リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

自分のお金の行方は自分で決めたい

2013年09月13日 | 日々の風の吹くまま

相続の話で「夫の財産、夫の財産」と妻たちが書いているのを見て、夫婦が一緒に築
いて来た「共有財産」なら、なぜ生存者権付きの共同名義にしないのかと不思議だった
けど、どうも日本ではそれができないらしい。へえ、夫婦・家族が社会の最小単位だと、
個人を否定する集団主義思考を押し付けておいて、相続税を取るときだけはしっかり
「個人単位」なんだ。なんか矛盾してない、これ?そこで考えた、相続法で杓子定規に
遺産の配分比率を決めているのは、法律婚の保護は「建前」で、「本音」は相続税を取
りこぼさないためにじゃない、と。

カナダには「相続税」なるものがない。みんな「所有財産をすべて処分して死ぬ」ことに
なっているので、まず死んだ人(の代理)が所得税の最終確定申告をして、払うべき税
金を払って、後に残った分が遺産になる。この遺産から借金などを清算した残りを相続
人に分配するわけだけど、原則として個人が遺言で自分の財産の処分を生前に指示
しておく、いわば「自己責任」制になっているので、相続法の規定が適用されるのは遺
言状を書かずに死んだときだけ。

もちろん、遺族は遺言状に異議を唱えることができるから、超若い嫁さんをもらった大
金持じいさんの遺産を巡る争いがよくあるけど、普通の家族は、夫も妻も各自が家族
の事情に応じて遺言状で配分を決めている。自分で決めるから、元妻や愛人にも少し
分けることも当然できるけど、それが不服なら訴訟を起こせばいいだけの話。無遺言
の場合は、カナダでは相続法は州の管轄なので、法律婚、事実婚、同性婚の区別がな
いのはどこも同じだけど、「相続権」と配分の規定は州によってまちまち。

個人の裁量に任せても問題があまりないのは、一般に夫婦が持ち家を生存者権付き
の共同名義にして、銀行口座も全部か一部を同様にする場合が多いからだと思う。こ
れだと(債務も共有になるけど)名義人の一方が死んでもその「遺産」には入らないか
ら、死亡証明書1枚でそっくり「生存者」の名義人のものになって、税金や相続が発生
するのはその人が死んだとき。ついでだけど、カナダには有責配偶者の概念も慰謝料
の制度もないから、もしも夫が不倫に走ったら、精神的な苦痛は訴訟で損害賠償を取
るしかない。だいたいは婚姻中の財産を二分して離婚、後は(自己責任で)勝手にやっ
てね、となる。まあ、共働きが普通の今は妻にもそれなりの経済力があるからできるこ
とかもしれないけど。

私たちには遺産を残す子供がいないし、めぼしい財産はすべて生存者権付きの共同
名義になっているので、法律で配分してもらうような遺産はないからと、今までのんきに
遺言状を書かずに来たけど、「生存者」が死んだときに残っているかもしれない財産を
何だかんだと政府に取られてしまうのは嫌だから、そろそろ遺言を書かないとね。散々
税金を取ってきた政府に遺産まで残すなんて、ムカつかない?