



紅と金色で照り映えた 10月 の朝だった。 谷には薄靄が立ち込めて、 それはあたかも太陽に ―― 紫水晶や真珠や銀や薔薇やくすんだ青色やを、 すくい上げさせようとして秋の精が 張り渡した網かとも思われた。 しっとりと露に濡れた野原は銀糸で織った 布地のように輝き、森の窪地には枯葉が うず高く積って、駆けて通る足の下で、 がさがさと音を立てた。 「樺の道」 は黄金色の天幕を作り、 下に生えている羊歯は枯れて褐色になっていた。 【「赤毛のアン」 第24章】 |


覗いています。青い空と白い雲。
それにしても雲の美しいこと!
そして1歩庭に出れば、
金木犀の良い香り。
2日前、蕾だったそれは今満開です。
それこそ小さな花が寄り添って。
今、街全体がこの芳香に包まれて
いると言っても過言ではありません。
小さな花と言えば、
秋色の水引草が咲き始めました。
そして庭の片隅には・・。
又々、名前を知らない
赤い小さな花が。
勿論、植えた覚えなどありません。
木を切ろうと紫陽花の奥に
入る事などしなければ絶対に
気付かなかった花。
これまでも人知れず、ひっそりと
咲いていたのかも知れませんね。

【「水引草(ミズヒキソウ)」】

さて、『アンの世界』 と違ってこちらの紅葉は、まだまだ先の事。
そんな中、薔薇の葉っぱにこんなに優しい紅葉を見ました。
つましい紅葉。(冒頭~3枚目)
一つは、お馴染みの紅い新芽ですが、
薔薇の美をこんな所にも見た思いです。
今年は例年に比べ、秋が楽しめそうですね。
フランスの詩人、ボードレールに次のような詩を見つけました。(抜粋)
「秋の歌」 とありますのに暗い詩(うた)。
それもその筈、イギリスもそうですが、
フランスも秋を嫌う人が多いのだそうですね。
日本の爽やかな秋と違って、どんよりと曇った空と
冷たい、雨がちの暗い日々が続くからなのだとか。おまけに日没の早さ。
だからこそ、夏への想いが、とりわけ強いのでしょう。
それは 『アンの世界』 でも言えますが、
そこにはまだ、今日の記述のような素敵な10月がありますものね。


【秋の歌】 やがて 私達は 冷たい闇に沈むだろう さようなら 短か過ぎた私達の夏の強い光よ! 私は既に耳にする 中庭の石畳の上に 陰気な響きを立てて 薪が投げ落とされるのを (中略) この単調な響きに揺られていると どこかで 慌ただしく 棺に釘を打つ気配がする 誰のためだろう? ―― 昨日は夏 今はもう秋! この怪しげな物音は出発の合図のように鳴り渡る (中略) ~ボードレール : 村上菊一郎訳 |
