栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

エキサイティングな中国旅行~警官に警棒を振り回され、兵士に追いかけられ

2018-10-09 18:36:54 | 視点
 思えば中華圏の旅行は常にエキサイティングだった。
初めて中国を訪れた時からしてそうだ。訪中団の皆が昼食後のひとときを過ごしている時、
私とカメラマンはホテルの前でタクシーをチャーターし武漢の街に出た。
武漢は三国志の時代から革命の真っ只中に身を置き、文化大革命中は「革命派」と「反革命派」が
激しい武力衝突を起こした街だ。
その街でいきなり警察官に警棒を振り回されたのだった。

 理由は不明。言葉が通じないからますます理由が分からない。
第一、カメラマンの撮影が問題視されたのか、私の方に問題があったのかさえ分からない。
分かったのは警官がやたらと怒っていることと、警棒がこれまたやたらに振り回され、
彼の口髭が激しく上下していることだけだ。

 事前に軍事施設は写してはいけないなどの注意を受けていたから、
それらしきものにはカメラを構えていない。
にもかかわらず警官は私に何か激しく怒っていた。
警棒が私を指し、次に向かいの横断幕を指し、その間を行ったり来たりしながら怒鳴っていた。
横断幕には中国語で「天安門事件は完全に革命的な行動である」と赤い文字で大書されていた。

 「天安門事件」といっても、この時は第1次天安門事件のことで、
後に有名になる第2次天安門事件のことではない。
周恩来の死を悲しんだ民衆が天安門広場に献花したのを4人組が規制した事件のことである。
その横断幕がそれほど問題とは思わなかったが、それは中国の政治情勢を知らない者の
見識だったようで、彼らにとっては政治的な出来事はある種のタブーであり、
ましてや外国人がそれを撮影するなんてもっての外ということらしかった。

 恐怖だったのは警官よりは、集まり、私達を無言で取り巻いた民衆だった。
大使館に行くにはどうすればいいのだ、と頭に浮かぶ。
カメラマンと目配せし、私達は少しずつその場を離れることにした。
しばらくゾロゾロと付いてきていた警官と民衆は諦めたのか、
そのうち付いて来なくなり、やっと解放された。

 兵士に追いかけられたこともあった。
反日暴動で日本車が壊されたり、日本レストランのガラス戸が割られたり、
日本大使館に石が投げ込まれ大使館前の新聞表示場所のガラスが割られた事件があってから
1週間近くたった頃だと思うが、上海の日本大使館の被害状況を見に1人でフラフラと
出歩き大使館前の道路に立った。

 大使館前には警備兵が2人立っていたので、そのまま近づくのを避けて
道路を挟んだこちら側から周囲を歩いてみた。
投石を受けて割られた新聞表示場所のガラスはそのままになっていたのですぐ分かった。
そこでカメラを取り出し構えた瞬間、警備兵が走ってきた。
日中関係が不穏な時期だったので、中国兵も過敏になっていたのだろう。
日本人が被害状況の写真を撮り、帰国後、反中宣伝に利用しようとしていると考えたのかもしれない。
いずれにしても、ここは逃げるが百計とばかりに、こちらも走ってその場を離れ事なきを得たが、
根がミーハーなものだからいろんなものに顔を突っ込みたがる。

この頃は「もう若くはないのだから、走っても足がもつれて転び怪我でもしたらそれこそ大変」と
諌められ、納得はしているのだが、またしても好奇心が頭を持ち上げるから困る。

 ともあれ中華圏の旅行では毎回なにかが起き、エキサイティングだが、そろそろ平穏無事な旅にしたい。






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