雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

それでも星は流れる(ノータッチガイド編)

2013年01月25日 | それでも星は流れる
今では非常にコンパクトな手のひらに乗るようなモーター付の「星空雲台」なるものを、カメラ三脚に取り付けて星座の写真撮影を楽しむ人達が増えています。
ビクセン ポラリエ ・・・ TOAST Pro

地球の自転により動いていく星をモータ回転により追いかけて、その間シャッターを開けっ放しにしてかすかな光を蓄積する。
これは、まだフィルム全盛だった時代でも同じことでした。

(ガイド用望遠鏡をのぞき、常に接眼鏡の十字線にガイド星が来るようモータをON,OFFします。  S53年当時)
それより前にはまだモータも付いて無くて、ハンドルを少しずつ手で動かして星を追いかけなければなりませんでした。
おまけにフィルムの感度は低く、この手動ガイド作業を長時間(何十分も)続けました。(ちなみにわたしはモータ付きでした。)
 当時持っていた タカハシ システム90赤道儀
赤道儀・・・望遠鏡を載せる台で、回転軸の一つを天の北極に向ける事により天体を追尾しやすくできています。これに対して水平および垂直方向にしか向きを変えられないものを経緯台といいます。)
苦労したのに現像したフィルムを見ると見事に星が流れていてがっかりしたものです。
そんな訳でいつのまにか望遠鏡一式も押入れの中に・・・

・・・・そして30年が経過し、高画素・高感度のデジタルカメラの時代になっていました。

タカハシ90S赤道儀はふたたび陽の目を見る事になりました。


再び星の写真を撮るべくガイド撮影を始めたのですが、以前と違うのはデジタルカメラの感度が高く数分間シャッターを開きっぱなしバルブ撮影といいます)にすれば暗い星まで見事に写ってくれます。
短時間(数分)となれば、わざわざガイド望遠鏡を覗いていなくても、モータにおまかせでもいけるのではと考えました。
露出の間はなにもしないでおまかせということで、 ”ノータッチガイド ”と呼びます。

ノータッチガイドで重要なものは、『モータの回転精度』と『極軸合わせの精度』です。
   (極軸合わせ とは・・・天の北極(地球の自転軸の中心)の方向に望遠鏡の回転軸を向けること)
 ・モータの回転精度は0.1%以下で、数分間なら十分許容できる誤差と判断しました。
 ・極軸合わせの精度についても、内蔵された極軸望遠鏡により誤差2′の据付精度が得られるとあります。
ただ問題は、取説を無くしたため極軸望遠鏡のパターンに書かれた二重円の年度が不明だったのです。
(二重円を基準に北極星を導入し、真の北極に合わせます。)・・・その時の北極星の位置は星座早見盤などを使って調べます。
 (タカハシより送っていただいた取説は既に後期のパターンに変わっていました。)
90S後期のパターンは3重円で、外側より 1985・2000・2015年となっていました。
電話でも問い合わせたのですが、明確な返答はありませんでした。
そこで推測として 外側1985年内側2000年 と仮定する事にしました。

広角レンズから標準レンズまでは、ノータッチガイドによる”星の流れ”はわかりませんでした。
ところが中古で購入した望遠ズームレンズでは
北アメリカ星雲付近」(はくちょう座) EF70-200mmF2.8(f=200mm) 2008. 8. 9  240sec×9枚 タカハシ90S赤道儀


星が”北から南”に流れており、この流れのため円では無く、楕円に写っています。
星の流れは40分間に9画素ほどで、問題は南北方向に流れているという事は極軸が合っていないのでは?と考えました。

ネットであちこち調べたところ、90S赤道儀の初期の極軸望遠鏡のパターンを知る事ができました。
正しくは 外側1975年内側1985年 推測は本来の北極より 5′もずれていました。

このただしい極軸設定で撮影してみると
はくちょう座γ星付近」 EF70-200mmF2.8(f=200mm) 2008.10. 3  240sec×8枚 タカハシ90S赤道儀


南北方向の流れは無くなりましたが、今度は”西から東”へ35分間で18画素ほど星が流れています。
あたかもモータ回転スピードが少し速いかのようです。

その後も同じ傾向のガイド結果が続いていましたが、無謀にも購入した20センチ反射望遠鏡(ビクセンR200SS)でのノータッチガイド撮影にも挑戦しました。
はくちょう座網状星雲(西側)」 R200SS反射鏡筒(f=800mm) 2009.9.17  120sec×20枚 タカハシ90S赤道儀


焦点距離が4倍にも延びたため、露光時間を2分に短縮し、星の流れを抑えています。
ここでも南北方向が安定しているのに、西から東への流れが目立ちます。(やはりモータスピードが速い?)

