アメリカで病人食といえばチキンスープ。
骨付きの鶏肉とセロリとニンジン、それからギーでよく炒めた玉ねぎだけの、めっちゃシンプルなスープです。
味付けは塩胡椒とニンニクの欠片を数個だけ。
煮ながら何度も脂分とアクを取り除いていくと、やがては透明ですっきりとしたスープになります。
こちらに来て22年と半年。
わたしも体が弱ると、お粥よりもこのスープが恋しくなるようになりました。
夫は日に日に回復してきました。
体温はほぼ平熱になり、頭痛も倦怠感もほとんど無くなったようです。
咳はまだ続いていて、特に夜になると激しくなるみたいですが、体力がかなり戻ってきているので、声にも張りが出てきました。
漢方恐るべし!
わたしはというと、発表会の2週間前だというのに、急遽ビデオレッスンに切り替えなくてはならなくなって、だから連弾曲の練習ができません。
まあ、発表会前最後の週にはできるようになるんだし、夫も何も好きで罹ったわけではないので、恨み言を言うのはお門違いだというのは重々わかってはいるのですが、レッスン中に何度もため息が出てしまいました。
ビデオレッスンはかれこれ2年間続けていたわけですが、よくもまあ続けられていたもんだと、久しぶりにやってみてつくづく思いました。
言葉の意味を伝えづらい、気持ちを分かち合うことが難しい、生徒たちが奏でている音の本当の色や空気の流れを感じることができない。
音楽を共有するにはとてもやりにくい方法だということが、今となってははっきりとわかります。
あの時は、国中がパニックに陥っていたので、もうこれしかない、やるしかないという気持ちで始めたわけで、実際に選択肢が他に無かったのですが、よくまあ2年間も続けたもんだと。
そしてこのコロナ禍の間に、生徒たちがすっかり入れ替わってしまっていたのでした。
そのことに今の今まで気づかなかったことにもびっくりしたのですが、今回のプログラムを作るために前回(2019年)の発表会のプログラムを見直してみると、その時に弾いた生徒がたったの4人しか残っていないことがわかりました。
偶然に高校から大学に進学した生徒たちが数名いたこと、引っ越した人たちがいたこと、ビデオレッスンに疲れて止めてしまった人たちがいたことなどが重なったとはいえ、今いる35名のうちの31名が、コロナ禍以降に入会してきたことになります。
そしてそのうちの約半分の14人が5歳から7歳の小さな子たちで、しかも超初心者なのです。
加えて、大人の生徒さんは女性が5人、男性が5人、そのうちの3人が超初心者です。
なので、今回の発表会が、生まれて初めての舞台経験になる生徒が、31人もいることになります。
今更ながらにそのことに気がついてあたふたしている自分を大いに反省しながら、後の2週間をしっかり乗り切っていこうと思う今日この頃です。
乗り切れるかな…。
ハロウィン仕様で練習に励むLくん。
おとうさんがビデオに撮って送ってきてくれました。