この記事は、今から4年前のもので、書かれている事故は、今から28年前に起こったものです。
つい先日、実に5年4ヶ月もの長い間、停止していた伊方原発が、再稼働されてしまいました。
いつも日本が抱える問題を、深く掘り下げて提起してくださる守田敏也が、この件について、詳しく書いてくださいました。
その記事によると、
世界の中で、4年以上のブランクを経て、再稼働した原発は、14例しかなく、そのすべてで、大小の事故が起こっているのだそうです。
なぜかというと、
あらゆる機械は、恒常的に動かしていてこそ正常に動くのであり、長く停めていると、可動部がくっついて動かなくなる「固着」などの現象が起こり、動きが悪くなってしまうからです。
そして伊方原発は、川内原発と同じく、免震機能がありません。
さらに、通常より何倍も危険と云われている、プルサーマル発電なのです。
前回の記事では、避難計画のいい加減さと、こんな危なっかしい原発を動かそうとしている人々の無責任さについて、記事を書きました。
今回はそのつづきとして、過去に起こった事故や、津波が来ないなどと想定できない事実を、守田さんの記事とともに紹介します。
伊方原発上空飛ぶ危険
オスプレイ 普天間~岩国間で訓練
1988年 間近に米ヘリ墜落
【しんぶん赤旗】2012年7月22日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-22/2012072201_01_1.html
原子力発電と、墜落事故が相次ぐ米海兵隊の垂直離着陸機オスプレイ。
悪夢のような組み合わせが、現実になる危険があります。
24年前には、伊方原発上空を飛行していた米海兵隊ヘリが、同原発から800メートル先に墜落する、という事故も起こっていました。(竹下岳)
(写真)伊方原発(愛媛県伊方町)
❌が、CH53Dヘリの第1衝突点。その後、山頂を越えて、反対側に飛び越えた。
1988年6月25日午前10時10分。
視界20メートルの濃霧に包まれた、佐田岬半島の北側斜面に、普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属のCH53Dヘリが、激突しました。
そこは、伊方原発(愛媛県伊方町)の、ほぼ真上でした。
現場を歩くと、その「近さ」に、慄然(りつぜん)としました。
機体は強い衝撃で跳ね返り、山頂を越えて、南側斜面を200メートルほどずり落ちて大破。
乗組員7人は、全員死亡しました。
「機体が跳ね返らなかったら、原発敷地内に落ちて、大惨事になっていた」
現場に急行した日本共産党の中川悦良県議(当時)は、こう証言します。
海兵隊は非常線を張り、中川さんたちも中に入ることはできませんでした。
「これが日米安保の壁か、と感じました」
この事故は、過去の問題ではありません。
佐田岬半島上空は、沖縄と岩国基地(山口県岩国市)を結ぶ「ルート」になっており、
88年の事故後も、普天間基地に所属する海兵隊ヘリの不時着や、目撃情報が相次いでいます。
(表、愛媛民報社まとめ)
米海兵隊は、オスプレイを普天間に配備した後、岩国基地に、2~3機からなる分遣隊を置き、10月以降にも、毎月訓練を行う計画です。
そうなれば、沖縄~岩国間の往復や訓練などで、伊方原発近辺を飛行するのは確実です。
また、FA18戦闘攻撃機も、九州方面から佐田岬半島を越えて、岩国へ飛行する姿が、何度か目撃されています。
19日午前、曇天のため、機影は確認できませんでしたが、記者も、岩国方面へ抜ける、ジェット機の音を聞きました。
原発の増設も続きました。
88年当時、伊方原発の原子炉は1、2号機だけでしたが、現在は3号機が立地。
しかも、同機は、ウランとプルトニウムを混ぜたMOX燃料を使用する、プルサーマル運転を行ってきました。
岩国基地に近い上関原発(山口県)の建設計画も、依然、続いています。
「伊方等の原発をなくす愛媛県民連絡会」の和田宰代表幹事は、
「原発は、上空から目立つので、訓練の標的にされやすい。
低高度でトラブルが発生したとき、安全に着陸できない欠陥機・オスプレイの配備は、絶対に許されない」と訴えます。
▪️伊方原発周辺の米軍機事故
79年12月 保内町(現・伊方町) 保内中学校庭にAH1Jヘリ(普天間)2機不時着。
81年03月 保内町 保内中学校庭にAH1J(同)不時着。3日間駐機。
84年04月 三崎町(現・伊方町) AH1J(同)が建設会社敷地に不時着。
88年06月 CH53Dヘリ(同)が伊方原発至近に墜落。7人死亡。
89年06月 野村町(現・西予市) FA18戦闘攻撃機(岩国)が、野村ダムに墜落
