栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

哲学が問われる時代。

2006-02-01 10:23:18 | 視点
今年は1月の新年会直後に入院・手術をするなど、スタートから波乱の幕開けになりました。
1月27日に退院しましたが、入院中は新聞もTVもない生活を送りました。
外界との連絡は唯一携帯メールのみでしたが、それでもありがたいことに毎日のようにメールで励まされました。特にハワイ、中国の友人からメールが毎日のように届き励まされたのは、本当にIT時代のお陰で物理的距離はなくなり、むしろ精神的距離だということを実感した次第です。

 さて、そのITですが、入院中にライブドアの堀江氏ほか3名が逮捕されたことを知りました。
 新年会のテーマを「哲学が問われる時代」とし、企業経営とは、儲けるとは、生きるとはどういうことかと問いかけましたが、一時期、時代の寵児と持てはやされた堀江氏の逮捕で、私が新年会で言った「経営に王道はない」という言葉を思い出して頂いた方もいるのではないでしょうか。
 正直者がバカを見る世の中はおかしいと思います。
やはり愚直といわれようと真っ当に生きたい。
そう思います。

 国はアメリカの方ばかりを見て、アメリカの後追い政策ばかりを行っています。
開業率と廃業率が逆転したことに危機感を持ち、ただ単に統計上の開業率をアップしたいがために起業を促し、果ては商法を改正し1円株式会社まで可能にしました。
 大学までもが本来の役割を忘れ、学生に起業をけしかけています
ベンチャー企業論という授業さえあるといいます。昔ならそんなものはサークルでやる話です。それを授業で行い、単位まで与えるというのだから、大学も地に落ちたものです。
 先生、いや彼らは人生の師でも、もちろん学問の師では断じてないが、単に学生をけしかけるだけの存在です。
といって、私が若者のチャレンジや起業に大反対しているわけではありません。
 今の日本の教育に欠けているのは「自分の頭で考えさせること」だと思います。
「思考する」ことをしないから、どんどん短絡的に考えていくのです。
「ルールがなければ自分で作ればいい。その中では自分が神になれる」という発言などはその最たるものです。

 私は昔から言っています。
起業するのは簡単だ、と。資本金さえ積めば会社は作れます。
難しいのは作った会社を維持することです。
そこで必要になるのが経済学や経営学であり、会社設立の理念や目的です。
金儲けが会社の目的というマネーゲーム的なやり方は必ず破綻します。
過去の歴史を見ればそのことは明らかです。
歴史に学ばない人間は失敗します。