二つ星の空

(旧「風からの返信」-11.21.09/「モーニングコール」/「夢見る灯台」/「海岸線物語」)

マリア・ビートル読了(伊坂幸太郎)

2014-09-26 00:20:25 | 
最近、疲労困憊して寝てる時、伊坂幸太郎を読んだりして、余計に寝不足になったりしたんだ(爆)。

日頃は読まない類いの本を、たまに無性に読みたくなる。

それが今回は「マリア・ビートル」。伊坂幸太郎の本。「グラスホッパー」の6年後の話だ。

熱っぽくてだるい頭で読んでると、なぜか「檸檬」=「黒田俊介」の外見で連想されて、(長身の殺し屋の役なんだが)「何か黒田氏に申し訳ない」と思いつつ、どうしても払拭できない。ちなみに、「蜜柑」はおいらの脳では再生不可能。これは「黒田じゃない、背高い奴」しか連想できへん。

「槿(あさがお)」は、自動的に、田中秀幸氏の落ち着き払った声と顔で再生されるし(とは言ってもドフラミンゴじゃなくて、シティ・ハンターの槇村的な声)そうすると、仲介屋は誰だろう。野島昭生さん?玄田哲章さん?そして、木村は、どーしても「木村祐一」で再生されてしまう・・・他の奴らは、なかなか視覚的に浮かんでこないんだが。

この作品で一番怖いのは、「七尾」だ。彼がある種、主人公なんだけど。怖い。微笑ましいけど、むちゃくちゃ怖い。(むかつく奴や奇妙な奴は、他にたくさん出てくるけどね。)

とりあえず、具合悪いときに長編読むな、ってことですね。思い知りました。(面白かったけど・・・)

その昔、神林長平を、風邪っぴきの時に一気読みして、頭がぐらんぐらんしてきたことを思い出す。神林氏から比べれば、伊坂氏はまだ優しい。っていうか、読みやすい。そーいや、「ゴールデンスランバー」読んだのも、風邪で伏せっていた時だったような・・・風邪引くと、伊坂作品が読みたくなるのか?>自分。

ああ、そういや、他にも読みかけの本が多いな。ちゃんと読みたいな。寝てばっかじゃなくて。

今日はとりあえず、寝不足解消して、明日(いや今日)気合い入れます。
(思わず、小説のネタばれ書きそうになったので自粛。)
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「寒い国から帰ってきたスパイ」読了

2013-09-08 08:23:29 | 
遅ればせながら、Kindleデビュー(アプリだけど。)

「寒い国から帰ってきたスパイ」は、昔の「寒い国から来たスパイ」という題名が強烈に記憶に残っているので、若干違和感があるのだが、原題は"The Spy who came in from the cold"なので、どっちの訳も違うっちゃ違う。でも、原題を活かした訳は、難しい(というか無理)だという書評には同感。

そんな本作ですが、20年越しで興味を持ちつつ、ずっと横目で「いつか」と先送りしていた作品だった。ジョン・ル・カレの「ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ(裏切りのサーカス)」にはまってから、スマイリーシリーズを一気読みして、その後、やっとこの作品を読むことができた。

う~ん。読むのに怖じ気づいていた自分の予感は、正しかった。めちゃめちゃ重い。「スクールボーイ閣下」に匹敵する。いや、もっと、こう、胃と脳にくる衝撃だ。

でも、読んでよかった。アレック・リーマスに会えてよかった。
読後はしばらく無口になって、ものを考えるのが辛くなって、最後は、布団かぶって寝ちまったけどね。

若干ミーハー視点で言うと、スマイリー、ギラム、コントロールが、the same oldって感じで出てきます。彼らの出番は少ないけど重要なので、書かれていない背景を想像すると、ティンカー・テイラー的バックストーリーを感じて興味深い。
(あ、そうそう、Tinker...の原作もKindleで買ったけど、そのおまけに入っていたプロダクション・ノート(制作に関する記録)で"Guillam (pronounced "gwill-im")"とあった。本当はギラムじゃなくてグウィラムなんだな)

浦沢直樹のマスター・キートンを久しぶりに思い出した。浦沢直樹の世界が好きなのは、こういうル・カレのような作家のテイストに通じる世界観の漫画を描いてくれるからなんだよな。今、ちょっと遠ざかってるけど、また今度読んでみよう。

