石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2012年版解説シリーズ:天然ガス篇6 消費量(1)

2012-07-25 | その他

 

本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

 

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0233BpGas2012.pdf

 

 

3.世界の天然ガスの消費量

(欧州・ユーラシア地域が世界の天然ガスの1/3を消費!)
(1)地域別消費量
 2011年の世界の天然ガス消費量は3兆2,229億立方メートル(以下㎥)であった。これは日産3,118億立法フィート、石油換算では年産29億560万トンである。

(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-3-G01.pdf参照)
 地域別では欧州・ユーラシアが1兆1,011億㎥と最も多く全体の34%を占めている。これに次ぐのが北米(8,638億㎥、27%)、アジア・大洋州(5,906億㎥、18%)であり、これら3地域で世界の8割を占めている。その他の地域は中東4,031億㎥、中南米1,545億㎥、アフリカ1,098億㎥であった。アフリカの天然ガス消費量は世界全体の3%で、欧州・ユーラシアの10分の1以下にとどまっている。

 各地域の消費量と生産量(前章参照)を比較すると、欧州・ユーラシアは生産量の世界に占めるシェアは32%に対し消費量のシェアは34%であり、北米の生産量シェアと消費量シェアはそれぞれ26%と27%である。その他の地域は中東(生産量シェア16%、消費量シェア13%)、アジア・大洋州(同15%、18%)、中南米(同5%、5%)、アフリカ(同5%、3%)である。北米及び中南米は生産と消費の比率が等しく地域内で需給がほぼバランスしていることがわかる(域内消費型、地産地消型)。

 これに対して中東及びアフリカは生産が消費を上回っており、一方欧州・ユーラシアとアジア・大洋州は消費が生産を上回っている。このことから天然ガスは中東/アフリカ地域から欧州・ユーラシア/アジア・太平洋地域へと地域を超えた貿易が行われている様子がうかがえる(域外貿易型、なおガス貿易については次章で詳述)。

(日本は前年比12%増、世界平均の2.2%増に比べ突出した伸び!)
(2)国別消費量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-3-T01.pdf参照)
 次に国別に見ると、最大の天然ガス消費国は米国であり、同国の2011年の消費量は6,901億㎥であった。これは全世界の22%に相当する。米国は石油についても世界全体の21%を消費しており(石油篇国別消費量参照)、世界一のエネルギー消費国である。

 第2位はロシア(4,246億㎥、13%)でこの両国が世界の二大天然ガス消費国である。これに続くのがイラン(1,533億㎥)、中国(1,307億㎥)である。5位以下10位までには日本(1,055億㎥)、カナダ(1,048億㎥)、サウジアラビア(992億㎥)、英国(802億㎥)、ドイツ(725億㎥)、イタリア(713億㎥)が名を連ねている。

 2011年の天然ガス消費量を前年の2010年と比較すると、世界全体では2.2%増加している。地域別では欧州・ユー ラシアが対前年比で2.1%減少した以外、他の地域では全て前年を上回っている。特に伸び率が高いのは中東(+6.9%)、アジア・大洋州(+5.9%)である。このうちアジア・大洋州の国別伸び率を見ると、中国(+21.5%)、日本(+11.6%)、台湾(+10.1%)、韓国(+8.3%)など極東諸国が世界平均を大きく上回っている。日本の場合は福島原発事故による原発の全面停止により火力発電用のLNG輸入が急増したことが増加の要因である。

 (続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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