00年04月 三崎町ムーンビーチ AH1Wヘリ(普天間)が不時着。僚機2機も着陸。
08年07月 MC130特殊作戦機(嘉手納)が八幡浜市などで超低空飛行。
12年03月 松山空港にCH53Eヘリ(普天間)4機が緊急着陸。
******* ******* ******* ******* *******
8月12日、報ステが、伊方原発再稼働を鋭く検証。
避難ポイント51ヵ所のうち、22ヵ所までもが、津波被害が想定される場所。
中村時広愛媛県知事は、
「とりあえず高台に上がれ。その時点で考える」と、さすがの無責任ぶりを全開。
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伊方原発を動かしてはならない幾つもの理由−上
【明日に向けて】2016年8月15日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/ac6e04f05f8f856793573e9be441cddc
守田です。
すでにご存知のように、8月12日に、伊方原発3号機の再稼働が、強行されました。
13日には、核分裂反応が「安定的」に持続する、「臨界」状態に達し、本日15日午後2時過ぎに、発電と送電が開始されました。
今後、22日までかけて、出力をあげていき、フル稼働したのちに国の検査を受け、来月7日には、営業運転に入るとの見通しが、語られています。
伊方原発の、まったくもって無謀で無責任な再稼働強行に、怒りを込めて抗議します。
伊方原発を動かしてはならない理由、すぐに停めるべき理由は、実にたくさんありますが、
注目すべきことは、その多くが、川内・高浜原発と被ってもいることです。
なぜなら、これらの原発はともに、同じ矛盾に満ちた新規制基準のもとで、再稼働が認められているからです。
同時に重要なのは、同じ構造的欠陥を抱えた、三菱重工製の加圧水型原発であるからでもあります。
では、伊方原発に、固有の危険性、動かしてはならない理由とはなんでしょうか。
第一に、地震の大きな断層帯である、中央構造線のほぼ真上に存在していることです。
第二に、細長い半島の付け根にあり、その先に5000人もの人々が住んでいて、重大事故のときに、とてもではないけれど、安全な避難などできないことです。
この二つの理由だけでも、伊方原発は即刻、再稼働を中止すべきです。
この点を踏まえた上で、川内・高浜両原発にも共通する、動かしてはならない理由を、「明日に向けて」の過去記事を参照しながら、おさえておきたいと思います。
第三に、原発再稼働の認可を与えている新規制基準が、大きな事故の発生を前提にしており、それへの対策を求めたことになっていることです。
そもそも、チェルノブイリ原発事故が起こった時に、この国の電力会社と政府は、
「日本では、あのような事故は絶対に起こらない」と、うそぶきました。
言い換えれば、「だから原発の運転を認めて欲しい」というのが、私たち市民との約束だったのです。
この点から言えば、福島原発事故でこの約束は敗れたのですから、その時点で、日本の原子力産業を、終焉させるべきでした。
ところが、新規制基準では、言うに事欠いて、
「あのような事故は、絶対に起こらないと言ってきたことが間違いだ」と言い出したのです。
完全な開き直りです。
この点は、最も重要なポイントなので、ぜひ以下の記事を参照して、つかんでおいてください。
原発再稼働に向けた新規制基準は、大事故を前提にしている!
【明日に向けて(1062)】2015年3月28日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3d3e4b0cb07ae7a68734a3b52c9c693f
第四に、その新規制基準が、「福島原発事故の教訓を踏まえる」となっていることの矛盾です。
なぜかと言えば、そもそも福島原発は、1号機から3号機までメルトダウンし、核燃料が溶融して落ちてしまっていて、どこにあるのかもはっきりしない状態です。
この間、宇宙線のミュー粒子線を使って、ようやく、2号機の燃料の位置が確認されつつありますが、それすらも概略が分かっただけです。
肝心の、格納容器のどこが、どうして、どのように壊れてしまったのかも、分かっていません。
それどころか、猛烈な放射性物質である、溶け落ちた核燃料を、無事に取り出せるかどうかすら分かっていません。
要するに、事故の概要すらつかめてないのです。
これで、「事故の教訓」に学ぶことなど、できるはずがありません。
福島の教訓に基づく重大事故対策など、まだできるわけがない!
