栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

パワステオイル漏れに気づかなかったBMWディーラー

2019-07-03 11:02:26 | 視点

 ディーラーの点検整備でも発見されないことがある--。
というかベーシックなことを知らない若いメカニックが増えてきたため、普通はまずそこを見るだろう、ということをしない。
その結果「再現性がないので不調箇所が見つかりません」と車を返されたことがあった。
帰ってきた車を翌日点検して故障個所を発見したのはメカに詳しくないユーザー自身(私)だった。
初歩的ミスという言葉では済まされない。
これがBMWの正規ディーラーがする仕事なのか。

 私が乗っているBMW3シリーズは13年目ということもあるし、数か月に一度、中国自動車道を片道550km弱走る
生活を続けているため、定期点検はもちろんのこと、ちょっとした異音や不調を感じると整備工場に持ち込み
点検整備をしてもらっている。
 とりわけこの1、2年はこれ以上どこを治せばいいんだと思うぐらいに主だった部品を替えてきたから、
自分では「ほぼ新車」と言っていた。
 そして車検整備も受け、その数日後に岡山県北東部へ向けて軽快に走った。
ただ、福岡を発つ時、車にかすかな違和感を感じたので、兵庫県境までの高速走行は少なくとも1週間程度
延期した方がよくはないかという思いが頭を過(よぎ)りはした。
しかし、車検整備を終えた直後に問題が発生することはないだろうと不安を打ち消し、いつものように550km弱を走るドライブに出た。

 出発時に感じた違和感はハンドルを左右に切った時のもので、グググッという低い唸りのようなものだった。
昔から、乗っている車の音には敏感な方で、少しでも妙な音がすると自動車工場に持ち込んで調べてもらっていたし、
ハンドルか床あたりから聞こえてくるグググッというような音はいままで耳にしたことがなかったから
気になりはしたが、走行時には感じなかったし、高速走行もいつもと変わらなかった。

 だが、サービスエリアで食事休憩した後、走り出そうとハンドルを切ると、やはりくぐもったような、
油切れのような異音がしたし、岡山県北東部の田舎に滞在中も車を動かそうとする度に異音が聞こえるので、
やはり気になってまずバルコムBMW福岡に電話をして状況を説明した。

 その時の話では、診てみないと分からないが、足まわりのあたりのゴムが劣化している可能性はある。
もし、そうならグリスを塗れば直るし、修理に要する時間は15分ぐらい、ということだった。
 それなら帰福後の点検でもいいかと思ったが、高速道路でなにかあっても困るので、
岡山のバルコムで点検してもらうことにし、福岡の方から岡山に一報入れてもらって、車を持ち込むことにした。

 ところがバルコム岡山のメカニックが言うには「症状が確認できない」という返事。
トラブルで一番困るのは再現性がないことだが、この時がまさにそれだった。
「そんなバカな」と言い、同乗して周辺を走ったが、あれほどしていた異音がしない。
まさか車がディーラーに忖度したわけではないだろうが、結局、原因と思われるあたりの箇所にグリスを塗って、
その日は引き返すことになった。

 それでも気になったので、翌朝起きぬけに車を動かしてみた。
すると、やはりグググッという異音がする。
そこでボンネットを開けて中を覗き見ると、なんとオイル盤にオイルが溜まっているではないか。
オイル漏れ。それもかなりの量が溜まっていた。

 これだけ大量のオイル漏れがあれば車検整備の時に気づかないはずがない。
その時には漏れてなくても滲みぐらいはあったのではないか。
なんら予兆がなく、突然、急に穴が開いたようにということは考えられない。
第一、バルコムBMW岡山ではボンネットを開けもしなかったのか、と対応に多少不信感を持った。
素人の自分でさえ異音の原因追求のためにボンネットを開けてみるというのに、
メカニックがエンジンルームを見ないというのはちょっと考えられなかった。

 そこで早速バルコムBMW岡山に電話し、異音とオイル漏れのことを伝える。
すると代車の関係で翌週金曜日の入庫と決まる。1週間先だ。

 代車を要求しなければもっと早く修理ができるのではないかと思い、翌土曜日の朝、電話する。
すると今日の入庫でいいとのことだったから午後3時過ぎ着で車を持って行く。
当然だが、帰りは列車だ。

 週明けの水曜日、バルコムBMW岡山の現場メカニックから電話があった。
てっきり修理が終わったという連絡だろうと思ったが、そうではなかった。
いまごろ、異音とオイル漏れを確認したと言う。
パワーステアリングからのオイル漏れで部品交換が必要。
部品は在庫がないので発注しなければならず、修理が終わるのは金曜日とのこと。

 金曜日の午前中。バルコムBMW岡山のフロントから電話がきたので、
てっきり今日の何時頃に修理が完了するという内容だと思ったが違った。
いまごろ修理見積もりの話だ。
しかも部品発注もまだしていないと言う。
この時点で、入庫してから1週間が過ぎている。

 なぜ、こんなことが起きるのか。
聞いていればフロントが休日を取ったり、引き継ぎ連絡をしてなかったり、
フロントと現場メカニックが別々に連絡をしてきており、
メカニック部門内部の連携ができてないことが分かった。
 要は基本のキができてないわけだ。
これには驚いた。中国地方ではバルコムは天狗になっているのだろうか。

 私にとってなによりショックだったのはパワステ部品交換修理代の高さだった。
修理代が133,000円。
これこそ思わぬ伏兵。
結構、こまめに点検修理し、大概の部品も交換してきたから、「ほぼ新車」状態とまで思っていたのに、
まさかパワーステアリングからのオイル漏れとは。
それにしても長年車に乗っているがパワーステアリングのオイル漏れという症状は初経験だし、
いままで耳にしたことがなかったが、国産車でもよくある話なのだろうか。

 ここまで来ると1年前の選択が正しかったのかどうか悩んでしまう。
1年前の法定12か月点検の時、ディーラーの見積もり額45万円と聞き、
それならいっそ買い替えたほうがマシだろうと買い替えを決意しBMW1シリーズに絞って探していると、
ディーラーの試乗車で使用していたものが市場に数台出ていた。

 価格はたしか230万円程度だったと記憶している。
年式は俗に言う1年落ちだか半年落ち。
これこそ正真正銘の「ほぼ新車」。

 手付金まで払おうとしたが、契約書を交わしてからと言われ、
その時は台湾旅行に行く2日ほど前だったので、帰国後に落ち着いてからということにした。

 帰国後、行きつけの自動車工場でディーラーと同条件で法定点検の見積もりをしてもらうと25万円。
それなら買い替えより整備修理をという選択をしたのだったが、
今改めて考えると果たしてその選択がよかったのかどうか。後悔先に立たずと言うが、う~ん悩ましい。

 悩ましいのは次の車選び。
田舎生活では国産の小型車の方が圧倒的に実用的で、スズキのスイフトに興味を持っているが、
最近相次いで明らかになっているようにずさんな検査体制と不正隠し。
しかもブレーキ性能検査で不合格車を合格車としていたとはちょっと安心して乗れないだろう。
 日本のモノづくりは大丈夫か?