本屋に行けない生活をどうにかしないとな、と思う今日この頃。
では、また。
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「小さいおうち」読了 & トマス・パワーズ再開(Cabin Pressureのネタばれ含む)

2013-03-04 00:34:38 | 
「小さいおうち」を読了。
懐かしい内容でした。昔どこかで読んだような・・・
その既視感はきっと、おいらの親とか祖母とか、NHK特集で見てきた、あの時代を生きてきた人達の記憶からくるんだと思う。

しみじみ、久しぶりに色々と考えました。

庄司薫の「赤ずきんちゃん気をつけて」が文中にちらっと出てきて、思わずにやりとした。
この作品の「板倉さん」が、庄司薫的だったから、そこでもにやりとした。(残念ながら、タキちゃんは庄司薫なんて知らないんだが。)

さとうさとるの「誰も知らない小さな国」も思い出した。他にも、、、何だろう。ものすごく懐かしい。
せいたかさん、とか、あの時代の人達の雰囲気なんだよな。


そうだ、「ノンちゃん 雲にのる」だ。一番読後感が似ているのは。

最終章の静かな衝撃。それすらも、似ている。



「ノンちゃん雲にのる」は母親の愛読書で、その昔、本の少ない我が家の唯一の本棚に鎮座していた。

おいらは、小学生の頃、読めるものは手当たり次第に読んでいたので、手頃な本の大きさ(子供用の本の大きさだったんだ)と「お、これ、国語の教科書で読んだぞ!(犬のエスと、ノンちゃんの兄ちゃんの話)」という身近さから手にした。開けてみると予想に反してびっくりするほど小さい活字で、しかも挿絵がない。少々びびりながらも、内容はまぁ子どもが読むにちょうどいい内容だったので、(子供用にしては字が小さいなぁ)と思いながら読んだ。

「ノンちゃん雲にのる」は、優しく、怖く、哀しい物語だった。怖く、哀しい部分は、最終章だけなんだけど。子供心にショックだった。戦争のことはほとんど書いていないのに、どれだけ戦争が恐ろしく容赦のないものなのか、あの一行だけで、感じさせられ、ずっと心に残った。そんなすごい作品だった。(衝撃を受けたのは、十代に再読した時かもしれない。ちびっこ時代のおいらに、それほどの感受性はなかったと思うから。)

今回読んだ「小さいおうち」は、中年が読むには少々優しすぎる?印象があったが、やはり、優しさの奥の悲しみや苦しみを感じながら読んだ。タキちゃんの思いが、当時の人々の姿が、当時の東京が、鮮やかに、柔らかに、目の前に揺らめいた。

でも、健史(ヒロインの孫)よ。おまえ、現代っ子すぎやしないか。
おいら中年世代は、とてもおまえみたいなドライな孫にはなれねぇぜ。

ばあちゃんにつっこみいれるなんてよ。

おいらは、その時代を生きた人の感覚を否定することはできなかった。
自分自身がその場にいたら、同じことをしなかったとは、とても思えないから。

「そう」思った人に、「違う」なんて言えねぇよ。

というわけで、現代っ子健史の理知的な言動にびびりつつ、ひたすら「タキちゃん」と「時子奥様」、「恭一」くん、「旦那様」、「板倉さん」、「睦子さん」たちが織りなす昭和時代の場面に感情移入して読み進めたのでした。

よい作品だった。

あの不可思議なミステリーもよかったなぁ。色々と想像した。

「タキ」ちゃんの人生、「奥様」の人生、「恭一君」の人生、「板倉さん」の人生が、それぞれ、ずっしりと感じられた。
それをきちんと受け止めた健史は、まぁ、そこのところは、よく頑張ったな。(おいら偉そう(汗))

とてもよい読後感でした。山田洋次監督が、この作品をどんな風に「見せたい」のか、興味深いです。


そして、おいらはまだ「なぜナチスは原爆製造に失敗したか」を読んでいる。
読むたびにわくわくしてるのに、ちっとも進まないのはなぜだ。。。(読み始めると寝るからだ。。。)

年取ったら、とったなりに、もちっと分別が身につくといいのだが。
やれやれ。


崖っぷち。


そうそう、Cabin Pressureの作者、ジョン・フィネモア氏のブログを読みに行ったら、今回のシリーズ最終話(Yverdon-Les-Bains)について、ファンの反響が大きかったらしく、彼も崖っぷちのようだ(汗)。
おいら、全面的にフィネモア氏に賛同するけどね。特に最後のほう。
クリフハンガーについての彼の説明は、実に納得できるものだった。

