石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2012年版解説シリーズ:天然ガス篇3 生産量(1)

2012-07-19 | その他

 

本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

 

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0233BpGas2012.pdf

 

 

2. 世界の天然ガスの生産量

(世界の天然ガスの1/3は欧州・ユーラシア地域が産地!)
(1)地域別生産量
 2011年の世界の天然ガス生産量は3兆2,762億立方メートル(以下㎥)であった。これは石油換算では29.5億トンであり、またフィート換算では日産3,170億立法フィートに相当する。

(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-2-G01.pdf  参照)
生産量を地域別でみると欧州・ユーラシアが1兆364億㎥と最も多く全体の32%を占めている。これに次ぐのが北米(8,642億㎥、27%)であり、これら2地域だけで世界の6割に達する。その他の地域は中東5,261億㎥(16%)、アジア・大洋州4,791億㎥(15%)、アフリカ2,027億㎥(6%)、中南米1,677億㎥(5%)であった。

 各地域の生産量と埋蔵量(前章参照)を比較すると、中東は埋蔵量では世界の38%を占めているが生産量では16%に過ぎない。これに対し北米は埋蔵量シェアが世界全体の5%にとどまるのに対して、生産量のシェアは26%に達しており、埋蔵量と生産量のギャップが大きい。その他の地域の埋蔵量シェアと生産量シェアは欧州・ユーラシアが38%(埋蔵量)対32%(生産量)であり、アジア・大洋州は8%対15%、アフリカ7%対6%、中南米4%対5%である。このことから地域別に見て天然ガスの生産を拡大できるポテンシャルを持っているのは中東及び欧州・ユーラシア地域であると言えよう。

(米国が3年連続で生産量世界一!)
(2)国別生産量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-2-T01.pdf  参照)
 次に国別に見ると、天然ガス生産国第1位は米国の6,513億㎥/年(630億立法フィート/日、5.9億トン/年)であった。第2位はロシア(6,070億㎥)であり、この2カ国の生産量が飛び抜けて多い。米国はここ数年シェールガスの開発及び生産が顕著であり、埋蔵量及び生産量とも大幅に増加していることは注目に値する(前章「天然ガスの埋蔵量」参照)。

この2カ国に続くのがカナダ(1,605億㎥)、イラン(1,518億㎥)、カタール(1,468億㎥)であり、米国或いはロシアのほぼ1/4である。6位及び7位は中国(1,025億㎥)、ノルウェー(1,014億㎥)であり、以上の7か国の生産量が1千億㎥を超えている。8位以下はサウジアラビア(992億億㎥)、アルジェリア(780億㎥)及びインドネシア(756億㎥)が名を連ねている。

なおロシア、イラン、カタールなどはGECF(ガス輸出国フォーラム、前章1-(1)参照)のメンバーであるが、GECFメンバー12カ国の合計生産量は1.2兆億㎥であり、全世界に占めるシェアは37%である。これは石油におけるOPEC(石油輸出国機構)のシェア(41%)に匹敵する数値である。現在のところGECFはOPECのような生産カルテルとは言えないが今後の天然ガス需給の動向を左右する鍵になるものと見られる。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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