石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ニュースピックアップ:世界のメディアから(7月6日)

2012-07-06 | 今日のニュース

・北海油田スト問題で原油価格上昇。Brent100ドル突破の$101.57, WTIは$88.34

・イランの7月原油輸出、100万B/Dで昨年の1/2

 

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BPエネルギー統計レポート2012年版解説シリーズ:石油篇8 消費量(1)

2012-07-06 | その他

(注)本シリーズは「マイ・ライブラリー (前田高行論稿集)」で一括ご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0231BpOil2012.pdf

 

(米国一国で世界の石油の2割を爆食している!)

3.世界の石油消費量
(1) 地域別消費量
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-3-G01.pdf 参照)
 2011年の世界の年間石油消費量は日量8,803万バレル(以下B/D)であった。地域別でみるとアジア・大洋州が2,830万B/Dと最も多く全体の32%を占め、次に多いのが北米の2,316万B/D(26%)であった。2007年以降はアジア・大洋州が北米を上回る最大の消費地域となっており、この傾向は今後定着するものと思われる。これら二つの地域に続くのが欧州・ユーラシア1,892万B/D(22%)であり、これら3地域で世界の石油の80%を消費している。残りの中東(9%)、中南米(7%)及びアフリカ(4%)の3地域を合計しても20%に過ぎず、石油の消費は先進地域(北米、欧州・ユーラシア)及び新興工業国が多いアジア・大洋州に偏っている。

 各地域の消費量と生産量(前回参照)を比較すると、生産量では世界全体の33%を占めている中東が消費量ではわずか9%であり、アフリカも生産量シェア10%に対して消費量シェアは4%に過ぎない。これに対してアジア・大洋州は生産量シェア10%に対して消費量シェアは32%、また北米のそれは17%(生産量)、26%(消費量)といずれも大幅な消費超過となっている。欧州・ユーラシアは生産量21%、消費量22%でほぼ均衡している。このことからマクロ的に見て、世界の石油は中東及びアフリカ地域からアジア・大洋州及び北米地域に流れていると言えよう。

(2) 国別消費量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-3-T01.pdf参照)
 国別に見ると世界最大の石油消費国は米国で、2011年の消費量は1,884万B/D、世界全体の21%を占めている。第二位の中国(976万B/D、シェア11%)を大きく引き離す石油消費大国である。三位以下は日本(442万B/D)、インド(347万B/D)、ロシア(296万B/D)、サウジアラビア(286万B/D)、ブラジル(265万B/D)と続いている。石油は米、日の先進2カ国及びBRICsと呼ばれる中国、インド、ロシア、ブラジルの新興4カ国に大産油国でもあるサウジアラビアを加えた7カ国で世界の半分を消費している。この他ベストテンに入っているのは第8位韓国(240万B/D)、第9位ドイツ(236万B/D)、第10位カナダ(229万B/D)である。

 国別消費量を前章の国別生産量(第2章(2))と比較すると興味ある事実が浮かび上がる。米国と中国は消費量世界一位と二位の消費大国であるが、同時に生産量についても米国は世界3位、中国は世界5位の生産大国でもある。サウジアラビア及びロシアは言うまでもなく世界一、二の石油生産量を誇っている。その他ブラジルも生産量世界13位である。このように石油消費大国の大半(10カ国中6カ国)は石油生産大国でもある。消費量ベストテンに入っていて生産量が皆無又は非常に少ない国は、日本、インド、韓国及びドイツの4カ国である。このように各国によって事情が異なっており、「消費国」と言うだけで結束して産油国(例えばOPECなど)に対峙することは容易ではないと言える。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp


 

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