(OPECのシェアは今も40%以上!)
(3)石油生産量の推移とOPECシェア(1965~2011年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-2-G02.pdf 参照。)
1965年の世界の石油生産量は3,180万B/Dであったが、その後生産は急速に増加し、1980年には6,295万B/Dとほぼ倍増した。その後価格の高騰により石油の消費は減少、1985年の生産量は5,744万B/Dにとどまった。1980年代は石油の生産が歴史上初めて長期にわたり減退した時期であった。
1990年代に入ると石油生産は再び右肩上がりに増加し始めた。そして1995年(6,797万B/D)以降急激に伸び2000年に7,480万B/D、2005年は8千万B/Dを突破して8,139万B/Dに達している。これは中国、インドなど新興経済国の消費量が急増したことが主たる要因である。その後2000年代後半は原油価格の急騰とそれに続く景気後退で石油生産の増加は鈍り2011年の生産量は8,358万B/Dであった。
地域毎のシェアの変化を見ると、1965年は北米の生産量が32%でもっとも多く、中東26%、欧州・ユーラシア18%、中南米14%、アフリカ7%と続き、アジア・大洋州はシェアが最も小さく3%であった。しかしその後北米の生産が停滞する一方、中東及び欧州・ユーラシア(特にロシア及び中央アジア各国)が急成長したため、現在(2011年)では冒頭にも述べたとおり、中東のシェアが最も高く(33%)、次いで欧州・ユーラシア(21%)、北米(17%)の順となっている。最近ではアフリカの生産が伸びており、同地域のシェアは12%に拡大している。
石油生産に占めるOPEC加盟国のシェアの推移を見ると、1965年は44%であり、第一次オイルショック(1973年)前には50%近くに達した。しかし80年代前半にシェアは急落し85年には30%を切った。その後80年代後半から90年代前半にシェアは回復し、95年以降は再びシェアは拡大して40%台のシェアを維持しており2011年は41%であった。
OPECのシェアが1980年代前半に急落したのは、第二次オイルショック(1979年)の価格暴騰を引き金として世界の景気が後退、石油需要が下落した時、OPECが世界の平均を上回る大幅な減産を行ったためである。
今後石油生産がどのように推移するかについては需要と供給の両面で不確定な要素が多く予測することはかなり難しい。需要面で見ると欧州金融危機により世界の景気の先行きの見通しが不透明であり、また地球温暖化問題に対処するため太陽光、風力などの再生可能エネルギーの利用促進が叫ばれている。さらに炭化水素エネルギー源としてもCO2排出量の少ない天然ガスの人気が高く、また石油の消費を減らす省エネ技術が普及しつつある。このように石油の需要を取り巻く環境は厳しいものがある。その一方、中国、インドなどのエネルギー需要は今後も拡大するとする見方が一般的であり、この点では基幹エネルギーである石油の需要は底堅く、再び増勢に転じることも十分予測される。今後石油の生産が停滞するのか、或いは需要の増加に対応するため増産に向かうのかは流動的である。
(続く)
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