【明日に向けて(1063)】2015年3月29日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8718f402298f072498d32eb7f59478f8
第五に、柏崎刈羽原発の近くで起こった、中越沖地震の際、地震動の想定のあやまりが突き出されており、この点がまったくクリアできていないことです。
伊方原発が、中央構造線の上にあることを考えると、より深刻な問題です。
現在の原発は、直下で襲ってくる可能性のある、地震の揺れの大きさを、あまりに小さく見積もっているのです。
さらに、本年4月の熊本・九州地震では、熊本県益城町において、
M6.5震度7の地震が、14日に起こったのちに、M7.3震度7の地震が16日に起こると言う、これまでの観測史上にない事態を記録しました。
16日の地震のエネルギーは、14日のそれのなんと16倍。
さらに、その後1カ月の間に、震度1以上の揺れが約1400回、昨年1年間の、日本中の地震の8割近くが起こってしまったのですが、これまた観測史上初めてのことでした。
これらが突き出しているのは、現代科学が、まだまだ地震について多くのことを把握できていない、という事態です。
そもそもこの点からも、地震動設定は、かなり厳しく見直されるべきです。
原子力規制庁・新規制基準の断層と地震動想定のあやまり(後藤政志さん談)
【明日に向けて(1064)】2015年3月30日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/a3f0e8c33a857d8a36a56280845eedc1
第六に、あらたに施された、加圧水型原発の過酷事故対策が、むしろ危険性が大きいことです。
ポイントは、水素ガス対策にあります。
燃料が高熱化した場合、それを覆っているジルコニウムが、水と反応することで水素が発生し、爆発の危険性が生じるので、これに対応した対策です。
福島原発では、水素爆発を避けるために、格納容器の中に窒素が封入してありました。
このため、容器内での爆発は避けられましたが、格納容器の蓋の締め付け部から、建屋内に漏えいしたと思われる水素のために、大きな爆発が起こってしまいました。
これに対して、容量が圧倒的に大きい、加圧水型原発の格納容器は、窒素の封入ができないために、より高い危険性があるのですが、
これに対して、水素が発生したら、イグナイタ—(着火装置)ですぐに燃やしてしまう対策をとる、としています。
しかし、過酷事故の中で、この装置がうまく働くのでしょうか。
なかなか着火がしなければ、どんどん水素が溜まっていき、やっと着火できたときに、格納容器内での破局的な爆発を、誘発しかねません。
安全対策どころか、自爆装置になってしまいかねないのです。
新規制基準の「重大事故」対策は、あまりに非現実的でむしろ危険だ!
【明日に向けて(1065)】2015年4月6日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/d4c8272d4c01e698efd2e68600b4b4af
川内原発再稼働も禁止すべきだ!
〜加圧水型原発過酷事故対策の誤りを後藤政志さんに学ぶ〜
【明日に向けて(1075)】2015年4月22日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9605e1dc395c1d33815861dad65ac36a
第七に、懸念すべきことは、伊方原発が、実に5年4カ月ぶりの、再稼働を迎えていることです。
昨年夏に、川内原発が再稼働するまで、世界で4年以上停まっていて再稼働した原発は、14例しかありませんでしたが、そのすべてで、大小の事故が起こりました。
なぜかというと、あらゆる機械は、恒常的に動かしていてこそ正常に動くのであり、
長く停めていると、可動部がくっついて動かなくなる、「固着」などの現象が起こり、動きが悪くなってしまうからです。
しかも、原発は、大量の水が循環しており、一部は海水がまわっているため、腐食やさびなどが生じやすいのです。
しかし、設備があまりに巨大なために、あらかじめ、すべての箇所を点検することができません。
そのため、こうした事故が起こりやすいのです。
この間の再稼働でも、川内原発1号機で、復水器のトラブルが起こりました。
高浜原発4号機は、送電開始とともにアラームが鳴り、原子炉が緊急停止してしまいました。
なお、以下の記事では触れていませんが、こうした長く停まっていた原発のトラブルは、機械的要因だけはでなく、
運転手や保守点検員などの、技術者の能力の低下にも直結します。
このため、事前の点検にミスが出やすかったり、さまざまな数値の入力の誤りなども生じやすい。
4号機も、それで停まったのだと思われますが、原発の場合、こうしたミスが大事故に直結することもあるだけに、深刻です。
再稼働した川内原発で、さっそくトラブル発生!
