フロイトとマーラー

ジークムント・フロイト（１８５６年５月６日～１９３９年９月２３日）は、オーストリアの精神分析学者。フロイトで思い出すのは“夢判断”。睡眠時に見る夢の意味を研究し、本にしています。ただしその評価はご自分で。

フロイトが登場する映画って珍しいかも。この春、何本か公開される音楽家を描いた作品の１本、「マーラー 君に捧げるアダージョ」（１０）です。マーラーを主人公にした作品には、ケン・ラッセル脚本・監督の「マーラー」（７４）がありました。

ケン・ラッセル版は、ある意味難解でしたが今回は？監督は、大好きなブレンダン（フレイザー）の「グローリーデイズ／夢見る頃はいつも」（９９未）のパーシー・アドロンと、同作の脚本家フェリックス・Ｏ・アドロンの２人。

アドロン監督には、あの「バグダッド・カフェ」（８７）があります。大好き！前置きが長くなりましたが、オーストリア出身のグスタフ・マーラー（１８６０年７月７日～１９１１年５月１８日）には、１９歳年下の妻アルマ・シントラーがいます。

２人が結婚したのは、１９０２年マーラー４２歳、アルマ２３歳のこと。美しく、音楽の才能にも恵まれたアルマ。映画はこの２人の物語です。ウィーンを代表する大作曲家で、指揮者のグスタフ・マーラー（ヨハネス・ジルバーシュナイダー）。

１９１０年、夏。マーラーはオランダで休暇を過ごしている精神科医ジークムント・フロイト（カール・マルコヴィクス）を訪ねます。妻アルマ（バーバラ・ロマーナー）の不倫に悩み、相談するためでした。やがてアルマとの出会いを語り始めるのです。

２０代と４０代という年の差。マーラーがアルマに作曲を禁じたこと。１９０７年には、マーラーがウィーン宮廷歌劇場音楽監督解任騒ぎが起き、さらに長女マリア・アンナがわすか５歳で病気で亡くなります。

体調を崩し療養するアルマは、５歳年下の建築家ヴァルター・グロピウス（フリードリヒ・ミュッケ）と出会うのでした。マーラーとアルマ、そしてヴァルター。３人の関係は？そしてフロイトの催眠療法とは？

この作品の俳優たちは、オーストリア、イタリア、ドイツの出身。フロイトを演じるカール・マルコヴィクスは、「ヒトラーの贋札」（０７）の主役。ちなみに本作は、マーラー誕生１５０年と没後１００年を飾る作品です。

アダージョとは、音楽の速度標語のひとつで緩やかに…の意味。見ましょ。