レーニア山。日系の人たちが、タコマ富士と呼んだ山。
シアトルの街からもこんなふうに見えるらしい。(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%82%A2%E5%B1%B1)
レーニア山はカスケード山脈の最高峰、成層火山群の一つで、セント・ヘレンズ山とは兄弟関係にある。
ちなみにセント・ヘレンズ山は、1980年に大噴火を起こしたことで有名な活火山だ。
レーニア山の高さは4392メートル。
標高1800m以上は氷河に覆われているので山頂に着くまでに2 - 3日かかり、登頂は難易度が高い。
我々が目指すのはもちろん、ウォーキングシューズでてくてく歩ける場所のハイキングなので、難しいことは何も考えなくて良い。
ということで、ワシントン州での最後の観光は「レーニア山国立公園」を訪ねることにした。
山がどんどん近づいてくる。
でも、ここにも渇水の影響が。
レーニア山の裾野に入る。
入り口。
入場料は自動車1台につき$30、歩行者・自転車は$15、いずれも7日間有効で、公園内の駐車は無料だから、1週間かけて散策するような人にとってはめちゃくちゃお得。
しばらくすると霧がたち込めてきた。
標高1645メートルに位置するパラダイス・インの駐車場に車を停めて、いざいざ出発!
たくさんのトレイルから選んだのはもちろん、一番簡単そうなコース😅
今回の旅では毎日長距離(わたしにとっては永遠とも思われる)を歩き続けたので、そこが国立公園であろうがどこであろうが、とにかく一番楽なコースを選びたかった。
ああそれなのに、滝があるんだって!と聞くともう大変。
見える場所までひたすら上り、下り、時には四つん這いになって目指してしまう自分が…。
こんなところにチップモンクが!(家の庭のと全く同じなのだけど、場所が違うと感慨深い😅)
鹿も庭で普通に見られるのに、やっぱりちょっと違う。
ここでちょっとしたハプニングが。
木の枝がガサガサと揺れているのを目敏く見つけた夫が指差す方を見ると、確かに何かいる。
スマホのカメラで撮ろうと近づいていくわたしの服の裾をギュッと掴んで、またバカなことをと叱る夫。
こういう時は後退りするべきで、近づくのは愚かな者がすることだと、さらに後ろに引っ張ろうとする。
「クマだ」と夫。
「あ、ほんまや」とわたし。
こんなチャンスは2度と無い。
クマは近距離にいるものの、茂みは道の脇を降りたところだし、びっくりして襲ってきたとしても、まずはこの段差を飛び上がらないといけない。
多分大丈夫だろうと、引っ張る夫をずるずると引きずりながらカメラを構えた。
子熊ちゃん、木の実を食す
水分が潤っているからか、今回の旅行で初めて活き活きとした草木を見た。
こちらがパラダイス・イン。
霧がたち込めている中にパラダイスという名前が目に入ると、なんだか妙な気分に。
今回の旅で一番美しかった滝。
一体何があったの?
どこから転がってきたの?
この滝もとても綺麗だったけど、滝の両側の断層がすごく興味深かった。
帰り道、レーニア山の頭頂が見える場所に寄って30分ばかり雲が切れるのを待ったのだけど…またのお楽しみに。
レーニア山の紹介。
静けさに惑わされる景色。
ここは力強くダイナミックな山なのだ。
500,000年の間に、何千もの噴火による溶岩が流れ、冷えて現在の火山を築いた。
それらの溶岩流は、灰色や赤みを帯びた岩石として見ることができる。
これらの噴火の際には、現在よりもはるかに大きな氷河がレーニア山を包んでいた。
それらは火山の力と協調して地形を形成した。
現在の尾根は、溶けた物質が氷河の間にたまり、溶岩流が厚い氷の両側に流れた結果である。
あなたが立っているのは、まだ熱いうちに氷河の端にぶつかった溶岩流のつま先である。
ふむふむ、つま先ね…。恐るべしレーニア山。
溶岩が流れた跡。
また来るね、レーニア山。
国立公園からシアトルに戻り、ホテルに一泊して、飛行機が飛ぶ夜の9時半までの時間をどこで過ごすかを検討した。
わたしより8年3ヶ月も若く(といってももう58歳だけど)、歩くのが大好きな夫でさえも、もうあまりたくさん歩く場所には行きたくないと言う。
それで、まずは近所を軽く散策してから、北の端にある海辺公園に車で行くことにした。
相変わらず天気が良い。今回の旅は本当に良い天気に恵まれた。
夫が見つけたガラス工房。
トイレがハンパなく素敵!
