

【「紫苑(シオン)」】

窪地には抒情味豊かな 紫苑 が咲き、 林檎が鈴なりの果樹園からは 子供達の笑い声が響いて来た。 上グレンの山の牧場の夕べは澄み渡り、 銀色の鰯雲の空を黒い鳥が渡っていた。 日が短くなるにつれ、 小さな灰色の霧が 砂丘を静かに越えて港に上がって来た。 【「炉辺荘のアン」 第11章】 |


夜のうちに雨が降ったのでしょう。
起床時には路面も庭の草花も濡れていました。
いつもでしたなら・・。
こんな雨上がりは、とりわけ “キラキラ感” に浸るのでしょうが、
感じるのは、モヤ~ッとした蒸し暑い空気だけ。
今が10月という事さえ信じられません。
それでも見上げた空は面白くて。
こんな空になるのは秋だけですもの。
巷では季節外れの桜が咲いた・・
~なんて姦(かしま)しいですが、秋は必ずやって来ますね。


【アメジストセージ】

予(かね)てから欲しくて
欲しくてたまらなかった、
紫苑が手に入りました。
(冒頭の写真)
勿論、『アンの世界』
では、お馴染みです。
知人の庭先に咲いている
ものを分けて頂きました。
いつも眺めていたい
ものですから、私の視界の
及ぶ所に植える事に。
ところでこの紫苑、
日本が原産なのですね。
正確には日本、中国、
モンゴル、朝鮮など。
道理で 「源氏物語」 や
「今昔物語」 に、この花が出て来るのですね。
花言葉も大層、ロマンティック。
「君を忘れない」 「遠い人を想う」 「追憶」。
「紫苑」 という名前も花言葉も、
“何もかも素敵~!” と思っていましたら・・。
何と別名は、「鬼の醜草(オニノシコクサ)」。
時々、草花には思いがけない名前が付いている事がありますが、
この花もしかり。でも、どうして鬼であり醜い草なのでしょう。
根には去痰作用や利尿作用があるそうですね。
それよりも花の美しさから観賞用で育てられる事が多いのだとか。
そんな花ですのに。その上、絶滅危惧種でもあるそうです。
それに今回、調べて分かったのですが、漢字の本来の意味には、
吉凶を共に併せ持つと言います。言霊(ことだま)と同じなのですね。
となれば・・今、流行りのキラキラネームも考えさせられます。
単なる思い付きや当て字で付けるべきではないと。
そうそう、「紫苑色」 という色がありますね。
実際の紫苑の色よりちょっと濃い赤紫色に思えますが、
どうなのでしょう。
アメジストセージの色がその紫苑色・・?
こちらは逆に少し赤っぽいかも知れません。