石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2012年版解説シリーズ:石油篇9 消費量(2)

2012-07-08 | その他

(注)本シリーズは「マイ・ライブラリー (前田高行論稿集)」で一括ご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0231BpOil2012.pdf

 

(世界一の石油消費地域はアジア・大洋州!)

(3)1965年~2011年の地域別消費量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-3-G02.pdf参照)
 1965年の全世界の石油消費量は3,048万B/Dであったが、5年後の1970年には1.5倍の4,542万B/Dに増え、さらに1980年には6千万B/D強になった。1980年代は横ばいであったが、1990年以降再び増加に勢いがつき、1995年には7千万B/Dを超えた。そして2000年代前半には8千万B/D台を超え2011年の消費量は8,803万B/Dに達している。過去半世紀足らずの間に全世界の石油消費量は3倍近く増えているのである。

  これを地域別にみると、1965年には北米及び欧州・ユーラシア地域の消費量はそれぞれ1,293万B/D、1,123万B/Dとこの2つの地域だけで世界の石油消費の8割を占めていた。その他の地域はアジア・大洋州は世界全体の11%(323万B/D)に過ぎず、中東、中南米、アフリカは合わせて300万B/Dに留まっていた。しかしその後、アジア・大洋州の消費の伸びが著しく、1980年には1千万B/Dを突破、1990年代に欧州・ユーラシア地域の消費が伸び悩む中で、1997年にはついに同地域を追い抜き、さらに2007年には北米をも上回る世界最大の石油消費地域になった。

 欧州・ユーラシア地域は1965年に1,123万B/Dであった消費量がオイルショック直後の1980年には2,400万B/Dまで増加している。しかしその後消費量は減少傾向をたどり1990年代後半以降は2,000万B/D前後の横ばい状態を続けている。北米地域については1980年代前半に需要が一時落ち込んだが、80年代後半以降再び増勢を続け2005年には2,500万B/Dに達した。その後、米国の消費量は2008年、2009年と2年連続して減少しており、2011年も2,316万B/Dにとどまっている。

 その他の中東、中南米、アフリカ地域は世界に占める割合は小さいものの、消費量は着実に増加している。特に中東地域は1965年の95万B/Dが2011年には808万B/Dと半世紀弱で8.5倍に膨張している。中東には石油の輸出国が多いが各国の国内消費の伸びが生産のそれを上回れば、その分輸出余力が減少することになる。この事実は将来の石油需給問題に影を投げかけていると言えよう。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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