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http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0233BpGas2012.pdf
(アジア・大洋州の天然ガス消費量は半世紀で100倍以上増加!)
(3)地域別消費量の推移(1965-2011年)
1965年に6,509億㎥であった天然ガスの消費量はその後毎年増加し続け(唯一の例外は2009年)、1971年には1兆㎥、1991年に2兆㎥を超え、2008年にはついに3兆㎥の大台を超えている。
石油の場合は第二次オイルショック後の1980年から急激に消費量が減った例に見られるように、価格が高騰すると需要が減退すると言う市場商品としての現象が見られる。しかし天然ガスの場合は輸送方式がパイプライン或いはLNGのいずれにしろ生産国と消費国が直結しており、また流通網を整備するためには多くの時間とコストを必要とする。しかしその反面一旦流通網が整備されると長期かつ安定的に需要が伸びる傾向がある。天然ガスの消費量が一貫して増加しているのはこのような天然ガス市場の特性によるものと考えられる。
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-3-G02.pdf参照)
欧州・ユーラシア、北米、アジア・大洋州をはじめとする6地域の消費量の推移を見ると地域毎の生産量の推移にはいくつかの大きな特徴が見られる。1965年の世界の天然ガス消費量の71%は北米、24%は欧州・ユーラシアであり、両地域だけで世界全体の95%を占めており、その他のアジア・大洋州、中南米、中東及びアフリカ地域は全て合わせてもわずか5%にすぎなかった。
その後、北米の消費量の伸びが小幅にとどまったのに対して、欧州・ユーラシア地域は急速に消費が拡大し、1981年には北米を追い越している。そして1980年台半ばから1990年初めまでは世界全体の消費の50%を欧州・ユーラシアが占めていた。同地域の消費量は2001年に1兆㎥を超えた後、2011年は1兆1011億㎥と横ばい状態である。このため欧州・ユーラシア地域の世界全体に占める割合は徐々に低下し2011年には34%となっている。
これに対してアジア・大洋州の場合、1965年の消費量は58億㎥であり中南米(142億㎥)、中東(102億㎥)より少なかったが、1980年頃から増加傾向が顕著となり特に90年以降は急激に増大している。同地域の2000年の消費量は2,908億㎥であり世界全体の12%を占めた。そして2011年は5,906億㎥でシェアも18%に上昇している。2011年の消費量は1965年の102倍であり、2000年と比べても2倍に増加している。1965年と2011年の増加率では北米が1.9倍、欧州・ユーラシアが7.1倍であることと比較してアジア・大洋州の伸びが如何に大きいかがわかる。
北米、欧州・ユーラシア地域とアジア・大洋州地域の違いは先に述べた輸送網の拡充が消費の拡大をもたらすことの証しであると言えよう。即ち北米では1965年以前に既に主要なパイプラインが完成していたのに対し、欧州・ユーラシアでは旺盛な需要に対応して1970年以降ロシア方面から西ヨーロッパ向けのパイプラインの能力が増強されている。この場合、パイプラインの増設が西ヨーロッパの更なる需要増加を招く一方、ロシア及び中央アジア諸国などの天然ガス生産国では新たなガス田の開発が促進され、相互に呼応して地域全体の消費を押し上げる相乗効果があったと考えられる。アジア・大洋州の場合は、日本が先陣を切ったLNGの利用が、韓国、台湾などに普及し、また中国、インド等新たなLNG輸入国が生まれたことにより地域における天然ガスの消費が近年急速に拡大しているのである。
(続く)
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