確かに、泣きそうになったけど、それはUskertyも同じだ。

おいら、Uskertyの話、大好きなのだが、木登りシーンのカロリンとマーティンの会話のあまりの深刻さに、前後のギャグに笑いながらも、いつも泣き笑い状態になるのだ。最初聴いたときは、その後一週間(つまり、次の話を聴くまで)落ち込んでましたからね(あとでフィネモア氏の「(本編では省略された)金属探知機」の下りを読んで、救われた気になったものだ(なぜ「救われた」と思ったかは不明だが。)思うに、今後の展開や先に控える「お話の終わり」を考えて、とても悲しくなっていたのだと思う。

最終話は、それに匹敵する深いエンディングだったとは思うけど、決して「ひどい」とか「信じられない!」という内容とは違うと思う。愛に満ちていて、最後までぎゅっとつまった、とてもいいエンディングだった。

なーんで、あれにショックを受けて「ジョン・フィネモア○○××!」と叫ぶ「(自称)ファン」が出るのかな。

Uskertyでショック受けて以来ずっと鬱々考えてた身からすれば、最終話で結論出してくれて、むしろすっきりだぜ。
(しつこいおいらは、Uskerty聴いてすぐ、Qikiqtarjuaqを聞き直し、またUskertyを聴いては地味に落ち込んでいたのだ(苦笑))
しかも、マーティンが面接で自己主張したあげく、受かったんだぜ!(この辺、フィネモア氏の言葉を借りてるような言い方ですが、ほんと、同じこと思った。)

というわけで、Cabin Pressure聴いてる人が、こんなブログ読みにくるわけないとは思いますが、今一度主張しておこう。
Uskertyで(その後の展開を想像して)落ち込んだリスナーは、Yverdon-Les-Bainsで救われたんだ!あんな素敵なエンディングが他にあるか!!

ただし、ジョン・フィネモアさん、次の一話で大団円とか考えてたら、泣くで。もっと続けてや。(わがまま)
(だいたい、本人に伝えたかったら、英語で書け、ってことですな。)

調子に乗って書きすぎました。大人げないです。

反省しつつ、、、では、また。
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トマス・パワーズを読む

2013-01-26 19:56:47 | 
「なぜ、ナチスは原爆製造に失敗したか」トマス・パワーズ著、鈴木主税訳、福武書店
上下巻、だいぶ読みであります。感謝。

ああ、がけっぷちで、頭だけ布団の中に突っ込んでるみたいだ。いかん。
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「猫弁と透明人間」

2012-06-16 23:33:53 | 
読みました。

「感性が若い小説だな」とも,「一生懸命書いてある,丁寧な作品だな」とも思いました。(偉そうやな,自分(汗))

上から目線じゃないよ。
一作目も面白かったけど,二作目は,もっとおもしろいな,って,自然にリラックスして読めたんだ。


まだ読んでない人もいるから,内容については触れませんが,とてもよかった。

個人的なツボもたくさんありました(苦笑)。作者のたくらみ(?)に見事にひっかかったよ。主人公は確かに百瀬太郎だけど,様々な視点からの描写により,登場人物全てに感情移入が可能になっているところは,本当にすごい。


おいらの好きな世界が,これでもか,というくらい,てんこもりで,かえって不安になるぐらいでしたが,よくよく読み返してみると,結構ハードな部分もあり,読後感は爽やか,かつ,じわじわと温かい気持ちになれました。


不安になったのは,きっと,自分の心の中を見透かされたように感じたからだ。自分の願望を,なんで知られたんだろう,って。


こんな世界が好きだ。子どもの頃,願ったままの,でも,現実と地続きの,「あるかもしれない世界」「頑張れば,実現できるかもしれない世界」。


どんなにハードロックな毎日が,現実にあったとしても。
この手で,幸せをつかみ取るんだ,という,やたら姿勢をよくしたくなるような,そんな気持ちにさせられる本でした。


明日から,また,頑張ろう。この作品に出てきた,全ての登場人物のように。

著者の大山淳子さんに,そして,この本に関わった全ての皆さんに感謝します。
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ブラッドベリがいた世界