その後、20センチ反射を搭載するには90S赤道儀には無理があるという事で、
中古のタカハシEM-200USD赤道儀を購入しました。
搭載加重を含め、90S赤道儀とは1段格が上という事でおおいに期待しました。
M108 & M97」(おおぐま座) R200SS反射鏡筒(f=800mm) 2010.4. 8  210sec×10枚 EM-200USD赤道儀



コンポジットのおかげで、なんとか星が丸くなっていますが、個々の星像はひどくぶれています。
特に東西方向(赤経方向)が激しく上下しているのは、EM-200のギヤ周期(ピリオディックモーション)が8分なのですが、露出時間3分半+インンターバル30sec(計4分)の周期が重なったためと思われます。
赤道儀が変わったにも関わらず、相変わらず西から東への流れの傾向があります。
ピリオディックモーション・・・モータ回転をウオームギヤで減速させて回転軸に伝えているのですが、この時に各ギヤの歯車の形状から周期的な進み、遅れが発生する事をいいます。)

念のため おなじ夜にEM-200でノータッチガイドしたものをお見せします。(インターバル 30sec)
M51」(りょうけん座) R200SS反射鏡筒(f=800mm) 2010.4. 9  210sec×26枚 EM-200USD赤道儀




今度は極軸合わせの精度が良かったのか南北方向の流れはほとんどありません。
東西方向(赤経方向)は同じ傾向で、皮肉な事にピリオデイックモーションによる遅れの1/2周期と赤経の進み傾向が打ち消しあって、星像がほぼ一個おきに改善されています。(今回も見事に西から東に流れています。)

より古い90S赤道儀でもピリオディックモーションはありましたが、こんなにひどくはありませんでした。
機械的精度は昔の方が優れているようです。(昔のほうが優秀な職人さんがいた?)

その後、ピリオディックモーション周期と、露出のタイミングを合わせて波を平準化できないかとためしましたが、現実的には無理でした。(タイミングの時間管理が困難だった!)

赤道儀が変わっても、なぜ赤経(東西)方向の進み傾向が変わらないのか不明でしたが、EM-200のノータッチガイドの能力は期待を裏切るものでした。

『 かくなる上は、EM-200USDの持つ、”オートガイド ”機能を使うしかないか!』

        につづく

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木製帆船の製作記事でも書いた方が楽なんですが・・・

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宇宙(そら)撮る前は、何してた?

2013年01月23日 | 日記
ブログ記事  でも書いていますが、
わたしが天体写真をほぼ30年ぶりに再開したのは五年前になります。
何がきっかけで天体写真の再開となったのかは定かではありませんが、
当時 新し物好きなわたしは単身赴任生活であるにもかかわらず『ホームシアター』を楽しんでいました。

転勤で寮に入った時、満室だったため7.5畳の広い談話室がわたしの部屋となりました。 (写真は2004.10撮影)
しばらくして、当時ブームだったAV(アダルトビデオでは無く、オーディオビジュアル)に興味を持ち、BSハイビジョンを録画して液晶プロジェクタで楽しむようになりました。(音声はSONYのサラウンドヘッドフォン)


スクリーンは確か90インチだったような・・?


特に映画好きだったという訳ではないのですが、レーザーディスクが出始めた頃から高画質にひかれコレクションしたりしていました。
その後DVDなどが一般的になると一時遠ざかっていたのですが、
 ○ BSでハイビジョンの高画質放送が見れる。
 ○ D-VHSテープでハイビジョン放送の録画ができる。
 ○ デジタル液晶プロジェクタが普及価格となり大画面で見れる。
という、『ホームシアター』の環境が寮の部屋でも可能になった事から、自宅で録画したものを一人で楽しんでいました。

ただ、次から次へと出てくる新製品に買い換えるだけの趣味なら長続きしないのですが、わたしの場合凝り性の性格から、録画したものをデータベース化して映画のハイビジョンコレクションとしても楽しんでいました。

映画の評価までやっています。 (クリックで拡大できます)

録画するD-VHSテープも安くはなかったのですが、ラベルも当然自分で作成し、
どんどんテープが増えていきました。 (最終的には200本を越えてしまいました。)


わたしの持っていた液晶プロジェクタは画素数が少なく、”フルハイビジョン”での投影はできなっかたのですが、

・・・・・・・・・・左はDVD画像、右はD-VHSで録画したハイビジョンの投影画像の比較 (なんの映画かわかりますか?)
こんな風に画像品質の比較などもやっています。(天体写真をやっている今も同じ?)

