名古屋城の石垣を破壊した樹木の切り株を描きました。
以前、強固に見える石垣もさまざまな要因で歳月の経過とともに動いていることを書きましたが、この切り株も石垣を動かした証しといえますね。
この切り株があるのは、1612年に大天守が完成した名古屋城の築城で石垣工事を指揮した加藤清正の像があるすぐそば。
大きな石を左右に押しのけて伸びた樹木の切り株が3つ並んでいます。
石垣工事の後に鳥が種を運んできたのか、近くの木から落ちた種が転がって来て石と石の間で芽吹いたのか、それとも近くの大木から伸びた根から芽が出て育ったのでしょう。直径80㌢近い切り株からみて、かなりの古木になっていたようです。
歳月の長さと植物の力強さを感じます。
樹木の種類は城内に多くあるクスノキやケヤキなどではないかと思われますが、定かではありません。
確かなことは、この3本の切り株は石垣によって生息域を狭められた樹木たちの怨念を受け継ぎ、長い歳月をかけて清正に一矢を報いた証しということでしょう。