2012-06-11 22:52:32 | 
作家レイ・ブラッドベリ氏が死去 米報道(gooニュース) - goo ニュース

そこに,おいらも生きていたんだ。

その昔,ブラッドベリは萩尾望都によって漫画化された。
おいらは,友達の女の子からそれを借りて,どきどきしながら読んだ。

その後,原作(の翻訳)を読んだら,もっとドキドキすることがわかった。
幸せな出会いだった。

「ウは宇宙船のウ」(原題:R is for Rocket)「スは宇宙(スペース)のス」(原題:S is for Space)
「華氏451度」(=摂氏233度:紙が燃え始める温度だそうだ),「死ぬ時はひとりぼっち」・・・

ブラッドベリを読むのは,理屈じゃない。
少なくとも,おいらにとっては。

その証拠に,あんまり内容を覚えていないんだ(苦笑)。でも,ところどころの表現が印象的に記憶に残って,また,読みたくなる。


ブラッドベリ氏は,火星に向けて旅立ったらしい。(とは,無責任なパンピーの戯言です。すんません。でも,きっと彼が目指すのは,火星だと思うんだ。)

彼の魂に安らぎあれ。彼を好きな全ての人に安らぎあれ。


まだ読んだことない人へ。レイ・ブラッドベリはおもしろいよ。
短編集「ウは~」「スは~」から,お試しあれ。
「10月は黄昏の国」「タンポポのお酒」「とうに夜半を過ぎて」「何かが道をやってくる」等,題名からして愛おしい作品をいくつも書いています。(おいらが特に好きなのは短編。そして「死ぬ時は~」。これ,題名がおっかないけど,濃い霧の匂い,むっとするほどの海の匂いがするお話だ。読んでる内に頭の中がぐるぐるしてくるけどね(苦笑)。)


静かな夜に,祈りをこめて。
全ての,子どもの心に,その畏れに,その歓喜に,その哀しみに,全ての感情の襞に,心の震えに幸いあれ。

レイ・ブラッドベリ様。あなたのいる世界に生まれてきて,よかった。ありがとう。
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ウサギの王

2011-01-06 23:13:59 | 
今年は卯年。

実は、今年最初のブログはあんな愚痴めいた内容のはずではなく、予定では、うさぎにちなんだ話題のはずでした(苦笑)(まぁ、あれもウサギの話ではあるが・・・)

子どもの頃読んだ本で「ウォーターシップダウンのうさぎたち」っていう本があって、動物好きのおいらにとっては一時期バイブルでした。
(幼少期から動物が出てくる話はほぼ読破した。洋物(ファーブルからシートンまで)も和物(椋鳩十他多数)もどっちも好きだった。長じてから漫画「流れ星銀」にはまったのは言うまでもない・・・とは蛇足であるが。)

まぁ、シートン動物記なんかとは違って、文学的な寓話だったのですが、律儀なぐらい写実的な描写も多く、おいらは「うさぎの生態」を読めるだけでも半年くらいは幸せでした。(うさぎというとピーターラビットが有名だしおいらも好きだが、この物語に出てくるうさぎは服は着ておらんし、そのほうがおいらには読みやすかった。)

その中で、(まぁ寓話ですから)ウサギの神話という下りがあって、その話がもう秀逸で、おいらはめろめろになってました。

以下、その概要。

ウサギ(野生のアナウサギ)は弱い。オオカミやイタチにつかまれば、すぐに殺されてしまう。
それについて、うさぎの間で語り継がれる物語がある。

大昔の伝説のウサギの王、エル・アライラーは、智恵もあり勇敢だったが、傲慢になり、太陽の神の怒りを買った。
太陽の神は、動物達に、ウサギを殺すための牙や爪を与えた。動物たちは、ウサギを殺したいという欲望でいっぱいになって野に放たれた。
圧倒的な太陽の力に恐れおののき、それでもあきらめずに穴を掘って逃げようとするウサギの王は、そのしぶとさ故に太陽から祝福を受ける。

"All the world will be your enemy, Prince of a Thousand enemies. And when they catch you, they will kill you. But first they must catch you; digger, listener, runner, Prince with the swift warning. Be cunning, and full of tricks, and your people will never be destroyed."
— Richard Adams (Watership Down)
「世界中がおまえの敵になるだろう。千の敵を持つ王よ。敵はおまえを捕らえれば、必ず殺すだろう。しかし、その前にまず、敵はおまえを捕らえねばならない。穴掘りがうまく、耳が良く、走るのが速い、いち早く警告を発する王である、おまえをだ。
ずる賢くなり、計略にたけよ。そうすれば、おまえの一族は、決して滅びることはないだろう。」
(リチャード・アダムス著「ウォーターシップダウンのうさぎたち」より引用)

これが、太陽の神のお言葉。


なんか、さ。子どもの頃のおいらは、こんなシュールなものを読んで、世の中を少し垣間見たような気になっていたんだなぁ、とも思う。

誤解の無いように説明しておくと、これは、別に人を欺け、という教えではなく、「何の武器を持たないウサギであっても、だからこそ、運命の言いなりになって命を落とすのではなく、頭を使って生き抜け。力が無くとも、自分の長所を生かし、頭を使えば、滅ぶことなく繁栄していけるだろう」っていう導きの言葉なんだよね。平和と繁栄のための、ことば。人を(あるいは人の心を)押しつぶそうとするあらゆるものに対して、あらがい、生きよ、という力強いエールだったと思う。


ウサギ年にあたって、ウサギたちのたくましいこの物語を思いだし、彼らのように、あきらめずに頭を使って前向きに生きられたらな、と改めて思うのでした。

もし、今、自分が無力に感じ、強い力に負けそうに思うなら、「ウォーターシップダウンのうさぎたち」を読んでみるのもいいかもしれない。
児童文学でしかも主人公はウサギだけど、いいよ。

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神林長平の雪風新作「アンブロークンアロー」

2010-07-31 22:43:23 | 
新作とか今頃言ってすみません(伏して陳謝)

戦闘妖精雪風の最新刊「アンブロークンアロー」が発売になっていたらしい。刊行は2009年7月末とのこと。おお、1年前か。。。すまん、本当にすまない。。。

本屋に行くと文庫コーナーは早川回るんですが、新書(ハードカバー)なんて、実用書以外見なかったからなぁ。。。反省。

自分の中には神林長平的世界につよくひきよせられる部分と、つよく拒絶する部分があって、それは、認識可能な部分とそうでない部分の落差が自分の中で大きいからなのだろうと思う。

つまり、神林長平を読むことは、楽しくもあり、ぞっとする居心地の悪さを感じるものでもある。

「ライトジーンの遺産」とか「永久機関装置」「敵は海賊」みたいに、作者がエンターティンメントと割り切って(いるかどうか訊いたことはないが)いる作品は、ただただ心地よく、その世界に酔うことができる。だが、神林長平の作品は、基本的に難解(難解さの質は理系的とも思えるし、哲学的とも思える)なので、気分転換になるときとならんときがあるのは事実だ。

作者がエンターティンメントとして書いた(と推測される)「太陽の汗」だって、いわゆる「青年小説」としては成立してたけど、正直のめりこむにはハードルが高かった。。。(と言いつつ、強烈に印象に残っているが。)

おいらは柔なモラトリアム青年(笑)なので、前述の「ライトジーン」とか「永久機関装置」「敵は海賊」みたいなジュブナイル的世界の方が好きです。(いわゆる「ハードボイルド」な映画的展開なんで、映像が浮かびやすく、感情移入もしやすく理解しやすい)

雪風は、他の超硬派の作品ほどじゃないが、神林作品の中では硬派に分類されるだろう。それでも「戦闘妖精雪風「改」」はわかりやすかったので、神林初心者にもお勧め。機会があったらぜひチャレンジしてみてほしい世界です。それで面白かったら、ぜひ「グッドラック」を。(「自分は何か」とか考えるのが禁忌な人は読んじゃだめだけど。SF好きで神経タフで多少痛んでみたい人にはおすすめ。(←いるのか?そんな人。。。))

そして、今回の「アンブロークンアロー」だ。まだ手に取っていないので内容は不明だが、「この夏の課題図書として取り組みたい本の第一位です。

個人的に煮詰まり放題の毎日で、「もっとマシな自分」を探している今、この衝動が吉と出るか凶と出るかは不明ですが、いい経験になることを期待します。

右脳を活性化するには、あと何を読めばいいかな。

同僚は漫画にはまっているらしい。
上司は。。。すんません、ついてけません、って世界にはまっているらしい。
部下は、、、「本読む暇なし」のオーラを漂わせている。
おいらは、今頃「もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」とか読もうとしてるひねくれ者です。(何で今頃、、、別に表紙に惹かれた訳ではない、、、と一応言っておこう。)

こんなんで大丈夫か?。。。う~ん、、、思考停止。


話変わって。

槇原敬之の「ANSWER」はよい。コブクロのカバーもすばらしい。
早く、いろんなとこで聴きたいなぁ。

そんな今日この頃です。

BGMはみつきの「大切なもの」「ひとつだけ」「青い風」および村治香織のアルバム「CAVATINA」でした♪



日向のにおいは もうすぐ消える
地平のむこうの 夜を
ぼくは 見ない

君の隣で 夕日だけを 信じてる
(自作詩「カヴァティーナ」より)


毎日暑いですが、みなさん、元気な明日をお過ごしください!
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ジュンと秘密の友だち

2009-10-23 23:09:38 | 
今のブログスキンは、そのことも記憶にあったからかも。

知ってる人おる?

「ジュンと秘密の友だち」佐藤さとる:著

おいら、この本は思春期のバイブルでした。きっと、今も。

こんな風に生きたい。こんな世界に住みたい。そう思わせてくれた、佐藤さとる氏、ありがとう。心から、敬意と感謝を込めて。


蛇足として:コブクロの黒田氏が、幼少時、ガキ大将に連れられて隣町(丘陵地?)まで遠征し、帰りがわからなくなって大変だった、という話を聞いて、即座に思い出したのは、この話のイメージでした。(ALL SINGLES BESTの副音声だったかなぁ。。。間違ってたらすんまへん。)

おかしいんやけど、子どもの頃に読んだ本って、映像で記憶に残ってるんね(笑)挿絵とかとは無関係に。


中年の今も、佐藤さとる氏に癒されてます。

追伸:佐藤先生、ほとんどの(昔の)本のファンは、作者に手紙書こうなんて、思いつかんです。以前、何かのインタビューで「確か、指摘してきたのは一人でしたねぇ。」って答えていらっしゃいましたが、その数十倍の数、本を読みながら色々考えてたファンはいる、ということ、ここに改めて(その中の一員として)告白し、申告します。^-^;

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「ゴールデンスランバー」読了!

2009-05-02 19:45:40 | 
ハンパない崖っぷちでした。

さすがに、得意の営業スマイルも限界に近かった(苦笑)。優しい周囲のスタッフに感謝。

今日は、とりあえず「戦力外」でした。完全に電池切れで、声も出ないので、いわゆる「故障者リスト入り(汗)」(1日限定)です。

でも、寝てるばかりは癪なので、「ゴールデンスランバー」(伊坂幸太郎:新潮社2007)を読了。ちなみに、2009年版「このミステリーがおもしろい!」第一位だそうです。他には、第21回山本周五郎賞受賞とか。。そして、第5回本屋大賞受賞でもある。今買うと、「4冠!」というゴールドの帯(笑)で、探しやすいです。英語題は" A MEMORY"らしい。こちらも納得。

「ゴールデンスランバー」は、もちろんビートルズの名曲のことですが、作品中に印象的に使われています。なので、ミステリー好きじゃなくても、ゴールデンスランバーやビートルズが好きなら、読めます。読ませてくれます。(おいらも読めたんだから(笑)大丈夫。)

ミステリー(?)を読むのは久しぶりだし、伊坂幸太郎も初めてだったけど、読みやすくておもしろかったです。各章の最初にある人型マーク(?)が、誰視点の章なのか教えてくれて、それも読者に優しいな、と思った。でも、このマーク見覚えあるんだよな、、、もしかして、発売時に立ち読みしてたっけ?謎。

寝ながら読み、も久しぶりだったけど、字もそんなに小さくないんで、ほんと、負担の少ない本だと思った。文章のスタイルも柔らかい。著者はおいらより年下なんだな。ストーリーとか表現の仕方に、若さを感じた。