ただちに運転を中止すべきだ!
【明日に向けて(1127)】2015年8月22日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/649eafab984d8f08dcb08954f246de2f
第八に、加圧水型原発である伊方原発は、致命的な欠陥を抱えた蒸気発生器という、大きな部品を持っていることです。
蒸気発生器は、炉内を約150気圧300度の高温で周っている一次冷却水と、細管で接して、二次系に熱を送り、タービンを回す蒸気を発生させる機器です。
この細管が、高圧高温のために損傷しやすく、すぐにピンホールが空いてしまい、
美浜原発では、配管がギロチン破断して冷却水が飛び出すという、深刻な事故が引き起こされました。
冷却材喪失で、メルトダウンに発展する直前まで、事故が進みました。
このため、三菱重工は、蒸気発生器を交換しながら、原発を運転してきましたが、
2007年と翌年に、アメリカのサンオノフレ原発に、蒸気発生器を輸出して交換したものの、すぐに深刻な事故が起きて、原発が停まってしまいました。
その後、アメリカの原子力規制庁が査察に入り、「修理不可能」と判断。
なんと、サンオノフレ原発は、廃炉になってしまったのです。
技術的には、これと同じ時に作られた蒸気発生器を、三菱重工は使っていますが、
なんと、川内原発2号機は、この部品を運び込み、取り替えの認可も得ていたにも関わらず、交換をしないで再稼働してしまいました。
どう考えても、サンオノフレ原発の事故で、同じ時期の技術で作られている最新型が怖くなって、交換をせずに再稼働したとしか考えられないのですが、
しかし、なぜ交換しようと思ったのかと言えば、もともとの部品に自信が持てなくなったからです。
このため、川内原発は、1号機は最新型を付けているから危険で、2号機は旧型を付けれているから危険なのです。
交換しようがしまいが、蒸気発生器の欠陥という問題を背負いこんでいるのが、加圧水型原発なのです。
伊方原発も、これと変わらない部品を使っており、その面でも極めて危険です。
川内原発2号機の再稼働は、あまりに危険!
みんなで食い止めよう!
【明日に向けて(1166)】2015年10月8日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/4b723d9972dd00d65f24baa1e200ebab
第九に、7月に起きた、1次冷却水の循環のためのポンプの故障事故もまた、この原発の構造的欠陥が原因である、と思われることです。
なぜなら、同様の故障事故が、2005年に美浜原発1号機で起こっており、実は、2003年に、同じ伊方原発3号機でも起こっていることです。
あるいは、川内原発1号機では、2008年に同じ個所で、一次冷却水を循環させるためのモーターに取り付けられた、プロペラの主軸が折れてしまう事故も起こっています。
しかも今回、伊方原発3号機は、直前にこのポンプを新品に交換して、再稼働へとのぞみつつあったのでした。
にもかかわらず、事故がおきて、再稼働スケジュールが一月近くも伸びたことからも、この部分に構造的欠陥があることがうかがわれます。
150気圧300度の、高圧高温の熱湯がまわっているだけに、大変危険です。
伊方原発3号機ポンプ故障事故は大問題!再稼働を断念すべきだ!上
【明日に向けて(1282)】2016年7月24日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/643579af330808d6be892623cd6ed94b
伊方原発3号機ポンプ故障事故は大問題!再稼働を断念すべきだ!下
【明日に向けて(1283)】2016年7月24日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9a7954d2d3903adade7e5affa003fb26
細かくは、もっと指摘できることもありますが、ともあれ、これらからだけでも、伊方原発が即刻再稼働を止めるべき理由は明らかです。
今からでもけして遅くありません。
伊方3号機は運転を中止せよ!の声を、各地で高めていきましょう!