この趣味は、寮の引越しで部屋が狭くなった事や、だれでも『ホームシアター』をやるようになった事からやめてしまいました。
(趣味ってみんながやりだすと、やめてしまうってことありますよね?)
現在も置き場のない大量のテープが残っています。(D-VHS機器がこわれるまでは見れますけど・・・・)

そうそう、天体写真を始めたことにより中断した趣味がもう一つあります。  (クリックで拡大)


こちらの方もブログの記事にしてもいいですか? (ほんとは 天体写真のブログなんですけど・・・・)

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内心、天体写真のブログなのにこんな記事が続いて
見限られたりしないかと不安です。
みんな、雪国の鉛色の空が悪いんです。

 
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冬の晴れ間の散歩道

2013年01月22日 | 我が家の四季
昨日は、めずらしく久しぶりに朝から陽がさす天気となりました。
この冬は初雪が12月1日と早く大雪を心配したのですが、平野部ではその後積雪も少なく今のところは、まずまずの冬となっています。(ただし、一晩に50cmくらい積もることもあるので安心はできませんが・・・)

(雪国越後には何にも換えられない貴重な日差し・・・・昨年暮れにタヌキの親子が横断した四つ角です。)

あまりの天気の良さに、近所を散歩してみました。

(手前南葉山と日本百名山の火打山2,462mです。頸城三山の焼山は右端、妙高山は南葉山の影に隠れています。)


(村の鎮守「春日神社」。朝のウォーキングには必ずお参りしていたのですが、朝の散歩は冬はお休み。)


(春日神社参道。・・・春の大祭にはこの急な石段を神輿が昇り降りします。)


(刈った稲を干すハザ木と春日山(左側の山)・・・戦国武将上杉謙信公の居城春日山城址があります。)


林泉寺・・・上杉謙信公のお墓があります。手前の門はカヤブキの惣門ですが冬はビニルシートをかぶせてあります。)

8月には『謙信公祭』が毎年開催されます。
以前にNHKの大河ドラマで上杉謙信の役をされた縁でGACKT(がくと)さんが3回ほど祭りに参加していただきました。

(謙信公に扮して白馬にまたがるGACKT(がくと)さん・・・かっこいい!  2007.8.25撮影)

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昼間の晴れも夜までは続きませんでした。
たまには、天体写真の話題からはなれて地元の紹介も。

 
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春よこい。「おおぐま座銀河M81&M82」

2013年01月21日 | 天体写真(系外銀河)
月が上弦を過ぎかなり太くなっていますが、根性と体力ののある人はそんな中でも『春の銀河』の撮影をおこなっています。
なぜ根性と体力が必要かというと、冬の寒さの中で月が沈むまで待たなければならず、撮影機材にとっても酷な環境です。
集中力もうすれトラブル発生に注意が必要です。(ピンボケとか、機材の落下による損傷とか・・)

そんな厳しい状況下でも、たとえばおおぐま座の銀河コンビM81,M82を撮るとなると
 ・1月21日(月) (M81,M82南中01:42) 月没 01:50 薄明開始05:27   
 ・1月22日(火) (M81,M82南中01:38) 月没 02:44 薄明開始05:27 
 ・1月23日(水) (M81,M82南中01:34) 月没 03:35 薄明開始05:26  
      *南中・・・天体が真南に来ることで、一番高度が高くなります。
問題は月の沈む時間で、完全に沈む前から撮影開始すれば満月の4日前でも2時間程度の露光時間は取れそうです。
でも、零下の冬の夜に2時、3時に月が沈むまで待ってから更に2時間程度撮影するというのは・・・ワイルドを超えている!

