ショーケンこと萩原健一は1950年7月25日 与野市で生まれた。
同じ年 すぐそばで... どこかで会ったことがあるかもしれない。小学生のショーケンに 生意気盛りのショーケンに。
日本はほんとうに いい役者がいないと思う。そのなかでショーケンはひときわ目立つ ひとの魂をわしづかみにできる役者だった。
だれか えらいひとが ショーケンの演技は観察眼によるデティール演技といったようだが それから わたしのこころはもやもやしている。
ちょっと 違うよねぇ
およそ 名だたる演技法というのは 世界に6つか7つあって 有名なのは スタニスラフスキー・システム それから ジェームス・ディーンなんかの メソッド演技法 日本でも鈴木メソッドは世界的に有名です。演出家の鈴木忠志さんが女優白石加代子...わたしは好きじゃないけど..にほれ込んでつくったとか聞きました。
日本の役者は 女中はこういうもの セールスマンはこういうもの という感じで属性を貼り付けてゆく 貼り付け演技が主流だった。このタイプはどんな役をやっても 同じ。パターン演技。
20数年前 劇団昴がはじめた ワークショップは英国の王室演劇アカデミーから講師を呼び おもにスタニスラフスキーシステムを広めた。ボディとセンスとマインドの一体化 ここで学んだ役者は多いようです。わたしは役者ではないが 語りを学ぶため 3回受講した。
しかし そこで学んだひとつは 日本の伝統芸能のすごさだった。王室演劇なんとかの校長 ニックさんが激賞したのが 穣 すみません 土へんの穣です....晴彦さんだった。ニックさんは生涯忘れがたい演技として ジョウさんのプロスペロ...シェークスピア テンペストのプロスペローが杖を折るシーン それから英国女優のヴァネッサレッドグレープの演技をあげた。ジョーさんは日本の伝統芸能 狂言から出た役者で みなさん 間違いなく声を聴いたことがある役者さんです。
わたしは偶然 英国なんとかのワークショップに参加する前 ジョウさんのワークショップにも何回か参加し深く揺り動かされ 芝居にも出たので 感慨深かった。
メソッド演技は 役の心理と自分の心理をちかづけてゆく 下手すると自分のドツボにはまり抜けられなくなる。破滅するひともいる。
鈴木メソッドは 体と感覚じゃなかったかな。体的にはわたしはついてゆけなかった。若干悪ロバチックでした。
さて 前置きが長くなりました。
デティール演技とは 細部の構築です。歴史的な事物を知ることもそうだし 人間の心理に伴う動作とか 細かく再現?する。でもあれもこれもだと 演技が重くなる。
ショーケンの演技はじつにかろやか のびやか 空気感がすごかった。忘れがたいのが 天使 と 前略。 もう全く 違うキャラなんだけど そこに 生きてるんだよね リアルに生きてるんだよね あ もうひとつ コンテクスト演技というのもあって それは メソッド演技法があくまでも個人をつきつめてゆくのに対し その時代の大衆といいますか ひとびとの集積 というかエッセンスを加味するみたいな....
ショーケンはまさに時代の若者を そこに現出してた。みんなが同感するような...それこそ演劇といいますか 語りもなんですが 《共鳴》 を生じせしめたのであります。それも劇場ではないしょーもないテレビという ハコで...
別にショーケンがコンテクスト演技をしていたというのではないんですよ。彼は本来の役者でした。俳優 ワザオキ だったかな。降りてくるひと ヨリマシ です。それはジョウさんが役者について言っていたことでもあるんですが 踏み外さないで ヨリマシ あるいは ウツワになるって 実に たいへんなことなのです。
無我にならなくてはいけないのに 一度でも 降りてくる 自分が自分でなくなることを知ってしますとね。求めるようになる 邪念が生じる クスリのちからも借りたくなるのよ。
ミュージシャンもそうなんだよね。人間ではないものが くるのだから 自分の状態がわるいと 変なものが降りてくることもありますしね 役によってもね。
祈りしかないんですね。
デティール演技≒ショーケン に共感できない わたしの気持ち 御理解いただけましたでしょうか?
しかしながら ショーケンは懸命に生きた。真摯に生きた シャイでやさしい役者でした。
ご冥福をお祈り申し上げます。
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