つい先日、実に5年4ヶ月もの長い間、停止していた伊方原発が、再稼働されてしまいました。
いつも日本が抱える問題を、深く掘り下げて提起してくださる守田敏也が、この件について、詳しく書いてくださいました。
その記事によると、
世界の中で、4年以上のブランクを経て、再稼働した原発は、14例しかなく、そのすべてで、大小の事故が起こっているのだそうです。
なぜかというと、
あらゆる機械は、恒常的に動かしていてこそ正常に動くのであり、長く停めていると、可動部がくっついて動かなくなる「固着」などの現象が起こり、動きが悪くなってしまうからです。
そして伊方原発は、川内原発と同じく、免震機能がありません。
さらに、通常より何倍も危険と云われている、プルサーマル発電なのです。
前回の記事では、避難計画のいい加減さと、こんな危なっかしい原発を動かそうとしている人々の無責任さについて、記事を書きました。
今回はそのつづきとして、過去に起こった事故や、津波が来ないなどと想定できない事実を、守田さんの記事とともに紹介します。
伊方原発上空飛ぶ危険
オスプレイ 普天間~岩国間で訓練
1988年 間近に米ヘリ墜落
【しんぶん赤旗】2012年7月22日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-22/2012072201_01_1.html
原子力発電と、墜落事故が相次ぐ米海兵隊の垂直離着陸機オスプレイ。
悪夢のような組み合わせが、現実になる危険があります。
24年前には、伊方原発上空を飛行していた米海兵隊ヘリが、同原発から800メートル先に墜落する、という事故も起こっていました。(竹下岳)
(写真)伊方原発(愛媛県伊方町)
❌が、CH53Dヘリの第1衝突点。その後、山頂を越えて、反対側に飛び越えた。
1988年6月25日午前10時10分。
視界20メートルの濃霧に包まれた、佐田岬半島の北側斜面に、普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属のCH53Dヘリが、激突しました。
そこは、伊方原発(愛媛県伊方町)の、ほぼ真上でした。
現場を歩くと、その「近さ」に、慄然(りつぜん)としました。
機体は強い衝撃で跳ね返り、山頂を越えて、南側斜面を200メートルほどずり落ちて大破。
乗組員7人は、全員死亡しました。
「機体が跳ね返らなかったら、原発敷地内に落ちて、大惨事になっていた」
現場に急行した日本共産党の中川悦良県議(当時)は、こう証言します。
海兵隊は非常線を張り、中川さんたちも中に入ることはできませんでした。
「これが日米安保の壁か、と感じました」
この事故は、過去の問題ではありません。
佐田岬半島上空は、沖縄と岩国基地(山口県岩国市)を結ぶ「ルート」になっており、
88年の事故後も、普天間基地に所属する海兵隊ヘリの不時着や、目撃情報が相次いでいます。
(表、愛媛民報社まとめ)
米海兵隊は、オスプレイを普天間に配備した後、岩国基地に、2~3機からなる分遣隊を置き、10月以降にも、毎月訓練を行う計画です。
そうなれば、沖縄~岩国間の往復や訓練などで、伊方原発近辺を飛行するのは確実です。
また、FA18戦闘攻撃機も、九州方面から佐田岬半島を越えて、岩国へ飛行する姿が、何度か目撃されています。
19日午前、曇天のため、機影は確認できませんでしたが、記者も、岩国方面へ抜ける、ジェット機の音を聞きました。
原発の増設も続きました。
88年当時、伊方原発の原子炉は1、2号機だけでしたが、現在は3号機が立地。
しかも、同機は、ウランとプルトニウムを混ぜたMOX燃料を使用する、プルサーマル運転を行ってきました。
岩国基地に近い上関原発(山口県)の建設計画も、依然、続いています。
「伊方等の原発をなくす愛媛県民連絡会」の和田宰代表幹事は、
「原発は、上空から目立つので、訓練の標的にされやすい。
低高度でトラブルが発生したとき、安全に着陸できない欠陥機・オスプレイの配備は、絶対に許されない」と訴えます。
▪️伊方原発周辺の米軍機事故
79年12月 保内町(現・伊方町) 保内中学校庭にAH1Jヘリ(普天間)2機不時着。
81年03月 保内町 保内中学校庭にAH1J(同)不時着。3日間駐機。
84年04月 三崎町(現・伊方町) AH1J(同)が建設会社敷地に不時着。
88年06月 CH53Dヘリ(同)が伊方原発至近に墜落。7人死亡。
89年06月 野村町(現・西予市) FA18戦闘攻撃機(岩国)が、野村ダムに墜落
00年04月 三崎町ムーンビーチ AH1Wヘリ(普天間)が不時着。僚機2機も着陸。
