声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

海よりも まだ深く

2018-06-27 08:18:33 | 映画・ドラマ
是枝監督の映画の中では、最も好きな作品…


私自身は性格のせいか、“重い”のが苦手だ。

「万引き家族」も、まだ観ていない。


題名と予告編から予想するだけだが、なんとなく気分が重くなる…。

よほど気分の良い時でないと、ダメなような気がするのだ。



その反面、

「海よりも まだ深く」というタイトルには

観る前から、惹かれるものがあった。


実際には、

「そして父になる」同様に

“家族”がテーマである事は共通なのかもしれないが、

描くタッチは、さりげなくて軽いように思える。


特に、

団地で独り暮らしする老母役の樹木希林がいい。


そのセリフで、

印象に残っているのが、


「なんで男は今を愛せないのかね。
いつまでも失くしたものを追いかけたり、
叶わない夢を追いかけたり、

そんなことしてたら毎日楽しくないでしょう。
幸せっていうのは、何かを諦めないと手にできないものなのよ。

私は、海より深く人を好きになった事なんて今まで無いけど…
普通の人は、そんなの無いのよ。

…人生なんて単純よ」


ビデオをリプレイして書き写したら、

続くセリフで

「ねぇ、私いま、すごくいいこと言ったでしょ?
ハイ、メモメモ!」

と言われ、

思わず爆笑してしまった。

笑いとペーソスと…が入り混じった物語だが

“誰がどうした”と言うような特別な展開はなく

どこにでもあるような一般人の日常を切り取っているような印象だ。


その点は、同監督の
「海街diary」と共通しているかもしれない。


「海よりも まだ深く」では、狭い団地で暮らす老母が、
それなりに、余生を楽しむ様子も伝わってくる。



樹木希林さんの演技に

ふと、
40年も前に他界した父方の祖母の顔が浮かんだ。


病院に見舞いに行って帰るとき、

よく病室の窓から手を振って見送ってくれたっけ。


誰の人生にだって、
ドラマはあるものなんだなぁ…と、

つくづく思わせてくれる。


エンドタイトルで流れるハナレグミの『深呼吸』がまた、

この映画によく合っていていい…。




しみずゆみ








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