石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(68)

2023-10-23 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第3章 アラーの恵みー石油ブームの到来(5)

 

068 OPEC結成(1/4)

 第二次大戦直後1948年の原油価格はバレル当たり2.8ドルであった。バレルとは石油独特の計量単位であり、本来の意味は「樽」である。パイプラインやタンクローリーのような専用の運搬設備が無かった時代、石油は樽に入れ馬車に積まれて消費地に送られていた。1バレルは42ガロン、リットルに換算すると160リットルである。このことから当時の原油価格は1リットル=2セント、邦貨では2円強と言うことになる。もちろんその後のインフレ係数で現在価格に直すと25ドルとなり2015年の最安値価格とあまり違わない。

 

当時石油の売値のうち産油国の懐に入るのはセブン・シスターズを筆頭とする欧米石油会社が産油国に支払うロイヤリティ(利権料)と生産量に応じたわずかな分配金に過ぎなかった。産油国は取り分の増額を求めて欧米の石油会社と交渉したが壁は厚かった。とにかく原油の生産から精製、そして流通の末端まで欧米の石油企業が独占しており産油国は歯が立たない。1951年にはイランのモサデグ首相が国有化を強行したが、セブン・シスターズの猛烈な反撃に会いあえなく政権が倒れてしまう有様であった。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

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