでも、鏡筒バンドの位置を少しずつずらしながら試したところ、ベストの位置が見つかりました。

R200SS フリーストップ達成!

ついでに
VC200L フリーストップ達成!
以前はバランス用プレートの傾きを微妙に変える必要があったのですが、
今回は鏡筒の前後の位置だけ決めておけばOK。(鏡筒に巻き付けたウェイトが重要な役割)

これでグッドデザイン賞は無理でも、めでたしめでたし

ただ、新たに気になるものが見つかりました。
VC200L(2014. 9 中古購入)ミラーの汚れがひどい!
R200SSは既に主鏡洗浄はやっているのですが、必ずそのあとの光軸調整が必要。
R200SSですらまだ完璧な光軸調整ができていないのに、
VC200Lの複雑な光学系を考えるとビビッてしまう。
ビクセンさんに見積もりを聞いて安ければ・・
なんてことを考えている、いくじなしの雲上(くもがみ)なのでありました。

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ふきのとうの初物をいただい後で、再び雪になる事は
珍しい事ではありません。
ふきのとうの天ぷら、苦みもまた春の味覚

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遙かなり、マリカンアンチェーン(2月の奇跡その5)

2016年02月23日 | 天体写真(系外銀河)
今月は8日に撮れたのでこれで終わりかと思っていたところ、
その後11日になんと一晩中晴れるという奇跡がおきました。
その時撮れた5タイトルを雪国の「2月の奇跡」シリーズとして順次お見せしています。


このシリーズ最後になる5回目は、おとめ座銀河団の中でも有名な領域
マルカリアン チェーン です。

マルカリアン チェーン  (おとめ座)
( 画像クリックで元画像の30%まで拡大表示 )
元画像では少なくとも7個の人工衛星の軌跡が写っていましたが、そのまま重ねています。
撮影DATA: 2016/ 2/12am 03:30’~ Vixen R200SS+コマコレクタPH(合成f=760mm F3.8) 露出 10分×12枚
 ISO 1600 Cooled 60D (冷却オフ)  タカハシ EM-200 Temma2M ガイド鏡GS-60S PHD2Guiding ステライメージ7

チェーンの意味は銀河が鎖(くさり)の様に連なっていることだそうです。
小さくかすかなものまで無数の銀河が写っていますが、
主なものは以下のとおりです。

この朝の薄明は5時13分からだったので、最後の2枚はその影響を受けています。
例によって過去に撮影したものと重ねて 累積露光時間を増やそうとしたのですが、
これまでに何度も挑戦しているものの まともな画像はありませんでした。
そこで、昨年VC200L+レデューサー(合成f=1278mm)で拡大して撮った画像に無理やり重ねてみました。
昨年の画像は → こちら
昨年の画像を実測により縮小して重ねた上に、共通部分をトリミングしました。
中央のM 86までは 5,500万光年、わたしたちのお隣のアンドロメダ銀河の 20倍以上遠い距離になります。
重ねて見て初めて構図が回転していたことに気がつきました。
( この前のM81付近を撮影したときのまま直してなかった。 )

撮影中の風景 おりおんショットです。
( 画像クリックで 星座線入りの画像を表示します。)
今回は地上を多めに入れたら、マルカリアンチェーンの位置が外れてしまいました。

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このシリーズもついに終わってしまいました。
次は月が下弦を過ぎたころに晴れてくれるとありがたいのですが・・

今年に入って初めてのウォーキングをしてきました。
ついでに、もうそろそろ顔を出しているはずのあれも。

いつもの場所はまだちょっと早かったので、道路脇のものを。
今回は少しだけにしました。(天ぷらか ふき味噌か?)

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春の系外銀河の先駆け M81 & M82(2月の奇跡その4)

2016年02月21日 | 天体写真(系外銀河)
今月は8日に撮れたのでこれで終わりかと思っていたところ、
その後11日になんと一晩中晴れるという奇跡がおきました。
その時撮れた5タイトルを雪国の「2月の奇跡」シリーズとして順次お見せしています。


前回 今年初めて月が撮れたため中断しましたが、
シリーズ4回目は、いよいよ春の系外銀河の先駆け おおぐま座のM81M82付近です。

M81 M82 付近  (おおぐま座)
( 画像クリックで元画像の30%まで拡大表示 )
( いつもなら 北の方角にできるだけ合わせるのですが、左下の銀河(NGC 3077)も入れるため、カメラを回転させています )
撮影DATA: 2016/ 2/12am 00:57’~ Vixen R200SS+コマコレクタPH(合成f=760mm F3.8) 露出 10分×11枚+分×2枚
 ISO 1600 Cooled 60D (冷却オフ)  タカハシ EM-200 Temma2M ガイド鏡GS-60S PHD2Guiding ステライメージ7

今回使った「導入用Map」です。
意識的に赤経・赤緯を合わせない構図で撮るのは珍しい事なのですが、
過去にもこのエリアを似たような構図で撮っていましたので、今回の画像に重ねてみました。
M81M82部分をトリミングしてドーンとお見せします。
( 画像クリックで トリミング前の広域画像を表示 )

重ね合わせた過去の画像は→ こちら
以前の画像はコレクターが別( MPCC MarkⅢ)で 焦点距離が 800mmだったため、
拡大率を実測してサイズを合わせてから重ねていますが、
少しずつ構図がずれて重ならない部分が増えてしまいました。(掲載広域画像はトリミング済み)

恒例になった撮影中の風景 おりおんショット+(プラス) です。
縮小前の元画像ではM81,M82の存在がわかります。
地上と星空を別に処理してから、重ね合わせています。(矢印はM 81の位置です)
 TAMRON Zoom (f=17mmF2.8) 30sec×5 ISO 1600 kissDX(SEO-SP2) *ソフトフィルタ使用

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次回はこのシリーズの最後のタイトルになります。
これまでにも挑戦するも、ものにならない「マルカリアンチェーン」。
さて、今回の成果はどうだったのでしょう?

いただいた鉢植えのフキノトウが花をつけましたが、
我が家の裏庭のふきのとうはまだ雪の下でした。

雲上くもがみ
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