全体的に、人間の描き方が綺麗で優しいと思った。まだ読んでない人は、ぜひご一読をお勧めします。時間もほどほどだし。おもしろかった。

こんなに一気読みしたのは、「警官の血」以来かな。あっちの方が内容はハードだったと思う。「半落ち」みたいな、社会的硬派な視点を感じた。

「ゴールデンスランバー」は、どちらかというと、若者の繊細な心の動きを見つめる小説。昔の栗本薫の「ぼくらの時代」シリーズとか、「岬一郎の抵抗」(半村良)なんかも思い出した。栗本薫の叙情性は持ちつつも、ある程度は硬派を保ち、半村良ほど深刻にならないまでも、展開の意外性やテーマに含まれる問題提起に考えさせられる部分もある。これは、本当に、若い世代の著書だなぁ、と思う。(その感覚は、おいらとしては肯定的に捉えている。)

主人公が感じることとか、彼が他の世代と関わっていくその姿勢に非常に共感しました。彼と、彼の親友の森田の関係が、好きだな。おいらも、気づいたら数年音信不通、ってよくある(爆)ので、それでも、会った瞬間に昔に戻るので、ものすごくリアルに共感した。彼らの大学時代が楽しそうで、なんか、その描写にものすごく「青春」を感じて、胸がうずいた。

あ、そういう点では、スティーブン・キングの「デッド・ゾーン」的でもあるな。ストーリーテリングのうまさ(登場人物への共感を描き出すうまさ)が、素晴らしいと思った。さすが「山本周五郎賞」受賞だ。

そんなわけで、1日おとなしくしてました(苦笑)明日から、また頑張ります。

ちなみに、来年「ゴールデンスランバー」映画化らしいっすよ^-^どんな風になるのかなぁ。楽しみ~!
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ボクがココに居るうちに

2008-10-05 19:56:32 | 
皆さん、いかがお過ごしですか。

ちょっと風邪が治りません★頭苦しいし、鼻水止まらんし、腹痛で気持ち悪い。あ、食べ過ぎ、って説もあるけどね(苦笑)。

そんなわけで、ダメになる前に急ぎ書き込み。


最近、エミリ-・ディキンソンの詩が頭の中エンドレスで回ってて、ディキンソンファン歴は20年以上(笑)なのですが、改めて、自分の変わらなさ加減に脱力してます。

部屋の片付けしてたら昔のノートが出てきて、「何これ、おいら、気の利いたこと書いてるやんけ」と一瞬思ったら、ディキンソンの詩の和訳だった(爆笑)という件も発覚。脱力マックスです。。。

で、今日はちょっとご紹介。

ディキンソンの詩より、引用です。

The Poets light but Lamps ---
Themselves --- go out ---
The Wicks they stimulate ---
If vital Light

Inhere as do the Suns ---
Each Age a Lens
Disseminating their
Circumference ---
(#883, Emily Dickinson)

詩人はただランプをともし
みずからは消えてしまう
彼らは芯を刺激する
もし生きた光りが
太陽のように自身で燃えるなら
時代はそれぞれレンズとなり
その円周を
広げていく
        (新倉俊一訳)

このイメージが鮮烈で、それに、昔、修学旅行で行った京都のお寺で、住職さんが話してくれた「一隅を照らす」ことの大切さ、なんかが混じり合って、以来、おいらにとって「灯火」のイメージは、いつも自分を奮い立たせてくれるようになったのかなぁ、と思うのです。

灯火を大切にして、一歩一歩歩いていきたいな。
守りたいものを、守るために、ぼくらは生きている。そのことを忘れないために。

今日の備忘録でした。Take care.
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アインシュタイン博士へ

2007-12-03 23:32:34 | 
昨日のブログに、あいまいな記憶で書いてしまった「ぼくらはこの地上で、ほんのひと時存在し、、、」の続き。

「奇妙なのは、この地上でのぼくらの状況だ。ぼくらはこの地上で、ほんのひと時存在してはいるが、なぜこの世を訪れているのかも知らぬままなのだ。まぁ、時には、何か目的があることを察知する時もあるようではあるが。しかし、日常生活の視点から言えば、一つぼくらが確実にわかっていることがある。つまり、誰でも、人は、他の人のために存在しているってことだー--中でも、その人の笑顔や幸せがぼくらの幸せのよりどころとなるような人のために、ぼくらは存在している。また、同じように、数えきれないくらいの見知らぬ魂、というか人々、その人達の運命にぼくらは共感という絆で結びつけられているのだけれど、そんな無数の人達のために、ぼくら一人一人、それぞれが、ここにいるんだ。(以下、略)」

原文は、1940年に発表された"I Believe"から。この部分の英文の書き出しは、"Strange is our situation here upon earth. Each of us comes for a short visit, not knowing why, yet sometimes ..."と続きます。引用は、以上。(原文と比較すると、訳のしょぼさがバレル。。。(汗))

