石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2012年版解説シリーズ:天然ガス篇8消費量(3)

2012-07-27 | その他

本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0233BpGas2012.pdf

 

(日本を超えた中国、日本も昨年は急増!)
(4)日本、中国及びインドの消費量の推移(1970~2011年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-3-G03.pdf 参照)
 ここではアジアの三大国である日本、中国及びインドについて1970年から昨年までの消費量の推移を比較してみる。1970年の日本、中国及びインドの天然ガスの消費量はそれぞれ34億㎥、29億㎥、7億㎥であり、同じ年の米国の5,986億㎥と比べると極めて少なかった。

 1970年代前半は日本と中国はほぼ同じペースで増加していた。しかし70年代後半以降日本が引き続き同じペースで増加、1979年には200億㎥を突破、1988年に400億㎥、1996年に600億㎥とほぼ10年単位で200億㎥ずつ増加したのに対し、中国の消費量は1976年に漸く100億㎥を突破した後は横ばいとなり2000年頃まで両国の格差は広がり続けた。

 その結果、2000年の消費量は日本723億㎥に対し、中国は245億㎥にとどまり、日本と中国の差は3倍に拡大した。しかし2000年以降中国の天然ガス消費は急増、2005年には468億㎥と5年間で倍増、さらに2005年以降は増加の足を速め、2009年には日本を追い抜き、2011年の消費量は1,307億㎥に達した。日本の場合は2000年から2010年までの年間平均増加率は3.6%であったが、2011年には一挙に対前年比11.6%の大幅増となった。福島原発事故に伴う火力発電用LNGを緊急調達したためである。インドの消費量は1980年前半まで殆ど伸びなかったが、1980年代後半以降は順調に伸び、2011年には611億㎥を突破、中国の約半分、日本の6割弱にまで成長している。

 天然ガスは石油に比べてCO2や有害物質の排出量が少ない「環境に優しいエネルギー」として今後ますます需要が拡大することは間違いない。世界的にも新しいパイプラインやLNGの液化・運搬・受入設備が増強されている。また石油の可採年数が54年に対して天然ガスのそれは64年であり(本シリーズ石油篇及び天然ガス篇第1回参照)、天然ガスの開発と生産拡大の余地は大きく、今後も消費拡大のペースは続くものと思われる。特に日本の場合は原発事故の影響により今後も天然ガスの消費は高い水準を維持することになろう。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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