ここで30分ほども居れば、作品が出来上がると聞いて、近所に住む次男くんたちに伝えた。
簡単に周れるだろうと思っていた公園だったのだけど…。
ちょっと嫌な予感が…。
我々が歩く森のすぐ左側にはずっと海が続いているのだが…。
なんかすごい木を見つけた。
歩いても歩いても、たまにぽっかりと海が見えるスポットがあるだけで、終点はなかなか近づいてこない。
なので途中で引き返すことにした。
同じ道を引き返さずに、ショートカットのコースを選んだのだけど、それは延々と続く傾斜がめちゃくちゃきつい上り坂だった。
後悔先に立たず。
いやもう、なにこれ、ふ、ふふ、ふふふ、ふふふふ!
人は、極限に達すると、それが何であれ、笑いが込み上げてくるものだと知った一瞬だった。
人は、極限に達すると、それが何であれ、笑いが込み上げてくるものだと知った一瞬だった。
いきなりヘラヘラ笑い出すわたしを気味悪そうに見る夫。
所々に設置されているベンチに座ってくたばっていると、その急な坂道を小走りで下ってくる男性がいた。
その男性が、また別のベンチに座っているわたしたちの前に再び現れて、同じく坂道を下ってきたのには驚いた。
下るには上らないといけないわけで、時間も10分くらいしか経っていない。
我々は幻を見ているのか?それとも彼が超人なのか?双子か?しばらく二人で思案したけど、足が疲れ過ぎてどうでもよくなった。
青空にはどんなものも似合う。
飛行機だって撮りたくなる。
どことなくフォート・リーの街並みを思い出させる風景。
シアトルはほんとにいい街だ。
最終日のブランチを次男くんとEちゃんが再び付き合ってくれて、シアトル生まれのシアトル育ちのEちゃんお薦めのレストランで、最後の暴食パンケーキを食べる。
そしてこの旅の最後のご馳走はちょっと奮発して、ここ、SHIRO SUSHIでいただくことにした。
カウンター席は予約が詰まっていたので取れたかったのだけど、4人の寿司職人さんたちが面白おかしく話しながら寿司を握ってくれる。
テーブル席の我々も、黙々と、シアトルならではの新鮮な寿司をいただく。
このほうじ茶ムースはマジで絶品。
いっぱい食べていっぱい歩いた。
本当に楽しい旅になったとしみじみ喜びながら空港に。
そして機内に向かう廊下を歩いている時に、自分のスーツケースを見下ろしてハッと気づいたのだった。
セキュリティチェックを受けた際に、スーツケースから取り出したiPadとAmazon Fireを、カゴの中に置きっ放しにしたことを…。
こんなことは初めてで、頭の中が真っ白になったのだけど、もう引き返すことはできないのだから空港に連絡をするしかない。
8ドル払ってインターネットを機内で使えるようにして、空港と次男くんに連絡を取った。
夫からは、こんなことで次男くんを煩わせるなと言われたけど、彼はきっと助けたいと思ってくれるはずで、申し訳なかったけど巻き込むことにした。
次男くんから続々と、空港内で物を失くした場合の解決法が送られてくる。
彼もトーナメントや出張などでいろんな国を周っていて、置き忘れたり盗られたりして大変な思いをした経験があるからと、同情して慰めてくれた。
Appleの製品同士でできる位置検索で、iPadが空港に留まっていることがわかったので、盗まれている可能性が低くなった。
空港の忘れ物課もとても親切で、合計4人の係員と話したのだけど、どの人も親身になって届けを読んでくれたり探してくれたりした。
4人目の人が、長い時間をかけてあちこちに問い合わせてくれて、とうとう見つかったので、次男くんに空港まで取りに行ってもらった。
最後の最後で大失敗をしたのだけど、そのことも含めて今回の旅は、とても思い出深いものになった。
いろいろお世話になりました!みんな、ありがとう!