それでもモヤっぽい春とちがい、透明度の良い冬の空で撮れた画像はやはり違うんでしょうね?
雪国越後ではかなわぬ夢ですので、春に撮った画像をお見せします。(かなりヒガんでいます。)
この画像は、EM-200USD赤道儀(中古)購入後にTST撮影したものです。

(左下の銀河NGC3077も入れるため、あえて西方向に傾けて撮影しています。)

写真内に記載されていない撮影DATA:露光開始時間22h29m~ LPS-P2フィルタ Vixenコマコレクタ3
この頃はまだ自動ガイドはやっていませんでした。(ノータッチガイドは理想なんだけど・・)
17枚撮影した内の16枚をコンポジットしてあります。
(EM-200USDのモータが優秀というよりも、高緯度の対象だったため歩留まりが高かっただけ。)

現在わたしの天体写真における信条は 「より多くの枚数をコンポジット!」 です。
それが美しい作品につながると考えています。(・・・・・デジカメだけに言えること?)

という訳で、それ以前に撮影したものもコンポジットして見ました。

2分露光×20枚という露光時間の少ないものをコンポジットしたものですが

解像度が上がったように見えないですか?
*以前のものがタテ構図だったため、M81,M82部分のみコンポジット(重ね合わせ)されています。

参考にコンポジットした古い画像はこちらです。
(クリックで拡大)
撮影DATA:2009/05/29 VixenR200SS(D=200 f=800mm)コマコレクタ3 EOSKissDX(SEO-SP2) LPS-P2フィルタ
露光時間 2分×20 ISO 1600 タカハシ90S赤道儀 ノータッチガイド

ちなみに、右側の黒い帯は露光40分間でガイドがずれた量になります。
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今朝起きたらめずらしく晴れていました。
もしかすると夜3時頃には晴れていたのか・・・?
東京に雪が降るような時は心の準備をしていた方が良いかも?

 
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ブログ2ヶ月、料理教室10ヶ月

2013年01月19日 | 日記
まさに、ブログタイトル「雲の上には宇宙(そら)」の雪国の冬に入っております。
新しい写真をお見せできないあせりから、このところ"天体写真"ネタ一辺倒のブログになっております。
そこで今回は、昨年4月に退職してから通い始めた「料理教室」について。

きっかけは、退職を機に「毎日"濡れ落ち葉"状態で家にいてもらっては困る」という家内の危機感と、
わたしの 「昼飯くらいは自分で作らないと・・」という程度のプライドが一致して、市の広報誌にのっていた
サークル・キッチン』という料理教室に申し込みました。

これまで4月から毎月1回だけの講習会ですが、旅行のため一回休んだだけでまじめに出ております。

男性も歓迎という事っだたのですが・・・、
もしかして「女性の中でポツンと一人だけ・・」なんておそろしい状況も?(ほんとに内気なんです!)

幸い同じ年代の男性もおられてほっとしました。(写真は1月19日の講習会)

最初にレシピをもらったとき、ほんとにこんなものつくれるのか?と思いましたが、
今ではどの班より一番早く料理を完成させる男性チ-ムなのでありました。(今回はホントに一番だった)

サークル・キッチンの高橋先生です。(作り方だけでなく、食材や料理の知識も教えていただいてます。)

最近はちょっと料理をなめてかかって、この日も先生の説明も聞かず先走っております。
(先生もわたしも、実物よりフケて写っております。  わたしは見たまんま・・?

わが男性チームが1時間半程度で作り上げた本日のメニュー。
○牡蠣(かき)の炊き込みご飯 ○れんこんのすり流し(お汁) ○五目シューマイ ○即席アップルパイ

できたものは、その場でいただいてから帰ります。
みんなおいしかったのですが、デザートの「アップルパイ」がバターなど使わずにさっぱりとして
とてもおいしかったです。
撮影DATA:じゃなくて、レシピを参考にみなさんも作ってみてはいかがですか。
←(クリックで拡大できます)
 えっ? 今では家で毎日料理をつくってるかって?
これまで 『ドライカレー』を4回もつくりました。(他にはまだなにも・・・・)

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今回、時間をかけて記事を作成した
 が
思ったほど見ていただけなくて正直ショックでした。
でも、最初はじめた頃のブログ記事に比べると、
見た目は良くなったけど何かが失われているような気がします。
(ブログのためのブログというか・・・)

むろんその原因はたれこめた鉛色の雲のせいなのですが、

雪国の春はまだ遠い・・・。

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