石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(69)

2023-10-25 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第3章 アラーの恵みー石油ブームの到来(6)

 

069 OPEC結成(2/4)

戦後の復興期で石油の需要が急増したため石油各社は値段を据え置いたまま生産を増やすだけで十分な利益を上げることができた。石油が安いことは消費国或いは消費者にとって朗報である。中でも日本は最も大きな恩恵を受けた国であった。安い石油を武器に日本は戦後復興、さらに高度成長へ向けてひた走りに走った。

 

1959年に戦後不況で石油の需要が落ち込むと、セブンシスターズは原油の買い取り価格(公示価格)を引き下げた。それまでインフレの昂進により実質的な実入りが減少していた産油国は、公示価格の引き下げでさらなる歳入の減少に陥った。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イスラエルのアイアン・ドーム防空システムの裏をかくハマス(下)

2023-10-25 | 中東諸国の動向

2.ミサイル防衛の限界

イスラエルは少なくとも10基のアイアン・ドームを稼働させており、それぞれに60発から80発の迎撃ミサイルが配備されている。 これらのミサイルの価格はそれぞれ約 6 万ドルである。 少数のミサイルやロケット弾を使ったこれまでの攻撃では、アイアン・ドームはさまざまな脅威に対して90%の効果を発揮している。

 

なぜこのシステムは最近のハマスの攻撃に対してあまり効果がなかったのか? その答えは簡単である。 ハマスは数千発のミサイルを発射したが、イスラエルがこれに対抗できるよう現場に配備していた迎撃ミサイルは1000基にも満たなかった。 たとえアイアン・ドームが100%有効だったとしても、ハマスのミサイルの数が非常に多かったため一部は突破された。これは最高の防空システムであっても、対抗しなければならない脅威の数が多ければ圧倒される可能性があることを明確に示している。

 

イスラエルのミサイル防衛は、多大な費用を投じ長年にわたって構築されてきた。 ハマスはどうやってこれを制圧する余裕があったのか。すべては数字に帰着する。ハマスが発射したミサイルの価格は1発約600ドルで、アイアン・ドーム迎撃ミサイルの約100分の1である。 イスラエルがすべての迎撃ミサイルを発射した場合の総コストは約4,800万ドルとなる。 ハマスがミサイル5,000発を発射したとしても、その費用はわずか300万ドルだ。

 

このようにして、ハマスは慎重に戦略をたて、アイアン・ドームの防衛能力を圧倒することがわかっていた比較的安価なミサイルを時間をかけて大量に蓄積した。 ハマスの攻撃は軍事的非対称性の非常に明白な例である。低コストで能力の劣るアプローチが、より高価でハイテクなシステムを打ち破ることができたのだ。

 

3.将来の防空システム

ハマスの攻撃は世界の主要な軍事大国すべてに影響を与えるだろう。 これは、2 つの重要な点でより効果的な防空システムの必要性を明確に示している。 第一に、非常に多くのミサイルの脅威に対処できる、より強力な防衛兵器の備蓄が必要である。 第二に、防御兵器ごとのコストを大幅に削減する必要がある。

 

今回のエピソードは、高エネルギーレーザーと高出力マイクロ波に基づく指向性エネルギー防空システムの開発と配備を加速させる可能性を示している。 これらの装置は、発射あたりのコストが比較的低く、電力が供給されている限り発射し続けることができるため、「無限弾倉(infinite magazine)」を備えていると表現することができよう。

 

以上

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする