


彼女はレッド・カウと肉屋の前を通って、 エリオットという古道具屋の ウインドウを覗くのにちょっと立ち止まった。 (中略) エリオットは、あらゆる趣味と嗜好を満たすために 色々な品物を飾り付けていた ――(中略) 色々な材料で出来ていて、いかにも 掘り出し物ですといった鏡台付きの箪笥だとか、 又安物のドアノッカー、奇妙な小人の人形、 それに端が少し欠けているドレスデン製の陶器、 くすんだ色の小珠のネックレス、 <タンブリッジ・ウェルズより贈る> という 銘の入った湯呑、ヴィクトリア朝時代の 銀食器の半端物などがテーブルの上に ごちゃごちゃと飾ってあった。 【A・クリスティー作 「予告殺人」より】 |


こんな秋らしい鱗雲で明けました。
その後、天気予報通りの
曇り空からごく弱い雨に。
さほど冷たい雨ではありません。
さて、今日の引用文。
こんなお店、大好き。
想像するだけでワクワク、ドキドキ。
そんなお店に無造作に
油絵なんか置いてあれば最高。

【昨日拾って来た松ぼっくりと】
絵は、骨董趣味はありませんから、
気に入った物であれば、美大生の習作だって構いません。
そんな時見つけた一枚の絵。

裏を返しますと、「琵琶湖展望 昭和32年 山田新一」 とあります。
不覚にも私は作者を知りませんでしたし、
随分古い絵で、てっきり絵を趣味にしている方が描かれたものだと。
価格を尋ねますと格安。迷わず購入したものです。
それでも一応、ネットで調べました。
そこには東京美術学校(現東京芸大)卒、フランス留学等など・・。
夭折した佐伯祐三とは親友・・とあるではありませんか。
佐伯祐三なら知っています。
ここまで色々記しましたが、
ここまではほんのプロローグに過ぎません。本題は、これから。
そこで今度は佐伯祐三のことを。
見つけた絵が彼の 【リュクサンブール公園】 です。
と言いますのも、この絵は子供の頃(少なくとも小学生頃まで)
いつも目にしていた絵でしたから。(勿論、複製画)
そう言えば、いつの間にか消えていましたっけ。
それが、きたあかりさんの 【北大のポプラ並木】 の写真を拝見した時、
突如、子供時代の絵の事が記憶の中に蘇(よみがえ)って来たという訳です。
あの絵は、北大のポプラ並木の絵だったのかと。
それが今回、山田新一の絵を購入する事によって、
「リュクサンブール公園」の絵という事を知ったという訳です。
こんな事ってあるのですね。しかも思わぬ掘り出し物にも出会えて。
そんなこんなで。今日はその絵を鑑賞しながらお茶にしましょう。
カップは先日と同じ物で。美味しいお茶になりそうです。