(サウジアラビアとロシアの2強が生産量1千万B/D台で首位争い!)
2.2011年の世界の石油生産量
(1) 地域別生産量
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-2-G01.pdf参照)
2011年の世界の石油生産量は日量8,358万バレル(以下B/D)であった。これを地域別でみると中東が2,769万B/Dと最も多く全体の33%を占めている。その他の地域については欧州・ユーラシア1,731万B/D(21%)、北米1,430万B/D(17%)、アフリカ880万B/D(10%)、アジア・大洋州809万B/D(10%)、中南米738万B/D(10%)である。
各地域の生産量と埋蔵量(石油篇1参照)を比較すると、埋蔵量のシェアが生産量のシェアより高い地域は中東及び中南米であり、その他の地域(北米、欧州・ユーラシア、アフリカ、アジア・大洋州)は生産量のシェアが埋蔵量のシェアよりも高い。例えば中東は埋蔵量では世界の48%を占めているが生産量はその33%に過ぎない。中南米も埋蔵量シェア20%に対し生産量シェアは9%である。一方、北米及び欧州・ユーラシアの場合、埋蔵量シェアがそれぞれ13%、9%に対して生産量のシェアは17%及び21%である。またアジア・大洋州も生産量シェアが埋蔵量シェアを8ポイント上回っている。このことから地域別に見て将来の石油生産を維持又は拡大できるポテンシャルを持っているのは中東及び中南米であることが読み取れる。
(2) 国別生産量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-2-T01.pdf参照)
次に国別に見ると、最大の石油生産国はサウジアラビアである。同国の2011年の生産量は1,116万B/Dであり、第2位はロシア(1,028万B/D)であった。ロシアとサウジアラビアは世界の二大産油国である。サウジアラビアはこれまで圧倒的な生産量を誇り両国の差は一時300万B/Dを超えたこともあったが、近年はその差が縮まり2009年、2010年の両年はロシアがサウジアラビアを追いぬき生産量世界一となっている。しかし2011年には再びサウジアラビアが生産量世界一の座を取り戻している。
両国に続くのが米国(784万B/D)、イラン(432万B/D)、中国(409万B/D)である。6位以下10位までの生産国はカナダ、UAE、メキシコ、クウェイト、イラクの各国である。イラクの生産量は280万B/Dであり、イラク戦争前を上回る生産水準に回復した。但し過去最高の生産量を誇った1979年の349万B/Dには未だ達していない。ここ数年同国は次々と国際入札によりルメイラ油田など生産能力の高い油田の開発改修を進めている 。同国はこれら各プロジェクトが目論見通りの生産量を達成できれば、2017年には生産量が8百万B/Dに達し最終的な生産能力は1,200万B/Dになると説明している 。この目標値はかなりハードルが高く消息筋は実現に疑問符をつけているが、イラクの石油生産量が今後も伸びることは間違いないであろう。
(続く)
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