女の背中 男の背中

 

敵に背(うしろ)を見せるな　....　とは　男の背中

敗走する　武将や　徒士　足軽の　背中を　思い浮かべる。

....あと　男の背中に惚れるな　という　ことばも(笑)

 

女の背中で　思い出させられるのは　山岸涼子の「妖精王」
の　マブ女王の　背中である。

二次元の　紙の上に　描かれた　湯あみ中の背中なのだが
脂ののった　その白い肉に　弾かれた　水滴　......
が　つーっと　流れるのが　見えるような気がした。

つぎに思い出すのが　偶然　入浴中の　母の背中を見たとき
の衝撃だった。そのとき　母はすでに50代にさしかかっていた
と思われるのだが　透明がかったような弾力のある　肌
生命がみなぎるような見事な背中　見てはならぬ
ものを見たような　戦慄があった。

そして　忘れがたいのは　越路吹雪TVリサイタルの　ラスト
シーン　越路吹雪が背中を大きくVカットした黒のロングドレス
で　背を向けて　去っていく　映像だった。見られるか目を
背けるかの　ギリギリのシルエットだったのだが.....
目にこびりついて離れない。

越路吹雪は宝塚の男役トップスターだった。華麗なる千拍子...
かなにかで　はじめての女役をした。そのとき　思うように
いかなくて　演出の高木史郎が　.......コーちゃんは垂れパイで
その胸をこう　垂れないように張って　歩きなさい　と
指示を出したところ　妖艶な　越路吹雪になったと　いう。

男の背中には　哀しみがある　むしろ　弱さかな......だから
男の背中に惚れるな　同情からの愛は　幸福に帰結しない　と
というのかもしれない。

しかし　女の背中には　生きる力そのもの　真のエロティシズム
が　あるような気がする。
そういう背中になりたい。