リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

見たくないものを見ちゃった

2013年09月12日 | 日々の風の吹くまま
例の相続差別違憲判決に関するトピックは百家争鳴のうちに「受付終了」になったけど、
しまいにはこんな恐ろしい人たちだったのかと、ぞ~っとした。これが「建前」と「本音」
の二面構造になっている日本的価値観の典型なのかな。「法の下の平等」は上から
(あるいは欧米から)押しつけられた「建前」であり、自分の本音(感情)こそが正しい価
値観と言わんばかり。まあ、「建前」と言う集団の都合に縛られて、本音を言わせてもら
えないことが多いから、匿名の場で思い切り本音を吐露しているんだろうな。

昔から「建前は美しく、本音は醜い」と思っていたけど、まさにそれが事実であることを
見せつけられたような気がした。英語には「建前」にぴしっと当てはまる単語がないけど、
一番近いところで「façade」というのがある。元々は建物の装飾した表構えを意味する
フランス語だけど、抽象的に言えば「外面」とか「見かけ」、往々にして「見せかけ」で、
良い意味には使われないな。本音は醜いのも美しいのもあるけど、醜い「建前」がない
のは、それが世間に向ける顔だから。つまり「外面がいい」ということ。(精神的暴力の
加害者も概して外面がいいんだけど、遭遇したことのない人にはわからないか・・・。)

まあ、日本の幸福度や自由度のランクがどうしていつも低いのか、その理由がわかっ
たようなトピックだった。自分を幸せと感じられない人が実際に多いということだろうな。
自分の現状に対する漠然とした不満や不安を他人に懲罰感情を向けることで宥めてい
るようにも見えて、傍観者のワタシでさえ背筋が冷える思いがしたし、「個人」を社会の
最小単位とすることを認めない集団主義の根強さと人権意識のなさに愕然としたし、判
決を批判している人たちの差別感情の根の深さに慄然とした。相続法と言うお金に絡
む問題が根底にあるからよけいにどろどろしたものになるんだろうけど。

ずっと、これはワタシが生まれて育った日本とは違う、ワタシが親しくしている日本人と
は違うと自分に言っていた。でも、ワタシが覚えている日本が外面でしかなかったんだ
としたら、これが今の日本なんだとしたら、何だかゾンビのような、怖いから見たくない
ものを見てしまったような気がする。