石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

全世界の成長率は今年3.0%、来年2.9%:IMF世界経済見通し(4)

2023-10-30 | その他

(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0588ImfWeoOct2023.pdf

 

3. 2023年GDP成長率見直しの推移(続き)

(OPEC+の盟主サウジとロシアに明暗、インドは6%の高度成長!)

3-2 ロシアとサウジアラビアとインド

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-03b.pdf 参照)

 サウジアラビアとロシアは米国と並ぶ三大産油国であり、両国はOPEC+(プラス)の盟主として最近は協調減産体制により石油価格を下支えしている。昨年7月時点では2023年の成長率見通しはサウジアラビア3.7%、ロシア▲3.5%であり、同年2月のウクライナ紛争ぼっ発が両国の明暗を分けた。

 

 紛争により石油価格が急騰したことは輸出国のサウジアラビアに大きな追い風となった一方、紛争当事者のロシアは制裁の影響を受け経済に深刻な懸念が生まれ、10月の予測見通しでも両国の成長率予測はほぼ同じ水準で維持された。しかし今年1月はロシアの成長率が0.3%とプラスに見直された一方、サウジアラビアの成長率は2.6%に下方修正され、両者の格差は縮小した。7月の両国の成長率予測はサウジアラビア1.9%、ロシア1.5%に見直され、さらに今回10月見通しでは今年の両国の成長率はサウジアラビア0.8%、ロシア2.2%に修正され両国の成長率は逆転している。

 

米国を中心とする先進国による経済制裁が続いているにも関わらずロシアの成長率が上方修正されていることは、インド、中国をはじめとするグローバルサウスの国々が欧米先進国と共同歩調を取らず、或いはこれをチャンスにロシアから安価なエネルギーを輸入し続けている現状を反映したものとみられる。

 

 アジアの経済大国であるインドの2023年のGDP成長率予測の推移は、6.1%(2022年7月時点)→6.1%(10月)→6.1%(本年1月)→5.9%(4月)→6.1%(7月)→6.3%(10月)である。昨年7月以降ほぼ6%前後で推移しており、インドの今年の成長率は世界平均の5.0%を上回る見通しである。

 

(続く)

 

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(71)

2023-10-30 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第3章 アラーの恵みー石油ブームの到来(8)

 

071 OPEC結成(4/4)

石油産業の国有化はその後世界の潮流となるが、その背景には天然資源についての二度の国連決議があった。最初の決議は1962年の国連総会における「天然の富と資源に対する恒久主権」の決議である。これは1966年の決議によってさらに強固なものとなった。このとき(1)資源は本来その所在国に帰する、(2)資源の開発と販売は資源所在国が自力で行うことが望ましい、(3)資源開発に従事する外資は受入国のコントロールに服さなければならない、ことが決議された。天然資源の国有化の正当性をはっきりと認めたのである。

 

国連決議に勇気を得たOPECは1970年代に入るや怒涛の進撃を開始するのである。それはセブンシスターズを恐れさせただけでなく、1973年の第4次中東戦争で世界中にオイルショックを引き起こし石油消費国を震撼させたのである。

 

(続く)

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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