現地紙記事翻訳:
原題:Analysis: Israel’s Iron Dome air defense system works well – here's how Hamas got around it
URL:https://english.ahram.org.eg/News/510181.aspx
掲載日時/掲載紙:2023/10/13 Ahram Online, Egypt (AP)
筆者:Iain Boyd, Director, Center for National Security Initiatives, and Professor of Aerospace Engineering Sciences, University of Colorado Boulder(航空宇宙エンジニア、コロラド大学教授)
イスラエルには、非常に効果的な最先端の防衛技術と能力を開発してきた長い歴史がある。その代表的な例は、ミサイルやロケット弾に対する世界最高の防御手段として広く喧伝されているアイアン・ドーム防空システムである。
しかし、2023年10月7日、イスラエルはガザに拠点を置くパレスチナ武装組織ハマスによる非常に大規模なミサイル攻撃に不意を突かれた。 ハマスはイスラエル全土の多数の目標に向けて数千発のミサイルを発射したと伝えられる。 詳細は不明だが相当数のミサイルがイスラエルの防空網を突破し、イスラエル側に甚大な損害と死傷者を出したことは明らかである。イスラエルの防衛戦略がハマスの攻撃に対して完全に効果的ではなかったのには単純な理由がある。 そのことを理解するには、まず防空システムの基本を理解する必要があろう。
1.防空システム: レーダーによる探知、対処方法の決定、敵ミサイルの迎撃
防空システムは 3 つの主要な要素で構成される。第一は飛来するミサイルを探知、識別、追跡するためのレーダーの性能である。メーカーの米レイセオン社によると、アイアン・ドームのレーダーは2.5~43.5マイル(4~70キロ)の距離で有効である。 物体がレーダーによって検出されたら、それが脅威であるかどうかを判断するために評価する必要があり、その決定には方向や速度などの情報が使用される。物体が脅威であると確認された場合、アイアン・ドームのオペレーターはレーダーで物体を追跡し続ける。 ミサイルの速度は大きく異なるが、1 秒あたり 3,280 フィート (1 km/s) と仮定すると、防衛システムが攻撃に応答するのにかかる時間は最大でも 1 分である。
防空システムの 2 つ目の要素は戦闘管制センターで、確認された脅威に対処する適切な方法が決定される。 間断なく更新されるレーダー情報を使用して、迎撃ミサイルをどこから発射するか、飛来するミサイルに対して何発発射するかについて最適な対応を決定する。
3つ目の要素は迎撃ミサイルそのものであり、熱探知センサーを備えた超音速ミサイルである。センサーは目標ミサイルの最新情報を迎撃ミサイルに提供し、脅威に向かって自動操縦される。迎撃ミサイルは、小型レーダーによって作動する近接信管(proximity fuse)を使用して、飛来するミサイルの近くで爆発するため、ミサイルを直接攻撃する必要はない。
(続く)