08年07月 MC130特殊作戦機(嘉手納)が八幡浜市などで超低空飛行。
12年03月 松山空港にCH53Eヘリ(普天間)4機が緊急着陸。
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8月12日、報ステが、伊方原発再稼働を鋭く検証。
避難ポイント51ヵ所のうち、22ヵ所までもが、津波被害が想定される場所。
中村時広愛媛県知事は、
「とりあえず高台に上がれ。その時点で考える」と、さすがの無責任ぶりを全開。
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伊方原発を動かしてはならない幾つもの理由−上
【明日に向けて】2016年8月15日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/ac6e04f05f8f856793573e9be441cddc
守田です。
すでにご存知のように、8月12日に、伊方原発3号機の再稼働が、強行されました。
13日には、核分裂反応が「安定的」に持続する、「臨界」状態に達し、本日15日午後2時過ぎに、発電と送電が開始されました。
今後、22日までかけて、出力をあげていき、フル稼働したのちに国の検査を受け、来月7日には、営業運転に入るとの見通しが、語られています。
伊方原発の、まったくもって無謀で無責任な再稼働強行に、怒りを込めて抗議します。
伊方原発を動かしてはならない理由、すぐに停めるべき理由は、実にたくさんありますが、
注目すべきことは、その多くが、川内・高浜原発と被ってもいることです。
なぜなら、これらの原発はともに、同じ矛盾に満ちた新規制基準のもとで、再稼働が認められているからです。
同時に重要なのは、同じ構造的欠陥を抱えた、三菱重工製の加圧水型原発であるからでもあります。
では、伊方原発に、固有の危険性、動かしてはならない理由とはなんでしょうか。
第一に、地震の大きな断層帯である、中央構造線のほぼ真上に存在していることです。
第二に、細長い半島の付け根にあり、その先に5000人もの人々が住んでいて、重大事故のときに、とてもではないけれど、安全な避難などできないことです。
この二つの理由だけでも、伊方原発は即刻、再稼働を中止すべきです。
この点を踏まえた上で、川内・高浜両原発にも共通する、動かしてはならない理由を、「明日に向けて」の過去記事を参照しながら、おさえておきたいと思います。
第三に、原発再稼働の認可を与えている新規制基準が、大きな事故の発生を前提にしており、それへの対策を求めたことになっていることです。
そもそも、チェルノブイリ原発事故が起こった時に、この国の電力会社と政府は、
「日本では、あのような事故は絶対に起こらない」と、うそぶきました。
言い換えれば、「だから原発の運転を認めて欲しい」というのが、私たち市民との約束だったのです。
この点から言えば、福島原発事故でこの約束は敗れたのですから、その時点で、日本の原子力産業を、終焉させるべきでした。
ところが、新規制基準では、言うに事欠いて、
「あのような事故は、絶対に起こらないと言ってきたことが間違いだ」と言い出したのです。
完全な開き直りです。
この点は、最も重要なポイントなので、ぜひ以下の記事を参照して、つかんでおいてください。
原発再稼働に向けた新規制基準は、大事故を前提にしている!
【明日に向けて(1062)】2015年3月28日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3d3e4b0cb07ae7a68734a3b52c9c693f
第四に、その新規制基準が、「福島原発事故の教訓を踏まえる」となっていることの矛盾です。
なぜかと言えば、そもそも福島原発は、1号機から3号機までメルトダウンし、核燃料が溶融して落ちてしまっていて、どこにあるのかもはっきりしない状態です。
この間、宇宙線のミュー粒子線を使って、ようやく、2号機の燃料の位置が確認されつつありますが、それすらも概略が分かっただけです。
肝心の、格納容器のどこが、どうして、どのように壊れてしまったのかも、分かっていません。
それどころか、猛烈な放射性物質である、溶け落ちた核燃料を、無事に取り出せるかどうかすら分かっていません。
要するに、事故の概要すらつかめてないのです。
これで、「事故の教訓」に学ぶことなど、できるはずがありません。
福島の教訓に基づく重大事故対策など、まだできるわけがない!