ちなみに、Albert Einstein博士は1879年3月14日生まれでした。

おいらが訳すと、なんか庄司薫みたいになるね(苦笑)。

ちなみにこれは、高校時代に読んだ「20世紀英米名文選 第4集」という本に載っとりました。何十年前ダヨ。。。物持ちいいなー自分(探すのに手間かかったが)。今、出版されてるアインシュタイン本("Bite-Size Einstein"とか)にも載ってるかな?持ってるけど、確認してないのですが、(だって、"Bite-size"って索引ないんだ!)そんなものぐさですんません。

奇行や人間的にアレな部分も取りざたされるアインシュタイン博士ですが、おもしろいこと、素敵なこと、いろいろ話したり書いたりしてるんで、興味ある人は、読んでみてください。原書も翻訳本もおもろいよ♪


今日は真面目に働いた一日でした。ノルマ終わってないけど(爆笑)



ファイト、自分。p(+_+)q


では、また。
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10年ぶりの傍若無人「敵は海賊・正義の眼」

2007-10-14 20:36:51 | 
ちょっと知らんうちに、神林長平のコーナーが本屋にできとりました。最近あまり行っていなかったことが悔やまれます(反省)。だって。

6月に「敵は海賊」の新刊出てたんすね!その名も「敵は海賊・正義の眼」!

4月末にここのブログで「純なココロの主人公で、何か書いてくれ~」とか叫んでた自分、発見(苦笑)。
http://blog.goo.ne.jp/march-wind/e/76de8af485f9b8d2a04732bf5faa408d

痛いですなぁ。。。発行6月25日ですからね。4月末なんて、きっと執筆後ですよ。知らんかったなぁ。。。でも、「純なココロ」ちょびっとリンクしてて、なんだか神林氏とシンクロしたみたいで、なんか嬉しい♪(って、4ヶ月後に発見して、どこがシンクロだよ。。。)

よりによってこのタイミングなんで、まともな感想は、X-dayの後で(涙)。

それにしても、やはり「敵は海賊」はいいな。なんか、ラテルがどんどん常識人になってるんだけど。おいらはラテル大好きなんで、(神林作品の中で、一番感情移入できるのがラテルだ)、彼が元気で、しかも真面目に心境を語ってたりするので、実に嬉しい。他の登場人物達も、レギュラーも新顔も、皆、立ってるなぁ。。。SF探偵映画観てるみたいなんだよね。思いっきり宇宙の話なのに、浮かんでくる映像がコロンボなんだ(笑)。そこが、好きだ。ヨウメイも、相変わらずだし、アプロも、まさにアプロだし。

しかし、スラップスティックもちゃんと健在なこの痛快物語、10年ぶりの新刊だったとは知らなかった。おいら、前の巻、新刊として買ったぜ!ってことは、あれ、10年前か。。。(恐ろしい。。。)

神林流のシニカルなテーマもうっすら怖かったけど、10年という時の流れ、これがマジ一番怖かったです。

そっかー。「A級の敵」を読んでたおいらは30だったかー(爆)。

自分の精神年齢がいっこうに進んでない、この現実が、もっと怖いのかもしれないですね。ハイ。
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神林長平の時代

2007-04-30 20:56:35 | 
「家のパソコンで科学に貢献=ネットで分担、スパコンしのぐ」
4月30日15時1分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070430-00000047-jij-soci

いや、もうSFですね。

怖いのは、さ。記事の書き方に微塵も恐怖感がないってことなのだ。コンピューターはすでに「家電」の時代。規格化されて、単なる端末になっちゃったら、エンドユーザーがあれこれできなくなる日も近いかも、な~んて、ね。

「戦闘妖精・雪風」の中の短編。アニメ化の頃に発表された小編。おいらは零の感覚を少しだけ信じる。あの苛立を。(おいらにとっても、パソは「ぼくの、マシン」だから。あの話自体はけっこう悲劇的だったが。)

あー、それにしても、神林長平、今の時代をどう見てるんだろな。最近、「(自称)ライトノベル」書いてたし、そっち系のエンタメの才能もあるからなー。どなんでしょ。また、たまに、中年向きの疑似ハードSF書いてほしいっす。ここは一つ、純なココロの主人公で。

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