【一日だけの “今” ~ 「藜(あかざ)」 の葉っぱ】
「凄く、いい匂いのする晩 じゃない?」 デイヴィーは嬉しそうに鼻をくんくんさせながら、 汚れた手で鍬を振り回した。 今まで働いていたのである。 【「アンの青春」 第24章】 |
【午前6時の空】
【午後5時の空】
毎日、刻々と変わる空から目が離せません。
気温は、いつまで経っても夏のままですが、
空はすっかり秋の様相。今日も季節外れの真夏日になりました。
ただ、今日の 『アンの世界』 同様、
真夏の暑さですが、「いい匂いのする晩」 になっています。
そう、言わずと知れた金木犀の香り。
例年ですと、10月もそろそろ半ばになろうとするこの時期は、
夕方ともなりますと冷え込みもあって窓を閉めます。
今年ばかりは夕方になっても開け放っているものですから、
夜になっても、そのいい匂いを堪能(たんのう)出来るという訳です。
なかなか本格的な秋とは
なりませんが、それでも
庭の藜の木の葉(このは)が、
こんなかそけき色になりました。
秋と言えば、紅葉(もみじ)や
ドウダン、ニシキギ等の
紅い葉っぱが注目されますね。
勿論、その美しさと迫力は、
秋の宴の NO1 でしょう。
一方、緑の葉っぱからス~ッと
色が抜けて生まれる黄葉にも
切なさと言いますか・・
しみじみと心に迫るものが。
同じ紅でも
何と控え目なのでしょう。
優しい・・仄かな紅。
はにかみながら、頬紅を引いたような。
それにしても、
この藜の葉っぱ、大活躍です。
夏の間は青々と繁り、日射しを遮(さえぎ)ってくれ、
季節が巡ると、こんな風にひっそり、かそけき色に。
冬には跡形もなく姿を消してしまうのです。何と潔い木。
そんな 「一日だけの “今”」 を身近に感じたくて
庭から摘んで来ました。土物の器に。
明日には枯れてしまうであろう葉っぱ。
でも、今日だけはあなたが主役です。