【明日に向けて(1063)】2015年3月29日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8718f402298f072498d32eb7f59478f8
第五に、柏崎刈羽原発の近くで起こった、中越沖地震の際、地震動の想定のあやまりが突き出されており、この点がまったくクリアできていないことです。
伊方原発が、中央構造線の上にあることを考えると、より深刻な問題です。
現在の原発は、直下で襲ってくる可能性のある、地震の揺れの大きさを、あまりに小さく見積もっているのです。
さらに、本年4月の熊本・九州地震では、熊本県益城町において、
M6.5震度7の地震が、14日に起こったのちに、M7.3震度7の地震が16日に起こると言う、これまでの観測史上にない事態を記録しました。
16日の地震のエネルギーは、14日のそれのなんと16倍。
さらに、その後1カ月の間に、震度1以上の揺れが約1400回、昨年1年間の、日本中の地震の8割近くが起こってしまったのですが、これまた観測史上初めてのことでした。
これらが突き出しているのは、現代科学が、まだまだ地震について多くのことを把握できていない、という事態です。
そもそもこの点からも、地震動設定は、かなり厳しく見直されるべきです。
原子力規制庁・新規制基準の断層と地震動想定のあやまり(後藤政志さん談)
【明日に向けて(1064)】2015年3月30日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/a3f0e8c33a857d8a36a56280845eedc1
第六に、あらたに施された、加圧水型原発の過酷事故対策が、むしろ危険性が大きいことです。
ポイントは、水素ガス対策にあります。
燃料が高熱化した場合、それを覆っているジルコニウムが、水と反応することで水素が発生し、爆発の危険性が生じるので、これに対応した対策です。
福島原発では、水素爆発を避けるために、格納容器の中に窒素が封入してありました。
このため、容器内での爆発は避けられましたが、格納容器の蓋の締め付け部から、建屋内に漏えいしたと思われる水素のために、大きな爆発が起こってしまいました。
これに対して、容量が圧倒的に大きい、加圧水型原発の格納容器は、窒素の封入ができないために、より高い危険性があるのですが、
これに対して、水素が発生したら、イグナイタ—(着火装置)ですぐに燃やしてしまう対策をとる、としています。
しかし、過酷事故の中で、この装置がうまく働くのでしょうか。
なかなか着火がしなければ、どんどん水素が溜まっていき、やっと着火できたときに、格納容器内での破局的な爆発を、誘発しかねません。
安全対策どころか、自爆装置になってしまいかねないのです。
新規制基準の「重大事故」対策は、あまりに非現実的でむしろ危険だ!
【明日に向けて(1065)】2015年4月6日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/d4c8272d4c01e698efd2e68600b4b4af
川内原発再稼働も禁止すべきだ!
〜加圧水型原発過酷事故対策の誤りを後藤政志さんに学ぶ〜
【明日に向けて(1075)】2015年4月22日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9605e1dc395c1d33815861dad65ac36a
第七に、懸念すべきことは、伊方原発が、実に5年4カ月ぶりの、再稼働を迎えていることです。
昨年夏に、川内原発が再稼働するまで、世界で4年以上停まっていて再稼働した原発は、14例しかありませんでしたが、そのすべてで、大小の事故が起こりました。
なぜかというと、あらゆる機械は、恒常的に動かしていてこそ正常に動くのであり、
長く停めていると、可動部がくっついて動かなくなる、「固着」などの現象が起こり、動きが悪くなってしまうからです。
しかも、原発は、大量の水が循環しており、一部は海水がまわっているため、腐食やさびなどが生じやすいのです。
しかし、設備があまりに巨大なために、あらかじめ、すべての箇所を点検することができません。
そのため、こうした事故が起こりやすいのです。
この間の再稼働でも、川内原発1号機で、復水器のトラブルが起こりました。
高浜原発4号機は、送電開始とともにアラームが鳴り、原子炉が緊急停止してしまいました。
なお、以下の記事では触れていませんが、こうした長く停まっていた原発のトラブルは、機械的要因だけはでなく、
運転手や保守点検員などの、技術者の能力の低下にも直結します。
このため、事前の点検にミスが出やすかったり、さまざまな数値の入力の誤りなども生じやすい。
4号機も、それで停まったのだと思われますが、原発の場合、こうしたミスが大事故に直結することもあるだけに、深刻です。
再稼働した川内原発で、さっそくトラブル発生!
