プルシェンコ、ランビエール、ジャベール.......今 振り返ると (まだ現役ですが)彼らはナイスガイで騎士(ナイト)だった......彼らはフィギュアに対して誇りを抱き ジャンプにいのちを賭け 力みなぎる演技をしていました。フィギュア男子の流れははっきり変わったとつくづく思います。力から表現というものにシフトが変わったように思うのです。
流れが変わったのはジョニー・ウィアーそして高橋選手とモロゾフコーチの影響も大きかった。モロゾフ氏は女子のコーチで得たものを男子に注ぎ込んだのではないでしょうか。それだけの魅力があるからなのですが 高橋選手の亜流や中性的な魅力を持つ男子選手も増えましたね。高橋選手に望みたいのは、もっと色気....ではなく集中そして、自分が男子フィギュアを背負っているという自負です。このたびは不幸な事故がありましたが どうも今季の演技は浮ついていて集中が足りないような気がしてならないのです。織田選手はとても集中していました。そして小塚選手の進境には目を瞠るところがありました。事故は不可抗力です。小塚選手の目は深く澄んでいて 朝日テレビのように”わざと”では決してありません。反省はしても落ち込まないでください。
コーチと選手の関係も考えてしまいました。コーチにとって選手はピグマリオン、自分の分身。離れていった選手が優秀であればあるほど、それ以上の選手を育てようとするのではないか、その選手の個性もさりながら 前に育てた選手のレプリカを求めようとすることもあるのではないか。選手はコーチにとって名声をあげる(収入をあげる)手段でもあるわけです。
佐藤信夫コーチを見ていると この方はそうしたものとは無縁の 選手の個性をみきわめたうえで見守り育てる方なのだとしみじみ感じます。今 真央ちゃんをさりげなくけれどもしっかり守ってくだっているのだと感じます。信夫コーチは世界に出てゆくことはしなかったが 教え子は着実に世界へ飛び立った 佐野稔さん、娘の有香選手 村主選手 荒川選手 安藤選手 中野選手 小塚選手 みなさんを基礎から育てたし、コーチのもとに長く居た選手が多いことに気づきます.....そして娘有香コーチはコーチとして世界に飛び立ち アボット シズニー選手の演技を優雅に変えた......。一方 山田コーチもすばらしいコーチですが 村上選手を育て浅田選手を超えさせたいのではという感じがする それはコーチとしてあたりまえのことなのでしょうね。
日本のマスコミは一時は騒いだミキティやシンデレラガールともてはやした明子さんをポンとすて 今度は村上選手をアイドルにしようと必死のようです。けれども 村上選手は同じ山田コーチが育てたとしても 真央さんとは根っこがちがう コギコギでスピーディにエネルギッシュに見えるし、ジャンプはきれいですがあの年齢でジャンプをかろやかに跳べるのはあたりまえ 選手として磨かれてゆくのはこれからです。彼女のなかにつくったのではない本能的な媚びをわたしは感じて少しひいてしまうのです。
次世代としてはこのあいだ動画で紹介した 庄司理紗さんに期待しておりますが、まだまだ先のことながら 浅田真央選手とともにわたしのフィギュアファン人生も終えようと思います。最高のものを見せていただいたのですから それを胸に刻みつけておきたいのです。わたしは数十年ファンだった高校野球を観ることを松坂選手でやめました。相撲は貴乃花関の引退とともに見るのをやめ、プロ野球は長嶋選手の監督引退とともに観るのをやめました。WBCはイチロウがいるかぎり 見続けますが。
腐ギュア界も ”彼ら”が国民の目を真実からくらませるためにつかわれる3Sのひとつスポーツの一種です。選手たちは銀盤というコロッセオで戦っています。そこにはルールがありますが、お金のため 国民感情をコントロールしようとするいくつかの国のためにゆがめられています。モスクワのジュニアでは庄司選手は4位に終わりました。ロシア選手が爆上げされていたからです。ソチもバンクーバー同様熾烈でダーティーな戦いになるでしょう。シニアグランプリファイナルのジャッジもはなはだあやしいものでした。
ジャッジばかりではありません。WBCでは薬物検査はイチロウに集中していました。イチロウ選手自身が「偶然ではないと思う」と言っています。フィギュアでも薬物検査がありますが全員ではなく抽選で 2009年世界選手権では浅田選手でした。わたしは2010年の世界選手権では全選手に薬物検査をしていただきたい。とくにキム・ヨナ選手にはと希望します。
選手たちはいのちを削るように燃え上がらせるように戦っているのですから ルールは公平でなくてはなりません。わたしたちファンはしっかり目を見開いてジャッジを見つめたい そして声をあげるべきところは進んで声をあげ ときには抗議も必要だと思います。選手を フィギュアを守るために。
最後に語り部としての経験から 付け加えます。選手の内面が欲するものがプログラムを選ぶ 選手の内なるものがプログラムに反映するのですが、そのプログラムを演じることが 選手の内面を変えてゆく。パートタイマーみたいな銀盤でいるときだけカチンと切り替わる キム・ヨナ選手のような場合はいいのですが、貼り付けではない深い演技者の場合 プログラムそのものに心象も影響される。
ですから ”鐘”は2009年の浅田真央さんにとって ぴったりのプログラムでした。内なる浅田真央が撰んだのでしょう。今季はやさしい優雅なイメージでひとやすみ。でも、来季はロシア的な深刻な戦いでなく マオシカ、姫さまみたいなカリビアンみたいな透明感のあるかろやかで明るい、空や海原を翔るような戦いのテーマを撰んでいただけないかな......そうしたら浅田真央さんの心もファンの心も変わってゆくと思うのです。
| Trackback ( 0 )
|