ただちに運転を中止すべきだ!
【明日に向けて(1127)】2015年8月22日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/649eafab984d8f08dcb08954f246de2f
第八に、加圧水型原発である伊方原発は、致命的な欠陥を抱えた蒸気発生器という、大きな部品を持っていることです。
蒸気発生器は、炉内を約150気圧300度の高温で周っている一次冷却水と、細管で接して、二次系に熱を送り、タービンを回す蒸気を発生させる機器です。
この細管が、高圧高温のために損傷しやすく、すぐにピンホールが空いてしまい、
美浜原発では、配管がギロチン破断して冷却水が飛び出すという、深刻な事故が引き起こされました。
冷却材喪失で、メルトダウンに発展する直前まで、事故が進みました。
このため、三菱重工は、蒸気発生器を交換しながら、原発を運転してきましたが、
2007年と翌年に、アメリカのサンオノフレ原発に、蒸気発生器を輸出して交換したものの、すぐに深刻な事故が起きて、原発が停まってしまいました。
その後、アメリカの原子力規制庁が査察に入り、「修理不可能」と判断。
なんと、サンオノフレ原発は、廃炉になってしまったのです。
技術的には、これと同じ時に作られた蒸気発生器を、三菱重工は使っていますが、
なんと、川内原発2号機は、この部品を運び込み、取り替えの認可も得ていたにも関わらず、交換をしないで再稼働してしまいました。
どう考えても、サンオノフレ原発の事故で、同じ時期の技術で作られている最新型が怖くなって、交換をせずに再稼働したとしか考えられないのですが、
しかし、なぜ交換しようと思ったのかと言えば、もともとの部品に自信が持てなくなったからです。
このため、川内原発は、1号機は最新型を付けているから危険で、2号機は旧型を付けれているから危険なのです。
交換しようがしまいが、蒸気発生器の欠陥という問題を背負いこんでいるのが、加圧水型原発なのです。
伊方原発も、これと変わらない部品を使っており、その面でも極めて危険です。
川内原発2号機の再稼働は、あまりに危険!
みんなで食い止めよう!
【明日に向けて(1166)】2015年10月8日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/4b723d9972dd00d65f24baa1e200ebab
第九に、7月に起きた、1次冷却水の循環のためのポンプの故障事故もまた、この原発の構造的欠陥が原因である、と思われることです。
なぜなら、同様の故障事故が、2005年に美浜原発1号機で起こっており、実は、2003年に、同じ伊方原発3号機でも起こっていることです。
あるいは、川内原発1号機では、2008年に同じ個所で、一次冷却水を循環させるためのモーターに取り付けられた、プロペラの主軸が折れてしまう事故も起こっています。
しかも今回、伊方原発3号機は、直前にこのポンプを新品に交換して、再稼働へとのぞみつつあったのでした。
にもかかわらず、事故がおきて、再稼働スケジュールが一月近くも伸びたことからも、この部分に構造的欠陥があることがうかがわれます。
150気圧300度の、高圧高温の熱湯がまわっているだけに、大変危険です。
伊方原発3号機ポンプ故障事故は大問題!再稼働を断念すべきだ!上
【明日に向けて(1282)】2016年7月24日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/643579af330808d6be892623cd6ed94b
伊方原発3号機ポンプ故障事故は大問題!再稼働を断念すべきだ!下
【明日に向けて(1283)】2016年7月24日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9a7954d2d3903adade7e5affa003fb26
細かくは、もっと指摘できることもありますが、ともあれ、これらからだけでも、伊方原発が即刻再稼働を止めるべき理由は明らかです。
今からでもけして遅くありません。
伊方3号機は運転を中止せよ!の声を、各地で高めていきましょう!